AWS AIB-C01(AWS Certified AI Business Strategist)の試験ガイドが公開されました。スコアは100〜1,000の換算スコアで合格基準は700点、出題は4分野。最大の配点は「AI戦略とビジネス価値の創出」の28%です。
受験時期を決めるうえで押さえておきたい差もあります。現在は登録受付中で、試験の実施は2026年9月29日から。そのベータは170分ですが、試験ガイドが示す標準版の試験時間は130分です。ベータのほうが40分長い設定になっています。
この記事では、試験ガイドをもとに4分野の配点と範囲外の線引きを確認し、そのうえで半額のベータをいま受けるか、標準版の提供開始を待つかを判断できるところまで整理します。
ベータと標準版で試験仕様が違う
認定ページに表示されている170分・85問はベータの数字で、試験ガイドが示す標準版の130分とは別物です。両者を並べると次のようになります。
| 項目 | ベータ | 標準版(GA) |
|---|---|---|
| 試験時間 | 170分 | 130分 |
| 問題数 | 85問 | 試験ガイドに記載なし |
| 受験料 | 50 USD | 100 USD |
| 出題形式 | 択一選択問題/複数選択問題 | 択一選択問題/複数選択問題 |
| スコア | 100〜1,000の換算スコア(合格基準700) | 100〜1,000の換算スコア(合格基準700) |
| 実施言語 | 英語・日本語 | 英語・日本語に他言語を追加予定 |
| 受験回数 | 1回のみ | 制限なし(不合格後14日待機・都度受験料) |
この40分の差について、AWSはベータ試験一般の説明として「Beta exams contain additional items used for statistical evaluation. These additional items do not affect your score. The additional time and questions account for this.(ベータ試験には統計評価用の追加設問が含まれる。これらはスコアに影響しない。追加の時間と設問数はそのぶんを見込んだもの)」と記載しています。
同じ差は他の試験でも見て取れます。Machine Learning Engineer - Associateは、現行のMLA-C01が130分・65問なのに対し、ベータのMLA-C02は170分・85問です。この説明と実例から、AIB-C01の延長時間も追加設問を見込んだものと考えられます。ただしAIB-C01については標準版の問題数が公表されていないため、設問がいくつ上乗せされているかは分かりません。
いずれにせよ、ベータは受験料が半額になる一方で試験時間は長くなります。この区分がAWS認定のどこに位置づけられるかはAWSビジネス認定という新区分の解説を参照してください。受験回数の制約もあるため、条件を確認しないまま申し込むと想定と違う条件で当日を迎えることになります。
出題は4分野——戦略が28%で最大
試験ガイドが示す配点は次のとおりです。配点差は小さく、戦略の28%以外は3分野とも24%で並んでいます。
| 分野 | 配点 | 問われること |
|---|---|---|
| AIの基礎とリテラシー | 24% | AI概念と用語をビジネス文脈に当てはめる。要件に合うAIの活用方法を選ぶ。プロンプトエンジニアリングやモデル適応の活用 |
| AI戦略とビジネス価値の創出 | 28% | 組織目標に沿ったAI戦略の策定と優先順位づけ。KPI・ROIフレームワーク・ベースライン指標による価値測定 |
| AIガバナンスと責任あるAIのリーダーシップ | 24% | トレードオフを伴う判断への責任あるAI原則の適用。ガバナンス体制の構築と規制対応。全社的なAIリスクの特定と緩和 |
| ビジネスの準備・リーダーシップ・AI変革 | 24% | 人・プロセス・技術・ガバナンスの4面での成熟度評価。全社的な変革管理。パイロットから全社展開へのスケール |
目を引くのは分野1です。「AIの基礎とリテラシー」には、プロンプトエンジニアリングやモデル適応といった生成AIの実践的な概念が含まれます。ビジネス向けだからといって、AIそのものの理解を素通りできる構成にはなっていません。
AWSサービスは「高レベルの理解」まで
試験ガイドは、必要なAWS知識の範囲を具体名で示しています。手を動かす経験は求めないが、何ができるサービスかは知っておく、という水準です。
- Amazon Bedrock(生成AI基盤、料金体系、Guardrails、Knowledge Bases)
- Amazon SageMaker AI(カスタムMLと、マネージド/カスタムの使い分け)
- Amazon Quick(AIによる業務アシスタント)
- AWS Cloud Adoption Framework(AI施策の計画とスケール)
- AWS責任共有モデル(AIワークロードのデータセキュリティとコンプライアンス)
- AWS Well-Architected Framework の Responsible AI Lens
- AWS Pricing Calculator・Cost Explorer・Marketplace(ROI試算と内製/購買/協業の判断)
料金体系(従量課金・インスタンス課金・シート課金)やSavings Plansといったコスト最適化の考え方まで挙がっているのが、この試験らしいところです。技術の中身ではなく、投資判断に必要な範囲でAWSを押さえることが求められます。
難易度をどう見るか——範囲外の線引きが答えになる
難易度を測る手がかりは、試験ガイドが明示した「範囲外」のリストです。AWSは受験者に求めない作業を10項目挙げています。
- AI・MLのモデルやアルゴリズムの開発・実装
- データエンジニアリングや特徴量エンジニアリング
- ハイパーパラメータ調整やモデル最適化
- AI・MLのパイプラインやインフラの構築・デプロイ
- AI・MLモデルの数学的・統計的分析
- AI・MLシステムのセキュリティ/コンプライアンスの実装
- AWSサービスやクラウドインフラの設定・デプロイ・管理
- アルゴリズム・フレームワーク・技術アーキテクチャの選定やチューニング
- データの前処理・クレンジング・ラベリング
- 本番AIシステムの技術運用(監視・デバッグ・性能のトラブルシュート)
ここまで実装を外している以上、実装技術の深さを直接問う試験ではありません。判定は補正スコアモデルで、分野ごとの足切りはなく総合で700点に届けば合格です。苦手分野を得意分野で補える設計になっています。
とはいえ、易しい試験と読み替えるのは早計です。AWSが想定する受験者像は「AIを導入するチームと共に、またはその近くで働いた6か月程度の経験がある人」。実務でAIの投資判断や社内展開に触れていないと、ROIの測り方やガバナンス設計の設問は具体像を持てないまま解くことになります。逆に日常でその議論をしているなら、勉強すべきは用語の整理とAWSのサービス名の対応づけに絞れます。
ベータをいま受けるか、標準版を待つか
費用と早期取得を優先するならベータ、再受験の余地と短い試験時間を優先するなら標準版です。条件の違いを並べます。
| あなたの状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 費用を抑えたい | ベータ | 50 USD。標準版の半額 |
| 早期取得の実績が欲しい | ベータ | 2027年2月15日までの取得でEarly Adopterバッジが追加付与 |
| 日本語で受けたい | どちらでも | AIB-C01はベータ段階から英語・日本語で提供 |
| 落ちたらすぐ受け直したい | 標準版 | ベータは1回限りで、再受験は標準版の提供開始を待つ必要がある |
| 長時間の試験が負担 | 標準版 | 170分と130分で40分の差がある |
| 市販の対策本で固めたい | 標準版 | 新設認定のため、2026年9月2日時点では教材の選択肢が限られる可能性がある |
分かれ目は再受験の扱いです。ベータは50 USDで受けられますが1回限りで、落ちた場合は標準版の提供開始を待つことになります。標準版は1回あたり100 USDで、不合格後14日を空ければ改めて受験料を払って再挑戦できます。料金だけで決めず、自分がどちらの制約を受け入れられるかで選んでください。ベータ共通の規定はAWSのベータ試験の5つのルールで整理しています。
よくある質問
ベータで合格しても正式な認定になりますか
なります。AWSは「ベータ試験に合格した受験者は、その新しい認定を最初に保有する人たちの一員になる」と説明しています。ベータ限定の格下の認定が発行されるわけではありません。
結果はいつ分かりますか
AIB-C01の結果は、受験完了後5営業日以内に確認できます。AWSはベータ試験を含むすべての認定試験について同じ基準を示しています。
AIF(AI Practitioner)を先に取るべきですか
必須ではありません。AIB-C01に前提資格はなく、コーディングもAWSの実装経験も求められません。ただし分野1「AIの基礎とリテラシー」は24%を占め、AIFが扱う概念と重なります。AI用語に不安があるなら、先にAIFの範囲を通しておくと分野1の負担が減ります。
試験時間は170分と130分のどちらですか
ベータを受けるなら170分、標準版の提供開始後なら130分です。AWSはベータ試験一般について、追加時間は統計評価用の追加設問を見込むためだと説明しています。MLA-C02の実例も踏まえると、AIB-C01の40分差も同じ理由と考えられますが、AIB-C01固有の説明は確認できていません。なお追加設問はスコアに影響しません。
どのくらいの経験が必要ですか
AWSは「AIを導入するチームと共に、またはその近くで働いた6か月程度の経験」を目安に挙げています。加えて、推薦エンジン・自然言語処理・コンピュータビジョン・文書抽出・カスタマーオペレーション向けAIといった代表的なAIツールの分類と、その業務適用を認識できることが期待されています。構築や設定ができる必要はありません。
まとめ
AIB-C01は実装作業を出題範囲外とし、AI基礎24%・戦略28%・ガバナンス24%・組織変革24%を通じて判断力を測る試験です。10項目の範囲外リストが、その線引きをはっきり示しています。分野ごとの合格基準はなく、総合スコアで700に達すれば合格です。受験時期は、50 USDと早期バッジを取りにいくか、130分の短さと再受験の余地を取るかで決まります。迷いの理由が「AIの用語そのものに自信がない」ことなら、判断を先延ばしにする必要はありません。SkillStackならAIFの全問題に無料で取り組めます。配点24%の分野1と重なる基礎用語がどこまで身についているか、受験を申し込む前に確かめる用途にも使えます。
参考サイト
- AWS Certified AI Business Strategist (AIB-C01) 試験ガイド(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Business Strategist(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- Introducing AWS Certified AI Business Strategist(AWS公式ブログ・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(ベータと標準版の仕様差。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS認定 受験前のポリシー(ベータ試験の規定。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS認定 受験後のポリシー(再受験の規定。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certification FAQs(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Practitioner(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
