「データ分析の資格を取りたい。でも統計検定は数式が怖いし、E資格はプログラミング前提で重い」——そんなとき候補に挙がるのがDS検定です。正式名称はデータサイエンティスト検定 リテラシーレベル。数式をゴリゴリ解く試験ではなく、データを扱う社会人の「常識」を100問で測る試験です。
ただし、合格率は直近でも4〜5割。「リテラシー」という名前から想像するほど甘くはありません。しかも2026年6月の第13回から出題範囲の一部が組み替わり、新設の「基盤」「価値創造」は古い対策情報ではカバーできません。
この記事では、協会が公表している全13回の合格率と合格ラインの推移、受験料と日程、新しい出題範囲の中身を一次情報でそろえました。読み終えたとき、自分がDS検定を受けるべきか、受けるなら次の第14回に間に合うかを判断できるはずです。
DS検定とは——データを扱う人の「基礎体力」を測る民間検定
DS検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が2021年から実施している民間検定です。協会が定めるスキルレベルのうち、見習いにあたる「アシスタント・データサイエンティスト(★)」の実務能力と知識を証明します。名前に★が付いているのはこのためです。
受験資格はありません。協会自身が想定受験者として挙げているのは、データサイエンティストを目指すビジネスパーソン、データサイエンスに関心のある大学生・専門学校生、そしてこれからデータ活用に関わる初学者です。
試験概要(第14回時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 一般社団法人データサイエンティスト協会 |
| 形式 | 選択式・CBT(全国のテストセンターで受験) |
| 問題数・時間 | 100問・100分 |
| 受験料(税抜) | 一般10,000円/学生5,000円/協会の大学会員の学生4,000円 |
| 受験料(税込) | 一般11,000円/学生5,500円/大学会員の学生4,400円 |
| 受験資格 | なし |
| 合格の証明 | 合格証明書(PDF)とオープンバッジ。紙の証書は郵送されない |
平均すると1問あたり1分。迷う問題に時間をかけすぎると後半が苦しくなるため、知識だけでなく、迷った問題を後回しにする時間配分も問われます。
ITパスポート・G検定と並ぶ「Di-Lite」の一角
DS検定を語るうえで外せないのが、デジタルリテラシー協議会の「Di-Lite」です。IPA・データサイエンティスト協会・日本ディープラーニング協会の3団体が2021年に設立した協議会で、全ビジネスパーソンが持つべきデジタルリテラシーを3領域で定義しています。
| Di-Liteの領域 | 対応する試験 | 主催 |
|---|---|---|
| IT・ソフトウェア | ITパスポート試験 | IPA |
| 数理・データサイエンス | DS検定 リテラシーレベル | データサイエンティスト協会 |
| AI・ディープラーニング | G検定 | 日本ディープラーニング協会 |
3試験のうち1つに合格すると「DX推進パスポート1」、2つで「2」、3つすべてで「3」のデジタルバッジを協議会に無料で申請できます(合格した試験の組み合わせで全7種類。ITパスポートは2021年4月以降の受験・合格が対象)。DS検定は、この3本柱のうち「データ」を担う試験という位置づけです。国のデジタル人材育成の文脈で語られる理由はここにあります。DX人材の指針そのものはデジタルスキル標準(DSS)の解説で整理しています。
では、その「データの常識」とは具体的に何を指すのか。ここが2026年に大きく変わったポイントです。
2026年6月から出題範囲が変わった——スキルチェックリストver.6
結論から言うと、第13回(2026年6月)以降は「ビジネス力」という分類がなくなり、「基盤」「データサイエンス」「データエンジニアリング」「価値創造」の4領域で出題されています。データサイエンスなど継続分野は旧教材も使えますが、新設・再編された基盤と価値創造はver.6対応の資料で補う必要があります。
出題範囲の土台は、協会が公開している「データサイエンティスト スキルチェックリスト」と、数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムの「数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」の2つです。このうちスキルチェックリストが2025年にver.6へ改訂され、協会は第13回から試験範囲を一部変更すると告知しました。
何が変わったのか
協会の告知で示された変更点は2つです。従来ビジネス力を問うていた問題の多くが「基盤」スキルの問題へ移り、さらに「価値創造」スキルを問う問題が新たに加わりました。2026年6月刊の公式リファレンスブック第4版も、章立てを次のように組み替えています。
| 分類 | 中身のイメージ | 旧範囲との関係 |
|---|---|---|
| 基盤 | 行動規範、論理的思考(MECE・構造化)、課題の定義とKPI、データの理解と可視化、ITセキュリティの基本 | 旧ビジネス力の多くがここへ移行 |
| 価値創造 | 課題の再定義、事業・モデル設計、ガバナンス設計、PoCから効果測定まで | 新設 |
| データサイエンス | 線形代数・微積分・集合の基礎、統計・検定、機械学習の基本 | 継続 |
| データエンジニアリング | データの収集・加工・蓄積、SQL、セキュリティ、MLOps | 継続 |
| モデルカリキュラム | 大学の教養レベルのデータ・AI活用リテラシー | 継続 |
協会は2026年6月に模擬問題10問を公開しており、その内訳は基盤1問・価値創造4問・データサイエンス3問・データエンジニアリング2問でした。解説付きで公開されたのは新設の価値創造4問です。新分野の出題イメージをつかむ材料として、受験前に優先して確認したい資料です。
では、範囲が変わった直後の試験で、受験者はどれくらい受かっているのでしょうか。
合格率は約40〜50%——全13回の推移と合格ラインの目安の変化
DS検定の合格率は、第3回以降おおむね38〜49%で推移しています。範囲変更後の第13回は約49%でした。初回こそ約66%と高めでしたが、2回目以降は「2人受けて1人受かるかどうか」の試験です。
| 回 | 実施時期 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格ラインの目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第13回 | 2026年6月 | 約2,220名 | 1,083名 | 約49% | 約76% |
| 第12回 | 2026年3月 | 約2,400名 | 1,001名 | 約42% | 約77% |
| 第11回 | 2025年11月 | 約3,560名 | 1,529名 | 約43% | 約77% |
| 第10回 | 2025年6月 | 約2,200名 | 956名 | 約44% | 約77% |
| 第9回 | 2025年3月 | 約2,720名 | 1,188名 | 約44% | 約77% |
| 第8回 | 2024年11月 | 約3,300名 | 1,474名 | 約45% | 約77% |
| 第7回 | 2024年6月 | 約1,950名 | 929名 | 約48% | 約77% |
| 第6回 | 2024年3月 | 約2,500名 | 1,089名 | 約44% | 約79% |
| 第5回 | 2023年11月 | 約3,750名 | 1,427名 | 約38% | 約79% |
| 第4回 | 2023年6月 | 約3,050名 | 1,347名 | 約44% | 約79% |
| 第3回 | 2022年11月 | 約2,600名 | 1,088名 | 約42% | 約79% |
| 第2回 | 2022年6月 | 約2,900名 | 1,453名 | 約50% | 約80% |
| 第1回 | 2021年9月 | 約1,400名 | 927名 | 約66% | 約80% |
見落とされがちな「合格ラインの目安」の下がり方
実際の合格ラインは非公開です。ただし協会は過去実施結果のページで、回ごとに「合格ラインの目安(正答率)」を参考値として示しています。その目安は、第1回・第2回の約80%から、第3〜6回は約79%、第7〜12回は約77%、第13回は約76%へと少しずつ下がってきました。
正答率の目安は下がっていますが、合格率はおおむね横ばいです。協会は試験問題を回ごとに少しずつ刷新すると説明しており、受験者層も回によって変わるため、公開値だけで難化・易化は断定できません。ただ「目安が下がった分だけ受かりやすくなった」とは読めない、ということは言えます。
配点の内訳は公表されていませんが、仮に100問で正答率76%なら76問前後の正解に相当します。合格率40%台という数字だけを見ると「半分取れればいい試験」と誤解しがちですが、目安を見る限り4問に3問以上の正解が求められる試験だと考えて準備するのが安全です。
他のデータ・AI系資格と比べた難易度
| 資格 | 主催 | 形式 | 求められるもの |
|---|---|---|---|
| ITパスポート | IPA | CBT・100問120分 | IT・経営の基礎知識 |
| DS検定 | データサイエンティスト協会 | CBT・100問100分 | データ活用の基礎知識と判断力 |
| G検定 | 日本ディープラーニング協会 | オンライン100分/会場120分・約145問 | AI・ディープラーニングの知識 |
| 統計検定2級 | 統計質保証推進協会(日本統計学会公式認定) | CBT・35問程度・90分 | 統計手法の理解と計算 |
DS検定は、統計検定2級ほど計算問題を深く問う試験ではありません。その代わり、基盤・データサイエンス・データエンジニアリング・価値創造の4領域に、モデルカリキュラムを加えた範囲から浅く広く問われます。問題数が少ないぶん1問が重い統計検定2級に対し、DS検定は1問1分で数をこなす試験です。統計を深掘りしたい人には統計検定とG検定・E資格の違いもあわせて読むと、どこに進むべきかがはっきりします。
難易度の感触がつかめたら、残る問いは1つ。あなたは今、DS検定を受けるべきでしょうか。
DS検定を受けるべき人・後回しでいい人
DS検定が向いているのは、データを「使う側」に回る非エンジニアの社会人と、就活を控えた学生です。逆に、すでに統計検定2級やE資格を持つ人は、目的がはっきりしない限り優先度が下がります。
| あなたの立場 | 結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 企画・営業・マーケなど非エンジニアの社会人 | 最初の1本に向く | 分析結果を読む・頼む側に必要な語彙が一通りそろう |
| 開発・インフラのエンジニア | ITパスポートの次に | データエンジニアリング分野は既存知識で戦え、統計とビジネスを補える |
| 大学生・専門学校生 | 学生料金で今受ける | 税込5,500円で受けられ、ガクチカや志望動機の裏付けになる |
| データサイエンティスト志望 | 入口として受け、次へ進む | DS検定は★1つ目。統計検定2級や実務経験で上積みが必要 |
| 統計検定2級・E資格の保有者 | 目的があれば受ける | データサイエンス分野は重なるが、基盤・価値創造は別物。DX推進パスポートを狙う場合にも候補になる |
「リテラシーレベル」の限界も知っておく
DS検定に合格しても、それだけでデータサイエンティストとして採用されるわけではありません。協会の定義上も★は「見習いレベル」です。転職市場で評価されるのは、合格の事実よりも、その知識を使って何を分析し、どんな提案をしたかという実績のほうです。
だからこそ、DS検定は「ゴール」ではなく「共通言語の取得」と捉えるのが現実的です。データ担当者と同じ用語で会話しやすくなり、社内で分析を依頼するときに確認すべき点も整理しやすくなります。その土台を100分で証明できるのが、この試験の価値です。
第14回の日程と申込方法——締切は10月23日
次回の第14回は、2026年11月7日(土)から11月22日(日)の期間で実施されます。個人申込は10月23日(金)まで、団体申込は10月16日(金)までです。
| 項目 | 第14回の日程 |
|---|---|
| 試験期間 | 2026年11月7日(土)〜11月22日(日) |
| 個人申込 | 2026年9月21日(月)10:00〜10月23日(金) |
| 団体申込 | 2026年9月21日(月)10:00〜10月16日(金) |
| 合否発表 | 2027年1月中旬の予定 |
個人申込は、試験運営を担うCBT-Sの受験者ページから行います。期間内の好きな日時・会場を選んで予約する方式なので、試験期間の後半ほど学習時間を確保できます。ただし人気の土日枠は早く埋まるため、日付だけは早めに押さえておきましょう。
これまでの実施は3月・6月・11月の年3回が続いています。第15回以降の日程は、協会が決まり次第公式サイトで告知するとしています。
申込を済ませたら、次は勉強の段取りです。具体的な教材の選び方と日数の組み方はDS検定の勉強法ロードマップで、ver.6の新範囲に合わせて解説しています。
よくある質問
DS検定はオンラインで自宅受験できますか?
できません。DS検定は全国のテストセンターで受けるCBT方式です。オンライン回なら自宅で受けられるG検定とは受験スタイルが異なるので、会場までの移動時間も含めて予約しましょう。
DS検定に有効期限はありますか?
合格の有効期限は特に設けられていません。ただし、合格証とオープンバッジには合格した年が記載されます。範囲はスキルチェックリストの改訂に合わせて更新されていくため、何年の知識なのかは見る人に伝わる仕組みです。
数学が苦手でも合格できますか?
対策次第で合格を目指せます。統計検定2級のように計算問題を深く問う試験ではありませんが、公式の範囲には基本統計量や検定に加えて、線形代数・微分積分・集合論の基礎も含まれます。数学から離れている人は、公式の範囲と模擬問題で「どこまで問われるか」を先に確認し、基礎を思い出す時間を見込んでおきましょう。
DS検定とG検定はどちらを先に受けるべきですか?
仕事でデータ分析やレポートに触れるならDS検定、AIの企画や導入に関わるならG検定が先です。どちらもDi-Liteの推奨試験で、両方に合格すればDX推進パスポート2の対象になります。
まとめ
DS検定を受けるか迷っているなら、判断材料は3つです。自分の仕事にデータを読む・頼む場面があるか、第14回の個人申込締切(10月23日)までに日付を押さえられるか、そして新設の基盤・価値創造の問題を見て手が止まらないか。
もし次の第14回を狙うなら、申込締切の10月23日までに日付を押さえ、まずは協会の模擬問題10問を解いてみてください。手応えが分かれば、残りの学習期間で何を埋めるべきかが見えてきます。模擬問題で崩れた分野が分かったら、SkillStackの分野別正答率で、その分野の正答率が8割近くまで上がるかを追いかけてみてください。
参考サイト
- DS検定®★とは|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- DS検定®★ 過去実施結果|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- 第13回DS検定の試験範囲について|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- DS検定 模擬問題の公開について|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- データサイエンティスト検定 リテラシーレベル|CBT-Solutions(取得日: 2026年10月9日)
- デジタルバッジ「DX推進パスポート」の発行について|IPA(取得日: 2026年10月9日)
- 試験の合格の有効期間はありますか?|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- 合格ラインを教えてください|一般社団法人データサイエンティスト協会(取得日: 2026年10月9日)
- DX推進パスポート|デジタルリテラシー協議会(取得日: 2026年10月9日)
- G検定 試験概要|一般社団法人日本ディープラーニング協会(取得日: 2026年10月9日)
- 統計検定2級|統計検定(取得日: 2026年10月9日)
- 最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック 第4版|技術評論社(取得日: 2026年10月9日)
