科目ごとに、受験者のおよそ5人に4人が不合格。2025年11月の統計検定1級は、統計数理の合格率が18.0%、統計応用が18.6%でした。しかもこれは「科目ごと」の数字で、1級の称号には両方の合格が必要です。選択肢は1つもなく、答案はすべて論述で書き切ります。
この記事を読み終える頃には、1級の試験の仕組み、公式データ4年分から見た難しさ、準1級との差がどこにあるかを、数字で説明できるようになります。「1級の合格率は非公開」という説明をよく見かけますが、科目別の数字は公式サイトで毎年公開されています。
あわせて、2026年度の申込がすでに締め切られた今から2027年11月の試験までに何をいつ済ませるかを、1枚の逆算スケジュールに落とし込みます。受けるかどうかの判断材料まで、ここでそろいます。
統計検定1級とは——論述式2科目・年1回の最上位試験
統計検定1級は、統計検定の頂点に位置する試験で、公式の試験概要では難易度を「大学院レベル」と位置づけています。「統計数理」と「統計応用」の2科目で構成され、どちらも5問中3問を選んで論述で答えます。準1級以下がすべてCBT方式で通年受験できるのに対し、1級だけは紙のPBT方式で年1回、毎年11月の実施です。
| 項目 | 統計数理 | 統計応用 |
|---|---|---|
| 出題形式 | 論述式・5問から3問選択 | 論述式・選んだ分野の5問から3問選択 |
| 試験時間(2026年) | 90分(10:30〜12:00) | 90分(13:30〜15:00) |
| 分野 | 共通 | 人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学から申込時に1分野 |
| 受験料(税込) | 8,000円 | 8,000円 |
| 合格水準 | 非公開(科目ごとに合否を判定) | 非公開(科目ごとに合否を判定) |
同時受験は12,000円で、別々に申し込むより4,000円安くなります。受験地は札幌・東京23区内・立川・名古屋・大阪地域・福岡地域の6地域。持ち込める電卓は四則演算・百分率・平方根までの普通電卓に限られ、関数電卓は使えません。必要な統計数値表は問題冊子に掲載されます。
見落とされがちなのが「科目合格」の仕組みです。片方だけ合格した場合、その科目合格の有効期間内に残りの科目に合格すれば1級になります。公式の表記は「経過措置は9年(試験合格の有効期間10年間)」で、1年目は数理、2年目は応用という分割受験が制度として認められています。
ただ、仕組みが分かっても「自分は今どの位置にいて、何から手をつけるべきか」はまだ見えません。年1回の試験で計画を誤ると、そのまま1年が過ぎていきます。まずは公式データで、壁の高さを正確に測っておきましょう。
合格率は科目別に約18〜23%——公式データ4年分で見る難易度
結論から言うと、1級の合格率は科目別で毎年およそ2割、2025年は4年間で最も低い水準でした。統計検定の公式サイトは、PBT試験の回ごとに申込者数・受験者数・合格者数・合格率を公開しています。2022〜2025年の4回分を並べると、次のとおりです。
| 実施年 | 統計数理 受験者/合格者 | 統計数理 合格率 | 統計応用 受験者/合格者 | 統計応用 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 998人/224人 | 22.4% | 911人/188人 | 20.6% |
| 2023年 | 993人/223人 | 22.5% | 918人/214人 | 23.3% |
| 2024年 | 1,070人/222人 | 20.7% | 993人/205人 | 20.6% |
| 2025年 | 989人/178人 | 18.0% | 897人/167人 | 18.6% |
比較のために、同じ公式データで準1級(CBT)の合格率を見ると、2025年は34.7%です。受験者層も方式も違うので単純比較はできません。それでも、1級の科目別合格率は準1級を大きく下回る水準です。
注意したいのは、この表が「1級の合格率」ではない点です。公開されているのは科目別の数字だけで、同じ年に両科目へ受かった人数は示されていません。前年までの科目合格を持ち越して1級になる人もいるため、「1級合格率○%」と1つの数字で語る説明は、公式データからは導けません。
申込者の4人に1人は当日受験していない
公式データにはもう1つ、あまり語られない数字があります。申込者数と受験者数の差です。2025年の統計数理は申込1,323人に対して受験989人で、受験率は74.8%。当日、4人に1人が会場に来ていません。
| 実施年 | 統計数理 申込→受験 | 受験率 | 統計応用 申込→受験 | 受験率 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 1,364人→998人 | 73.2% | 1,283人→911人 | 71.0% |
| 2023年 | 1,355人→993人 | 73.3% | 1,304人→918人 | 70.4% |
| 2024年 | 1,427人→1,070人 | 75.0% | 1,387人→993人 | 71.6% |
| 2025年 | 1,323人→989人 | 74.8% | 1,249人→897人 | 71.8% |
受験率は4年続けて7割台前半で、統計応用のほうが毎年わずかに低くなっています。欠席の理由までは公表されていません。理由は特定できませんが、申込者の約4人に1人が受験に至っていないことは、申込から試験日までを含めた受験計画の必要性を示す数字です。申込者を分母にすると、2025年の統計数理で合格に届いたのは約13.5%でした。
裏を返せば、当日まで準備をやり切って会場に座ることが、すでに1つ目の関門です。合格率の約2割は、実際に受験した人を分母とした数字だと押さえておいてください。
準1級との差はどこにあるか——選択式から論述式への断層
準1級と1級の差は、範囲の広さよりも「答え方」にあります。準1級は5肢選択と数値入力で、正しい値にたどり着けば点になります。1級は、そこに至る導出と説明そのものが採点対象です。
| 項目 | 準1級 | 1級 |
|---|---|---|
| 公式の難易度表記 | 大学の専門課程レベル | 大学院レベル |
| 方式・頻度 | CBT・通年 | PBT・年1回(11月) |
| 出題形式 | 5肢選択・数値入力 | 論述式 |
| 問題数・時間 | 25〜30問・90分 | 各科目5問中3問選択・各90分 |
| 合格水準 | 60点以上/100点満点 | 非公開 |
| 受験料(税込) | 一般8,000円・学割6,000円 | 各科目8,000円(同時受験12,000円) |
| 2025年の合格率 | 34.7% | 統計数理18.0%・統計応用18.6% |
公式の1級ページは、出題内容を「準1級の内容をすべて含む」と明記したうえで、各種統計解析法の考え方と数理的側面の正しい理解を問うとしています。統計応用ではさらに、課題の定式化からデータ収集の計画、推論、結果の解釈と伝え方までが試されます。計算力だけでは足りない、ということです。
もう1つの差は、やり直しのきかなさです。準1級はCBTなので、落ちても7日以上空ければ再受験できます。1級は落ちれば次は1年後。この非対称性が、準1級で土台を固めてから1級に進む順番を合理的にしています。準1級の範囲の固め方は統計検定準1級の勉強法にまとめています。
2026年の申込は終了——2027年11月に向けた逆算スケジュール
2026年の1級は11月15日(日)に実施されますが、個人申込の受付は10月2日15:00で締め切られました。今から1級を目指すなら、照準は2027年の試験です。公式は1級を「毎年11月」開催としており、過去4回も11月中旬の日曜日に実施されています。
| 時期 | やること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 2026年10〜12月 | 準1級範囲の総点検。確率分布・推定・検定の弱点を洗い出す | 準1級の問題を解き、どの分野で手が止まるかを記録する |
| 2027年1〜3月 | 必要なら準1級をCBTで受験し、土台を確認する | 準1級の合格は、1級に挑む一つの区切りになる |
| 2027年4〜8月 | 数理統計の教科書を証明つきで読み、過去問を紙に書いて解く | 統計応用の分野をこの時期までに決める |
| 2027年9〜10月 | 試験要項を確認して申込(2026年度は9月2日〜10月2日) | 数理だけ・応用だけ・同時受験のどれで出すかを決める |
| 2027年11月 | 試験本番(例年11月中旬の日曜日) | 2026年度は12月下旬に合格発表、翌年1月上〜中旬に通知書発送(2027年度は要項で確認) |
2027年の日程はまだ発表されていません。2026年度は8月に試験要項が掲載され、Webコンビニ決済だけは9月24日が締切でした。来年も同じ流れなら、申込の判断は夏の終わりに来ます。そこで「同時受験か、数理だけか」を決められる状態にしておくことが、このスケジュールのゴールです。
時間の見積もりで迷うなら、科目合格を前提に2年で組む手もあります。1年目に統計数理、2年目に統計応用と分ければ、一度に答案対策をする科目を絞れ、同時受験より年間の負担を分散できます。科目別の攻め方と分野の選び方は統計検定1級の勉強法ロードマップで詳しく扱っています。
よくある質問
統計検定1級に受験資格はありますか?
ありません。公式のFAQでは、年齢・所属・経験・過去の合格実績による受験上の制限はないとしています。準1級に合格していなくても、いきなり1級を受験できます。
統計検定1級の合格点は何点ですか?
公表されていません。準1級以下は「60点以上/100点満点」などの合格水準が示されていますが、1級は試験概要で「公開していません」とされています。科目ごとに合否が決まり、成績上位者には最優秀成績賞(評価S)・優秀成績賞(評価A)が設けられています。
統計数理だけ合格した場合はどうなりますか?
「統計数理」の合格証が発行され、合格の有効期間(10年)の内に統計応用へ合格すれば1級になります。逆に統計応用だけ先に合格した場合も同じ扱いです。合格証は科目ごとに届き、1級の合格証は両科目がそろった後に別途送付されます。
統計検定1級に学割はありますか?
公式の受験料表では、1級は「統計数理」「統計応用」とも8,000円(税込)で、学割価格の記載はありません。準1級以下には学割があるので、学生は準1級までの受験で費用差が出ます。10名以上の団体受験には割引の仕組みがあります。
まとめ
統計検定1級は、科目別の合格率が毎年2割前後、2025年は18%台という最上位の試験です。それでも、科目合格を10年持ち越せる制度と、毎年11月という読みやすい日程があるので、計画さえ立てれば挑み方は選べます。他の級との位置関係をもう一度確かめたい人は統計検定の難易度・合格率の全体像も参考になります。
2027年11月までの最初の3か月は、準1級範囲のどこで手が止まるかを知る期間です。SkillStackの分野別正答率を使えば、確率・推定・検定のどこが弱いかが数字で残るので、総点検の記録にも使えます。今日はまず、確率分布の問題を10問解いて、迷った問題に印をつけるところから始めてみてください。
参考サイト
- 統計検定1級(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- 統計検定1級 試験要項(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- 統計検定 試験概要(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- PBT方式試験 2025年実施試験(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- PBT方式試験 2024年実施試験(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- PBT方式試験 2023年実施試験(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- PBT方式試験 2022年実施試験(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- 過去の受験データ(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
- よくあるご質問(統計検定公式サイト)(取得日: 2026年10月5日)
