AWS ビジネス認定という区分が、2026年9月1日の発表で加わりました。Foundational・Associate・Professional・Specialtyという長年の4区分に続く5つ目です。2026年9月2日時点で所属するのは AWS Certified AI Business Strategist(AIB-C01)だけ。ベータの登録受付が始まっており、試験の提供開始は9月29日です。
意外なのは分量です。非エンジニア向けと聞くと軽い試験を想像しますが、AIB-C01は170分・85問。入門区分のAI Practitioner(90分・65問)と比べて試験時間は約1.9倍あります。
この記事では、AWSがなぜ技術の深さとは別の軸で区分を作ったのか、既存のCLF・AIFと何が違うのかを整理します。読み終えれば、自分がこの新区分を狙う側なのか、それとも従来のAIFで足りるのかを判断できます。
AWS認定に5つ目の区分ができた
AWSの認定ページは、認定を5つの区分に分けて掲載しています。従来の4区分に「Business Certifications」が加わった形です。
| 区分 | 含まれる認定 | 問われるもの |
|---|---|---|
| Business | AI Business Strategist(AIB-C01) | AI活用の戦略・ガバナンス・組織展開 |
| Foundational | Cloud Practitioner(CLF)/AI Practitioner(AIF) | 基礎知識と用語 |
| Associate | SAA/DVA/CloudOps/MLA/DEA | 職務領域ごとの実務スキル |
| Professional | Solutions Architect/DevOps Engineer | 上位の設計・運用 |
| Specialty | Security/Advanced Networking | 専門領域の深い知識 |
Businessは上下のレベルを示す区分ではありません。Foundationalの下に置かれた「もっと簡単な入門」でも、Professionalの上に乗る「もっと格上の資格」でもない。技術の深さを測る名称とは別の軸で並んでいます。
AWS認定全体の並びと難易度の関係はAWS認定資格の難易度ランキングと取得順番で整理していますが、そこで扱った技術系ルートに今回の区分は接続していません。
区分が増えても受験者の悩みは変わりません。「自分はどれから手をつけるべきか」です。AI関連だけでもAIF・AIB・MLAと入口が増えました。目的と認定がずれると、必要のない範囲に学習時間を費やすことになります。まずはAWSがこの区分を作った背景から見ます。
なぜ非エンジニア向けの認定を作ったのか
AWSは発表ブログで、AIの導入率と成果創出率の開きを背景に挙げています。「too many organizations still treat AI as only a technology initiative(多くの組織がAIをいまだ技術の取り組みとしてのみ扱っている)」という一文が、この認定の出発点です。
ブログが引用している数字は3つです。
- 組織の88%が少なくとも1つの業務でAIを使っている(AWSがMcKinsey・2025年として引用)
- 意味のある成果が出ていると答えたのは19%(AWSがServiceNow/Oxford Economics・2025年として引用)
- AI関連の認定保有者は昇進が3.5倍速い(AWSがRandstad・2026年5月として引用)
88%と19%は別々の調査によるもので、AWSがこの2つを並べて「利用の広がりと成果創出の隔たり」を説明している、という関係です。導入した組織は多いのに、成果に届いたと答えられるのは一部にとどまる。AWSはその隔たりに対して、戦略・ガバナンス・組織の準備を扱う認定を用意しました。
AIB-C01の出題分野もその方向に振れています。AIの基礎とリテラシー、AI戦略とビジネス価値の創出、AIガバナンスと責任あるAIのリーダーシップ、ビジネスの準備・リーダーシップ・AIトランスフォーメーション。AWSは受験にあたってコーディング経験もAWSの実装経験も前提としていません。各分野の配点や合格基準はAIB-C01の出題範囲と難易度で詳しく扱っています。
ビジネス区分は入門区分ではない
ビジネス向けという語感から想像するより、試験の分量はあります。CLF・AIF・AIBの3つを並べると、AIB-C01が最も長く、問題数も最多です。
| 項目 | CLF-C02 Cloud Practitioner | AIF-C01 AI Practitioner | AIB-C01 AI Business Strategist |
|---|---|---|---|
| 区分 | Foundational | Foundational | Business |
| 試験時間 | 90分 | 90分 | 170分 |
| 問題数 | 65問 | 65問 | 85問 |
| 受験料 | 100 USD | 100 USD | 100 USD(ベータは50 USD) |
| 実施言語 | 12言語 | 12言語 | 英語・日本語 |
| 想定経験 | AWS経験は必須ではない(接点は6か月程度までが目安) | AWS上のAI/ML技術に親しんでいる | AIの取り組みに関わって6か月程度 |
| コーディング経験 | 不要 | 不要 | 不要(AWS実装経験も不要) |
| 状態 | 提供中 | 提供中 | ベータ(試験提供は2026年9月29日開始) |
試験時間はCLF・AIFの90分に対して170分、約1.9倍です。問題数も65問から85問へ増えています。標準価格は3つとも100 USDで横並びなので、価格の面でも「安い入門枠」として置かれたわけではありません。ただし、この仕様だけで難易度を比較することはできません。分かるのは、3試験のなかでAIB-C01が最も長く、設問も多いという事実までです。
実施言語にも違いがあります。CLF・AIFが12言語なのに対し、AIB-C01は英語と日本語の2言語です。AIB-C01はベータ段階から日本語に対応しており、英語のみで始まったMachine Learning Engineer(MLA-C02)とは扱いが異なります。
AIF・AIB・MLAをどう使い分けるか
迷いどころは、AI関連の認定が3つに増えたことです。3つは難易度の順番ではなく、問われる対象で分かれています。
| 認定 | 問われる対象 | 典型的な立場 |
|---|---|---|
| AIF-C01 | AI/MLと生成AIの概念、AWSのAIサービスの基礎理解 | AIを扱う業務に関わりはじめた人。職種は問わない |
| AIB-C01 | AI活用の戦略・投資判断・ガバナンス・組織展開 | AIの成否に責任を持つが自分では作らない立場 |
| MLA-C02 | AI/MLの実装・デプロイ・運用 | モデルやパイプラインを自分で構築・運用する人 |
AIFとAIBの分かれ目は「AIそのものを理解したいのか、AIを事業成果に結びつける判断を問われるのか」です。AWSがAIB-C01の想定として挙げているのは、プロダクト/プログラムマネージャー、営業・事業開発、事業部門のリーダー、コンサルタント、ビジネスアナリスト、マーケティング担当。いずれも投資判断や社内展開の側に立つ職種です。
現在の業務にも目指す役割にもAI活用の意思決定が絡まないなら、AIB-C01の優先度は低めになります。その先の選択は担当領域しだいです。まず概念から固めるならAIF、モデルやパイプラインの構築・運用を担うならMLAへ進むことになります。AIFの難易度と出題範囲はAIFとは|AWS AI認定の出題範囲・難易度にまとめてあり、SkillStackではAIFの問題集を全問無料で公開しているので、出題の感触を確かめてから受験を決められます。
よくある質問
ビジネス認定はFoundationalより上位ですか
上下関係はありません。AWSは5つの区分を並列に掲載しており、Businessは技術の深さを示す名称とは別の軸に置かれています。AIB-C01の推奨経験も「AIの取り組みに6か月関わっていること」で、AWSの実装経験は求められていません。
エンジニアが受ける意味はありますか
役割によります。実装だけを担当しているなら出題範囲との重なりは小さく、AIFやMLAのほうが近いところにあります。一方でテックリードやコンサルタントとして投資判断や社内展開の議論に加わるなら、AIB-C01が扱うガバナンスや価値算定は業務と接続します。
受験料はいくらですか
標準価格は100 USDです。ベータ期間中は50 USDで、CLF-C02・AIF-C01と同じ100 USDの価格帯に置かれています。
ビジネス区分の認定は今後増えますか
2026年9月2日時点でBusiness区分にあるのはAIB-C01の1本だけです。AWSは追加の予定を公表していません。区分としてわざわざ新設した以上は拡張の余地がありそうですが、現時点では推測の域を出ません。
まとめ
AWSがビジネス認定を設けた背景は、88%と19%の差にあります。AIを導入した組織は多いのに、成果に届いているのは2割に満たない。その差に効くのは実装力とは別の判断力だ、というのがAWSの立てた仮説です。だからこの区分は技術系4区分の上でも下でもなく、横に並べられました。170分85問という分量からも、内容が軽いものとして設計されていないことが読み取れます。自分の仕事で問われているのがAIの理解なのか、AIをめぐる意思決定なのか。そこで進む道が分かれます。まずは前者から足場を固めるなら、費用をかけずに試せるAIFから始めるのが手堅い選び方です。
参考サイト
- Introducing AWS Certified AI Business Strategist(AWS公式ブログ・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certification(区分一覧。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Business Strategist(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Practitioner(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified Cloud Practitioner(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- Certification updates from AWS Training and Certification: September 2026(AWS公式ブログ・取得日: 2026年9月2日)
