「プロマネの経験はあるけれど、資格として証明するなら何を受ければいい?」——その答えの代表格が、IPAのプロジェクトマネージャ試験(PM)です。令和7年度の合格率は14.3%。受験した8,511人のうち、合格したのは1,219人でした。
そして今、この試験は大きな節目にあります。IPAは現行の試験制度を2026年度の実施をもって終了する予定と公表しており、PMは2027年2〜3月の後期試験が今の形で受けられる最後の回になる見込みです。この記事では、試験の中身と難しさを数字で確かめたうえで、CBT化で何が変わったか、そして最後の回に挑むべきかを判断するための材料をそろえます。
プロジェクトマネージャ試験とは——プロジェクトマネジメントの力を認定する国家試験
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の「高度試験」に属する国家試験です。システム開発プロジェクトを計画から実行、終結まで主導するための知識・技能が、一定の水準に達しているかを認定します。想定しているのは、プロジェクトの目標達成に向けて、予算・要員・スケジュール・リスクを全体最適で管理する立場の人です。
高度試験は全部で8区分あり、PMはそのうちマネジメント系に分類されます。受験資格の制限はなく、年齢や実務経験を問わず誰でも受けられます。ただし、出題の前提は「あなたが責任者として関わったプロジェクト」。最終科目の論述式では、自分の経験をもとに2時間で文章を書き上げます。
応用情報との大きな違いは、最終科目の論述式
応用情報技術者試験もプロジェクトマネジメントを扱い、科目Bは記述式です。PMとの大きな違いは、最後に120分の論述式があること。与えられた事例に答えるだけでなく、自分が関わったプロジェクトで「なぜその判断をしたか」を自分の言葉で書く力が問われます。
| 比較項目 | 応用情報技術者 | プロジェクトマネージャ |
|---|---|---|
| 区分 | レベル3 | レベル4(高度試験) |
| マネジメントの問われ方 | 多肢選択式と、事例への記述式 | 多肢選択式・記述式に加え、自分の経験を論述 |
| 最終科目の形式 | 記述式 | 論述式(2問から1問を選んで書く) |
| 令和7年度の合格率 | — | 14.3% |
| 受験手数料 | 7,500円 | 7,500円 |
受験手数料は7,500円(消費税込み)で、応用情報と同じです。応用情報を先に取っておくと、PMの科目A-1が2年間免除されるという実利もあります。
とはいえ「誰でも受けられる」と「誰でも受かる」は別の話です。PMでは、範囲の広さより、何から手をつけるべきか見えないまま時間だけが過ぎていくことが最初のつまずきになります。
合格率は14.3%——3年分の数字で見る難易度
PMの合格率は、ここ3年で13〜14%台に収まっています。IPAが公表した令和5〜7年度の秋期試験の結果は次のとおりです。
| 年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度秋期 | 13,540人 | 8,511人 | 1,219人 | 14.3% |
| 令和6年度秋期 | 13,481人 | 8,627人 | 1,195人 | 13.9% |
| 令和5年度秋期 | 12,197人 | 7,888人 | 1,066人 | 13.5% |
受験者のおよそ7人に1人しか合格しない計算です。もう1つ見ておきたいのが応募者と受験者の差。令和7年度は13,540人が申し込み、実際に受験したのは8,511人でした。申し込んだ人の約37%が当日の試験を受けていません。欠席の理由は公表されていませんが、申し込んだ人の3人に1人以上が当日の試験を受けていない計算です。
合格者の平均年齢は、受験者全体より約3歳低い
IPAが公表している平均年齢の統計には、興味深い差が出ています。令和7年度秋期のPMは、受験者の平均が40.6歳なのに対し、合格者の平均は37.7歳でした。令和6年度も受験者40.5歳・合格者37.9歳と、同じ傾向です。
平均年齢の差の理由や、実務経験の長さとの関係は、公表資料からは判断できません。ただ少なくとも平均値で見る限り、年長の受験者ほど合格しやすいという傾向は表れていません。
CBT化で何が変わったか——科目A群・B群の構成
令和8年度(2026年度)から、PMを含む高度試験はCBT方式で実施されます。PMの初回は2027年2〜3月の後期です。紙の試験で1日に受けていた午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱは、名前を変えて2日に分かれます。IPAは、出題範囲・出題形式・出題数・試験時間はいずれも変わらないとしています。
| 科目(旧名称) | 時間 | 出題形式 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1(午前Ⅰ) | 50分 | 多肢選択式 30問(高度共通) | 60点以上 |
| 科目A-2(午前Ⅱ) | 40分 | 多肢選択式 25問 | 60点以上 |
| 科目B-1(午後Ⅰ) | 90分 | 記述式 3問中2問 | 60点以上 |
| 科目B-2(午後Ⅱ) | 120分 | 論述式 2問中1問 | 評価ランクA |
科目A-1の免除を使わない場合、4科目すべてで基準を満たして初めて合格です。しかも多段階で選抜され、科目A-1か科目A-2が基準点に届かなければ科目B-1・B-2は採点されず、科目B-1が届かなければ科目B-2は採点されません。どれだけ論述を書き込んでも、科目A群で基準に届かなければ評価されない仕組みです。
科目A群と科目B群は別の日——間は最短14日
CBT化でいちばん大きい変化は、科目A群(A-1・A-2)と科目B群(B-1・B-2)を別の日に受けることです。PMは後期のみの実施で、令和8年度後期の日程は次のとおりです。
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 申込受付 | 2027年1月27日〜2月27日 |
| 科目A群(A-1・A-2) | 2027年2月20日〜3月2日 |
| 科目B群(B-1・B-2) | 2027年3月16日〜3月28日 |
| 合格発表 | 2027年6月頃(予定) |
期間の中から自分で受験日を選ぶ形なので、科目A群と科目B群の間隔は日程上、最短14日、最長36日と人によって変わります(実際に選べる日時は会場の空き状況によります)。IPAは科目A群の得点が試験終了後に試験端末に表示され、マイページでも確認できるとしています。科目Aを通過したと分かった状態で、論述の仕上げに集中できる設計です。日程や申込の流れは、応用情報・高度試験のCBT化と別日受験の仕組みで詳しく整理しています。
論述もキーボード入力になる
手書きだった論述は、CBTではキーボードで入力します。CBT-Solutionsが前期の論述区分(ST・SA・SM)向けに公開した操作説明では、設問ごとに入力欄があり、入力した文字数と上限文字数が右下に表示されます。上限を超えて入力した分は削除される仕様です。後期のPM向けの説明はまだ公開されていませんが、同じ論述式なので同様の画面になると見られます。
2027年度の再編で、現行のPMは「最後の回」になる見込み
IPAは2026年3月31日に試験制度の見直し案を公表し、現行の試験制度を2026年度の試験実施をもって終了する予定だとしました。2027年度からは、応用情報と高度試験を再編した「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」が、マネジメント・データ・AI・システムの3領域で始まる計画です。
このうちマネジメント領域の案には、プロジェクトの立ち上げから終結までのスコープ、時間、コスト、資源、リスクを責任をもってマネジメントする技能が分野の1つとして明記されています。ただし新試験はPMの名称変更ではなく、応用情報と高度試験を大括りにした再編で、科目構成も変わる案です。新試験の開始は2027年度の夏〜秋頃の予定で、シラバス案はIPAが順次公表しています。
| あなたの状況 | 考え方 |
|---|---|
| 論述の題材にできるプロジェクト経験がある | 2027年2〜3月の後期が現行のPMで受けられる最後の回の見込み。ここで取り切る価値が大きい |
| 2年以内に応用情報に合格、または高度試験の午前Ⅰを通過 | 申込時に申請すれば科目A-1の免除を使える。期限を申込前に確認 |
| プロジェクト経験がまだ浅い | 新試験のマネジメント領域のシラバス案を見て、2027年度以降に照準を合わせる選択肢もある |
| すでにPMに合格している | 情報処理技術者試験の合格に有効期限はなく、再編後も合格の事実は残る |
なお、IPAは現行の高度試験で一部科目の免除要件を満たした人について、新試験でも一定期間、一部科目を免除する経過措置を検討中としています。新試験の中身はプロフェッショナルデジタルスキル試験のシラバス案で確認できます。
よくある質問
プロジェクトマネージャ試験は実務経験がなくても受けられますか
受けられます。受験資格の制限はありません。ただし科目B-2の論述式は、自分が関わったプロジェクトの経験を前提に書く形式です。経験が少ない場合は、小規模なものも含めて実際に自分が参画したプロジェクトを題材に、自分の役割と判断を設問に沿って整理して書く練習が欠かせません。
科目A-1の免除はどんな条件で受けられますか
応用情報技術者試験に合格する、いずれかの高度試験か情報処理安全確保支援士試験に合格する、またはそれらの科目A-1(令和7年度までは午前Ⅰ)で基準点以上を取ると、その後2年間、申込時に申請することで免除を受けられます。免除を使うかどうかは申込時に決める必要があります。
PMとITストラテジストやシステム監査技術者はどう違いますか
いずれもマネジメント系の高度試験で、最終科目が論述式という点は共通です。PMは開発プロジェクトの管理、ITストラテジストは経営戦略とIT投資の企画、システム監査技術者は情報システムの監査が中心です。実施時期も分かれており、ITストラテジストは前期、PMとシステム監査技術者は後期です。
合格したら何がもらえますか
経済産業大臣名の合格証書が交付され、官報に氏名が公示されます。情報処理技術者試験の合格には有効期限がなく、更新の手続きも不要です。
まとめ
プロジェクトマネージャ試験は、合格率14%前後、科目A-1の免除がなければ4科目すべてで基準を超えて初めて合格できる試験です。そして2027年2〜3月の後期は、今の形で受けられる最後の回になる見込みです。申込は2027年1月27日から。2026年10月6日時点で、科目A群の開始まで約20週。その時間を、どこに配分するかで結果が変わります。まずは科目A-2の過去問を1回分解いて、今の自分が何割取れるかを確かめてみてください。SkillStackには令和2〜7年度のPMの過去問が入っていて、令和7年度分は無料で解けるので、その最初の1回の現在地確認に使えます。
参考サイト
- IPA|令和7年度秋期情報処理技術者試験(応用情報技術者試験、高度試験)及び情報処理安全確保支援士試験の合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|令和6年度秋期 合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|令和5年度秋期 合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|統計情報 平均年齢(PDF・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|スケジュール、手数料など(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|試験要綱・シラバスについて(試験要綱 Ver.5.6・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|新試験制度のシラバスについて(取得日: 2026年10月6日)
- CBT-Solutions|令和8年度 前期試験 応用情報技術者試験及び高度試験(SC含む)(取得日: 2026年10月6日)
