「AWSのネットワークを専門にしている証明がほしい。でも、その試験はもうすぐなくなるらしい」——AWS ANS(AWS Certified Advanced Networking - Specialty)は、まさにその状況にある認定です。BGPの属性、Direct Connectの物理接続、ハイブリッドDNSまで踏み込む、AWS認定の中で最もネットワークに特化した試験です。
AWSは英語版の認定ページと日本語版の資格一覧で、最終受験日を2026年12月31日としています。一方で日本語版の個別ページは「2026年8月25日」のままで、表記が食い違っています。この記事では、ANSの試験の中身と難しさを確認したうえで、残り期間で受けるべきか、受けるなら何を確かめておくべきかを、AWSの一次情報だけで整理します。
AWS ANSとは——ハイブリッドを含むネットワーク設計の専門認定
ANSは、AWSのネットワークスペシャリストの役割を担う人が、AWSとハイブリッドのネットワークを大規模に設計・実装・管理・保護できるかを検証する試験です。試験ガイドは想定受験者を「ネットワークの経験が5年以上あり、そのうちクラウドとハイブリッドのネットワークの経験が2年以上ある人」としています。
AWS認定の中で、ネットワークの範囲はSAAやSAPでも問われます。ANSが違うのは、その深さです。SAAなら「VPCどうしをどうつなぐか」で終わるところを、ANSでは「BGPのどの属性で経路を制御するか」「LAGやジャンボフレームをどう設定するか」まで問います。
| テーマ | SAAで問われる深さ(傾向) | ANSで問われる深さ(試験ガイドより) |
|---|---|---|
| オンプレミスとの接続 | Direct ConnectかVPNかを選ぶ | BGP属性による経路制御、LAG、VLAN、冗長構成の設計 |
| 複数VPCの接続 | ピアリングかTransit Gatewayか | IPアドレスの重複への対処、Transit Gateway Connect、マルチキャスト |
| DNS | Route 53のルーティングポリシー | Resolverのインバウンド・アウトバウンドエンドポイント、条件付き転送、DNSSEC |
| 運用 | CloudWatchで監視する | VPCフローログの拡張フィールド、トラフィックミラーリング、Reachability Analyzer |
表の右列に見覚えのない用語が多いなら、それがANSの難しさです。なおSAPでもDirect ConnectやハイブリッドDNSは扱いますが、ANSはプロトコルや物理層の設定まで踏み込みます。受験条件ではありませんが、試験ガイドはオンプレミスのネットワーク経験とAWSのネットワーク知識の両方を持つ受験者を想定しています。そしてこの範囲を、残り3か月足らずで仕上げられるかの見積もりが、最初の判断になります。
ANS-C01の試験仕様:65問・170分・合格750点
ANSの現行版はANS-C01です。65問を170分で解き、合格スコアは750点。採点されるのは50問で、残り15問は採点対象外の問題です。
| 項目 | 内容(2026年10月6日時点) |
|---|---|
| 試験コード | ANS-C01 |
| 問題数・時間 | 65問(採点対象50問+採点対象外15問)・170分 |
| スコア | 100〜1,000点の換算スコア、合格750点 |
| 受験料 | 40,000円(税が適用される場合あり)/300 USD |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、またはオンライン監督 |
| 言語 | 英語・日本語・韓国語・中国語(簡体字) |
| 有効期間 | 3年間 |
出題は4分野です。
| 分野 | 配点 | 主な中身(試験ガイドより) |
|---|---|---|
| ネットワーク設計 | 30% | CloudFront・Global Acceleratorによるエッジ設計、ハイブリッドDNS、ロードバランサーの選択、オンプレミスとの経路設計、複数アカウント・リージョン・VPCの接続 |
| ネットワーク実装 | 26% | ハイブリッド接続とルーティングの実装、ハブアンドスポーク構成、複雑なDNS構成、IaCによる自動化 |
| ネットワークのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス | 24% | インバウンド・アウトバウンドの保護(WAF、Shield、Network Firewall、Gateway Load Balancer)、ログによる監査、転送時の暗号化 |
| ネットワークの管理と運用 | 20% | BGPの運用、トラフィック分析とトラブルシューティング、性能・信頼性・コストの最適化 |
合否は合計スコアで決まり、分野ごとの足切りはありません。試験ガイドには、複数選択に加えて、3〜7組の対応をすべて正しくつなげるマッチング形式も記載されています。複数選択もマッチングも、部分点はありません。
廃止は12月31日の予定——日本語ページは8月25日のまま
ANSの廃止はAWSが認定ページで告知しています。ただし、最終受験日の表記が英語版と日本語版で異なります。
| 情報源(2026年10月6日確認) | 最終受験日の表記 |
|---|---|
| AWS認定 英語版の認定ページ | 2026年12月31日 |
| AWS認定 一覧ページ(英語版) | 2026年12月31日に廃止 |
| AWS認定 資格一覧(日本語版) | 2026年12月31日に廃止予定 |
| AWS認定 日本語版の個別の認定ページ | 2026年8月25日 |
8月25日はすでに過ぎていますが、英語版の2つのページと日本語版の資格一覧は12月31日としており、公式の中で表記が分かれています。この記事では12月31日を計画上の基準にしますが、受験を決める前に、ピアソンVUEの予約画面で実際に日程を選べるかを必ず確かめてください。不明な点はAWS認定のサポートに問い合わせるのが確実です。
12月31日を最終日とすると、今日(10月6日)から86日。不合格後は14日間再受験できない規定なので、この待機期間だけから逆算した初回受験の最遅目安は12月17日です。ただし結果の確定や再受験の予約枠は保証されないため、実際にはもっと早く受けるほうが安全です。廃止の経緯や代わりになる認定は、AWS ANS廃止の影響と代替パスで詳しく扱っています。
取得済みの認定はどうなるか
AWSは、廃止前に取得したANSの認定は標準どおり3年間有効で、廃止後は新しい認定が発行されないとしています。更新については、10月6日時点の再認定ページで、ANSも「最新版の試験に合格して3年延長」と「Skill Builderの有料サブスクリプションで1年維持」(有効期限まで90日以内の有効な認定が条件)の対象として載っています。ただし廃止後に最新版の試験はなくなるため、廃止後の更新の扱いは、その時点の再認定ページで確認する必要があります。
受けるか、乗り換えるか——判断の目安
結論として、ANSの範囲をすでに一巡していて、ネットワークの実務経験もあるなら、年内の受験を検討する価値があります。ゼロから始める場合は、86日で4分野を仕上げるのは負担が大きく、他の認定に知識を振り向けるほうが現実的です。
| あなたの状況 | 選ぶ道 | 理由 |
|---|---|---|
| ANSの問題を一巡済みで、BGPやDirect Connectの実務経験がある | 早めに初回受験(遅くとも12月17日) | 制度上は再受験の余地が残る。ネットワーク専門の認定を取れる最後の機会になる見込み |
| ネットワークの実務経験はあるが、ANSは未着手 | 問題を解いて判断 | 最初に20問ほど解いた正答率と、確保できる学習時間で見積もる。難しければSCSやSAPへ |
| AWSのネットワークをこれから学ぶ | SAA→SAP、またはSCS | ネットワーク設計はSAPで、ネットワークセキュリティはSCSのインフラ分野で問われる |
| ANSを取得済み | 有効期限と更新方法を確認 | 3年間は有効。廃止後の更新の扱いは再認定ページで確認する |
ANSの廃止後も、ネットワークの知識が不要になるわけではありません。SCS-C03のインフラストラクチャのセキュリティ(18%)では、エッジサービスやネットワークのセキュリティ制御が問われます。SCSの概要はAWS SCSとは|難易度・出題範囲・C03の変更点にまとめています。
よくある質問
ANSは日本語で受験できますか
日本語を含む4言語で提供されています。ただし日本語版の認定ページは最終受験日を8月25日と表記しており、英語版の12月31日と食い違っています。日本語で受けたい場合は、ピアソンVUEの予約画面で日本語の日程を選べるかを確認してください。
ANSに後継の試験はありますか
10月6日時点で、AWSはANSの後継となる新しいネットワーク専門の認定を発表していません。AWS認定の一覧ページに載っているSpecialty区分は、ANSとSCSの2つだけです。ANSが廃止されると、Specialty区分はSCSだけになります。
ANSとCCNAはどちらを先に取るべきですか
ルーティングやVLANなどネットワークの基礎が不安なら、CCNAなどで土台を固めるほうが先です。ANSはそれらの知識を前提に、AWSでの実装を問います。ただしANSは年内に廃止される予定なので、順番に取る時間が残っていない点は考慮してください。
ANSを取っても、廃止後に価値はありますか
取得した認定は3年間有効で、取得した事実は残ります。AWSのハイブリッドネットワークを設計できることの証明として、廃止後も経歴に書けます。ただし新しく取る人がいなくなるため、長期的にはSCSやSAPなど他の認定と組み合わせて示すことになります。
まとめ
AWS ANSは、BGPやDirect Connectの物理接続まで踏み込む、AWS認定で最もネットワークに特化した試験です。英語版の認定ページと日本語版の資格一覧では2026年12月31日が最終受験日で、再受験の余地を残すなら初回は遅くとも12月17日まで。まずはピアソンVUEで予約できる日程を確かめ、残り期間で4分野を仕上げられるかを見積もってください。判断材料になるのは、今の自分が各分野で何割取れるかです。SkillStackでは問題を解くたびに分野別の正答率が表示されるので、30%のネットワーク設計と20%の管理・運用のどちらが穴なのかを確かめてから、受けるかどうかを決められます。
参考サイト
- AWS Certified Advanced Networking - Specialty(AWS公式・英語版・取得日: 2026年10月6日)
- AWS Certified Advanced Networking - Specialty(AWS公式・日本語版・取得日: 2026年10月6日)
- AWS Certified Advanced Networking - Specialty (ANS-C01) 試験ガイド(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
- AWS認定(AWS公式・日本語版の資格一覧・取得日: 2026年10月6日)
- AWS Certified Security - Specialty (SCS-C03) 試験ガイド(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
- AWS Certification(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
- AWS認定 受験後のポリシー(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
- AWS再認定(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
- AWS認定 試験の前に|試験料金(AWS公式・取得日: 2026年10月6日)
