「午前は過去問で何とかなる。問題は論述だ」——プロジェクトマネージャ試験の勉強法を調べる人の多くが、ここで手が止まります。結論から言うと、論述は最後に回すほど不利です。題材にする経験の棚卸しには時間がかかり、しかも令和8年度からは手書きではなくキーボード入力になるからです。
令和8年度のPMは後期のみで、科目A群の実施期間は2027年2月20日〜3月2日です。初日の2月20日に受ける想定なら、2026年10月6日から数えて20週弱あります。この記事では、その20週を4つの期間に分けた計画、午後Ⅰの読み方、論述で何字を何分で打てばいいかの逆算、そして途中で挫折する人の典型パターンまでを示します。
2027年2月20日から逆算する20週の計画
先に全体像です。科目A-2から始め、午後Ⅰの読解を挟み、論述の答案は第11週から書き始めます。題材の棚卸しは第1週から少しずつ並行し、論述の準備を年内に終えるのが、この計画のいちばんの要点です。
| 期間 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 第1〜4週(10/6〜11/2) | 科目A-2(午前Ⅱ)の過去問を年度単位で解く。A-1免除がない人はA-1も並行。論述の題材になるプロジェクトを書き出し始める | A-2を6年分2周 |
| 第5〜10週(11/3〜12/14) | 科目B-1(午後Ⅰ)の過去問を1問ずつ時間を計って解き、解答例と照合 | 週3問 |
| 第11〜16週(12/15〜1/25) | 棚卸しした題材をもとに、週1本ペースでキーボードで書く | 計6本 |
| 第17〜20週(1/26〜2/19) | 申込(2027年1月27日〜2月27日)。受付開始後、科目A群・B群の日程を早めに予約。A-2の総仕上げと、論述の書き直し | A-2で8割 |
科目A群のあとにも、科目B群まで日程上は最短14日、最長36日の時間があります(実際に選べる日時は会場の空き状況によります)。IPAは科目A群の得点が試験終了後に試験端末に表示され、マイページでも確認できるとしているので、通過が分かればこの期間を論述の仕上げに全振りできます。科目A群と科目B群の日付は、申込時に同時に予約する必要がある点に注意してください。
試験の全体像や合格率は、プロジェクトマネージャ試験とは|合格率・難易度と最後の回で確認できます。
計画を立てても、多くの人がつまずくのは第5週あたりです。科目A-2の過去問を解き終えた満足感で手が緩み、どの分野が弱いのかを確かめないまま午後Ⅰに進んでしまいます。演習の記録を残していないと、仕上げの第17週にどこへ戻ればいいかが分かりません。
科目A-2は過去問の反復で8割を目指す
科目A-2(午前Ⅱ)は25問・40分の多肢選択式で、基準点は60点です。プロジェクトマネジメントが中心で、セキュリティも重点分野として出題されます。ここは過去問の反復が最も効く科目です。
進め方は、年度単位で1回分25問を40分で解き、間違えた問題だけを翌週もう一度解く流れです。本番で6割を確実に超えるために、練習では8割を目標にしてください。初見で8割に届かなくても、間違えた問題を2週後に解き直して正解できれば、知識は定着しています。
科目A-1は免除を使えるか先に確認する
科目A-1(午前Ⅰ)は高度試験共通の30問・50分です。応用情報技術者試験の合格、高度試験か支援士試験の合格、またはそれらのA-1(令和7年度までは午前Ⅰ)で基準点以上を取ると、その後2年間、申込時に申請すれば免除を受けられます。免除を使えるなら、A-1の勉強時間はまるごとA-2と論述に回せます。
午後Ⅰ(科目B-1)は「事例の中の根拠」を探す読み方で解く
科目B-1は90分で3問から2問を選ぶ記述式です。1問に使える時間は約45分。問題文は数ページにわたるプロジェクトの事例で、設問は「なぜその対応をしたのか」「何を確認すべきか」を数十字で答えさせます。
点が伸びない原因になりやすいのが、自分の経験や一般論で答えてしまうことです。PMの午後Ⅰは、解答の根拠を問題文の中から探すのが基本です。次の順で読んでください。
- 設問を先に読む。何を何字で答えるのかを頭に入れてから事例を読みます。
- 事例の中で、設問に対応する段落に印をつける。「〜を懸念した」「〜という制約がある」など、判断の理由になる記述を探します。
- 根拠になった表現を使って答える。事例の言葉を借りて、設問の字数に収めます。
解き終えたら、IPAが公開している解答例と照合し、自分の答えの根拠が事例のどこにあったかを確かめます。解答例と違った問題は、事例の中で見落とした一文を探してください。この照合を18問(令和2〜7年度の3問×6年分)繰り返すと、根拠を探す目が育ちます。
論述はキーボードで書く——打鍵速度から逆算する
科目B-2は120分で2問から1問を選び、3つの設問(ア・イ・ウ)に答える論述式です。令和7年度の問題では、設問アが400〜800字、設問イが800〜1,600字、設問ウが600〜1,200字。3つの下限を足すと1,800字、上限を足すと3,600字です。評価はA〜Dのランクで、合格はAだけです。
令和8年度からは、これをキーボードで入力します。CBT-Solutionsが前期の論述区分向けに公開した操作説明では、設問ごとに入力欄があり、入力中の文字数と上限文字数が画面の右下に表示されます。上限を超えた入力は削除されます。メモ画面からのコピー・貼り付けはボタン操作で可能ですが、Ctrl+Cのようなキー操作は使えません。この操作説明の対象は前期のST・SA・SMで、後期のPM向けはまだ公開されていません。同一仕様とは限らないので、公開後に確認してください。
2,600字を書くなら、1分あたり約29字(編集部の試算)
以下は公式の基準ではなく、編集部の試算です。120分のうち、問題選択と構成に20分、見直しに10分を取ると、入力に使えるのは90分です。目標の字数ごとに、1分あたりに必要な入力速度は次のようになります。
| 目標の字数 | 入力に使える時間 | 必要な速度 |
|---|---|---|
| 2,000字 | 90分 | 約22字/分 |
| 2,600字 | 90分 | 約29字/分 |
| 3,200字 | 90分 | 約36字/分 |
この速度は「考えながら打つ」速さです。普段のメールのように打てても、論述では言葉を選びながら書くので速度は落ちます。最初の論述練習では、必ずタイマーを使い、90分で何字打てたかを記録してください。2,000字に届かないなら、構成の段階で書く内容を具体的に決めておく練習が必要です。
論述の題材は年内に「棚卸し」しておく
論述は、あなたが関わったプロジェクトの経験を設問に沿って書く形式です。本番で題材を探していては時間が足りません。第11週の最初に、次の項目を2〜3件のプロジェクトについて書き出しておきます。
- プロジェクトの目的、規模(期間・人数・予算)、あなたの立場
- 起きた問題や、予測したリスク
- あなたが下した判断と、その理由
- 結果と、振り返って改善できた点
この棚卸しがあれば、本番でどの問題が出ても、題材を設問に合わせて組み替えるだけで済みます。書いた論述は、設問の問いに一つずつ答えているかを第三者の目で確かめてもらうのが理想です。
PM対策でつまずく3つのパターン
PMの勉強が止まる代表的な場面を3つ挙げます。事前に知っていれば避けやすくなります。
パターン1:論述を本番前に1本も書かない
「午前と午後Ⅰが通ってから考える」と後回しにし、本番で初めて2時間の論述に向き合う形です。CBTではこれに加えて、時間内に打ち切れるかという問題が出ます。最低でも6本は、時間を計ってキーボードで書いてください。
パターン2:経験談を書くだけで、設問に答えていない
A評価を得るための重要な観点の1つが、設問の問いに順番どおり答えているかです。IPAの採点講評は、題意に沿っているか、プロジェクトマネージャとしての具体的な考えや行動が書かれているかも重視しています。たとえば設問が「対策の内容と、それが有効と考えた理由」を問うなら、理由が書かれていない論述は、どれだけ具体的でも評価が下がります。設問文の「〜について」を全部抜き出し、自分の論述のどこで答えたかに印をつけて確認してください。
パターン3:午後Ⅰを自分の経験で解いてしまう
実務経験が長い人が陥りやすいのがこれです。「自分の現場ならこうする」と答えても、事例の中に根拠がなければ得点になりません。解答例と照合して違ったときは、自分の答えを正当化せず、事例のどの一文を見落としたかを探す習慣をつけてください。
よくある質問
プロジェクトマネージャ試験の勉強時間はどれくらい必要ですか
IPAは必要な学習時間を公表していません。応用情報に合格しているか、科目A-1の免除を使えるか、題材にできる経験があるかで大きく変わります。この記事の20週の計画は、平日に1時間前後、休日に2〜3時間を確保できる人を想定した一例です。
論述は手書きで練習しても意味がありますか
構成の練習としては意味があります。ただし令和8年度の本番はキーボード入力なので、時間内に打ち切れるかは手書きでは確かめられません。仕上げの段階では、テキストエディタで字数を数えながら、120分を計って「構成20分・入力90分・見直し10分」で書き切る練習に切り替えてください。
論述の題材にできるプロジェクト経験がない場合はどうすればいいですか
小規模なプロジェクトや、メンバーとして関わった案件でも、実際に自分が担当した計画・調整・リスク対応などのマネジメント業務があれば題材にできます。経験していない判断を創作するのではなく、自分が実際に行った判断とその理由を具体的に書けるかが鍵になります。
今回を逃すと次はいつ受けられますか
IPAは現行の試験制度を2026年度の実施をもって終了する予定と公表しています。2027年度からはプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)に再編され、プロジェクトマネジメントはマネジメント領域に含まれる案です。現行形式のPMとしては、2027年2〜3月の後期が最後の回になる見込みです。
まとめ
プロジェクトマネージャ試験の勉強法は、論述を後回しにしないことに尽きます。科目A-2と午後Ⅰを固めつつ、12月中旬には題材の棚卸しを終え、キーボードで6本書きます。2027年2〜3月の後期は現行形式で受けられる最後の回の見込みで、現行形式のPMを翌年度に受け直す機会はない予定です。論述でいちばん難しいのは、書いた答案が設問に答えているかを自分で判断することです。SkillStackでは令和7年度の午後Ⅱ論述問題に答案を入力してAI添削を受けられるので、設問アからウまでの問いに答え切れているかを、本番前に第三者の目で確かめられます。
参考サイト
- IPA|スケジュール、手数料など(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|試験要綱・シラバスについて(試験要綱 Ver.5.6・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|過去問題(問題冊子・解答例・採点講評)(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問題冊子(PDF・取得日: 2026年10月6日)
- CBT-Solutions|令和8年度 前期試験 応用情報技術者試験及び高度試験(SC含む)(論述式出題ありの操作説明を含む・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(取得日: 2026年10月6日)
