AWSのベータ試験は、標準価格より割り引かれます。2026年9月に登録を受け付けている2つを見ると、AIB-C01が50 USD(標準100 USD)、MLA-C02が75 USD(標準150 USD)。どちらもちょうど半分です。
ただし割引とセットで確認しておきたい制約があります。ベータは1回しか受けられず、落ちた場合は正式版が一般提供されるまで再受験できません。この2試験については、試験時間も比較対象より40分長く設定されています。
AWSが公開しているベータ試験の規定を5つのルールに整理し、割引とあわせてどんな制約がつくのかを実数で示します。制度上の制約を確認したうえで、現在登録受付中の2試験を判断する材料にしてください。
ベータ試験は「問題の実地テスト」
AWSはベータ試験の目的をはっきり書いています。「AWS Certification uses beta exams to validate performance of exam questions before the questions are used on standard versions of an exam.(AWS認定は、設問が標準版で使われる前に、それらが適切に機能するかを検証するためにベータ試験を用いる)」
つまりベータの受験者は、新しい設問が実戦で機能するかを確かめる段階に立ち会っています。検証段階の試験であることと、受験料が割り引かれることを併せて理解すると、条件の作りが飲み込みやすくなります。
一方で、得られる認定に差はありません。AWSは「ベータ試験に合格した受験者は、その新しい認定を最初に保有する人たちの一員になる」と説明しています。合格時に得られる認定は、正式版の合格者と同じ扱いです。
問題は、その「1回きり」の重みです。新設や改定の直後は、市販教材や出題傾向に関する情報が限られます。手応えを確かめる材料が乏しいまま一発勝負に臨むことになります。
押さえるべき5つのルール
AWSの受験ポリシーとFAQから読み取れる規定は、次の5つに整理できます。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 1. 受験は1回のみ | ベータ版は1人1回しか受験できない |
| 2. 再受験は正式版を待つ | ベータで不合格となり再受験したい場合、正式版が一般提供されるまで待つ必要がある |
| 3. 受験料は割引 | 標準価格から割り引かれる。割引率は試験ごとに案内される |
| 4. 時間と設問が上乗せされる | 統計評価用の追加設問が含まれ、その分の時間と設問数が加算される。追加分はスコアに影響しない |
| 5. 提供期間は限定 | ベータが受けられるのは一定期間のみ(通常1〜3か月) |
実務上いちばん効いてくるのは2番目です。標準版なら不合格から14暦日を空ければ受け直せ、回数の上限もありません(毎回全額の受験料はかかります)。ベータではその14日を過ぎただけでは再受験できず、少なくとも正式版の一般提供まで待つことになります。
4番目も見落とされがちです。ベータは追加設問を含むぶん長くなりますが、その追加分は採点対象外だとAWSが明記しています。長く座る負担はあっても、点数で不利になるわけではありません。
割引とあわせて確認したい制約
数字で並べると、条件の中身がはっきりします。2026年9月に登録を受け付けている2試験は、どちらも料金が半額である一方、試験時間は40分長く設定されています。
| 試験 | ベータ受験料 | 比較対象の受験料 | ベータの試験時間 | 比較対象の試験時間 |
|---|---|---|---|---|
| AIB-C01(AI Business Strategist) | 50 USD | 100 USD(標準版) | 170分 | 130分(試験ガイドの標準版) |
| MLA-C02(Machine Learning Engineer - Associate) | 75 USD | 150 USD(現行のMLA-C01) | 170分 | 130分(現行のMLA-C01) |
比較対象が試験によって違う点に注意してください。AIB-C01は試験ガイドが示す標準版の仕様と、MLA-C02は現行版であるMLA-C01の仕様との比較です。MLA-C02の正式版がどの仕様になるかは公表されていません。
問題数まで分かっているMLA-C02で見ると、標準版のMLA-C01が130分・65問、ベータのMLA-C02が170分・85問。時間で40分、設問で20問の上乗せです。AIB-C01は標準版の問題数が公表されていないため、設問がいくつ増えているかは分かりません。
ただし本当のコストは試験時間ではなく、待ち時間のほうです。ベータで落ちると正式版まで再挑戦できないので、次の機会がいつ来るかを見込めないまま待つことになります。実例として、AWS Certified Generative AI Developer - Professional(AIP-C01)はベータの最終受験日が2026年3月31日で、その後に正式版の提供が始まりました。この資格のその後はAWS生成AI開発者認定(AIP)の解説にまとめてあります。
ベータが向く人・向かない人
| あなたの状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 出題範囲を実務でカバーしている | 向く | 教材が乏しくても地力で解ける。割引の恩恵をそのまま受け取れる |
| 早期取得のバッジが欲しい | 向く | 試験によっては早期取得者に追加バッジが用意される |
| 費用を抑えたい・締め切りがない | 向く | 落ちても待てるなら、1回限りの制約は実害になりにくい |
| 正式版の提供前が取得期限で、ベータの受験日と結果通知が期限に間に合う | 向く | この場合はベータが唯一の取得機会になる |
| 正式版の提供時期や再受験期間を見込めないほど期限が近い | 向かない | 1回で決められないと、次の機会がいつ来るか読めない |
| 教材を揃えて固めたい | 向かない | 新設・改定の直後は情報が限られる |
| 長時間の試験が負担 | 向かない | 現在登録受付中の2試験は、比較対象より40分長い |
| 日本語で受けたい | 試験による | AIB-C01は日本語あり、MLA-C02のベータは英語のみ |
いま登録できるAWSのベータ(2026年9月2日時点)
現在ベータとして案内されているのは2つです。どちらも登録は9月1日に始まっており、試験の実施は2026年9月29日からです。
| 項目 | AIB-C01 | MLA-C02 |
|---|---|---|
| 認定名 | AI Business Strategist | Machine Learning Engineer - Associate |
| 区分 | Business(新設) | Associate(改定) |
| 位置づけ | 新しい認定の追加 | MLA-C01の更新版 |
| ベータ登録開始 | 2026年9月1日 | 2026年9月1日 |
| 試験提供開始 | 2026年9月29日 | 2026年9月29日 |
| 受験料 | 50 USD | 75 USD |
| 実施言語 | 英語・日本語 | 英語のみ |
| 旧版の扱い | 該当なし(新設) | MLA-C01は英語が2026年9月28日で終了。日本語・韓国語・中国語(簡体字)はベータ期間中も継続 |
日本語で受けたい人にとって、この2つは扱いが分かれます。AIB-C01はベータ段階から日本語で受けられますが、MLA-C02のベータは英語のみ。日本語でMLAを受けたい場合は、当面はMLA-C01を選ぶことになります。AIB-C01そのものの出題範囲と難易度はAIB-C01の解説にまとめてあります。AWS認定全体の並びはAWS認定資格の難易度ランキングと取得順番で確認できます。
なお同じ「ベータ」でも、ベンダーが変われば条件は大きく変わります。80%割引と数か月の結果待ちが同居するMicrosoftのベータ試験と比べると、AWSの設計の特徴がはっきりします。
よくある質問
ベータの結果はいつ分かりますか
受験完了後5営業日以内です。AWSは「ベータ試験の結果を含むすべてのAWS認定試験の結果は、受験完了後5営業日以内に利用可能になる」としています。結果を長く待つ前提でスケジュールを組む必要はありません。
ベータに落ちたら、いつから受け直せますか
正式版が一般提供されてからです。AWSは、ベータ版は1回のみ受験でき、再受験を希望する場合は標準版が一般提供されるまで待つ必要があると規定しています。標準版で適用される「不合格から14暦日」を過ぎただけでは、ベータからの再挑戦はできません。
ベータ合格でも認定の有効期間は同じですか
合格して得られるのは正式版と同じ認定です。AWS認定の有効期間は原則3年間で、ベータ合格者だけ短くなるという規定は示されていません。更新の仕組みはAWS認定の有効期限と再認定で解説しています。
ベータのほうが難しいのですか
難易度が上がるという規定はありません。追加される設問は統計評価用で、スコアには影響しないとAWSが明記しています。ただし出題傾向の情報が少なく、教材も整っていないため、準備のしやすさという意味では不利になります。
ベータはいつまで受けられますか
AWSは提供期間を「通常1〜3か月」としており、試験ごとに終了日が案内されます。ベータ終了後は評価を経て正式版が一般提供される流れで、その日程も試験ごとの案内で示されます。狙うなら早めに日程を押さえるのが安全です。
まとめ
AWSのベータ試験は、割引や早期取得という利点と、1回限りという条件が同時についてくる仕組みです。落ちれば正式版の一般提供まで次がありません。だから判断の分かれ目は費用ではなく期限にあります。締め切りがなく、教材の少なさや長めの試験時間、落ちたときの待ちを許容できるなら、割引を選びやすい条件がそろいます。逆に正式版の提供前が期限で、受験日と結果通知がそこに間に合うなら、ベータが唯一の機会になります。迷うのは、期限が正式版の提供後にあって、再受験の余裕まで見込みたい場合。そこは標準版で二度目を確保するほうが確実です。そしてベータを選ぶと決めたなら、再受験できない前提で基礎の抜けを減らしておきたいところ。SkillStackではCLFとAIFの全問題を無料で演習できるので、土台の確認に使えます。
参考サイト
- AWS認定 受験前のポリシー(ベータ試験の規定。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS認定 受験後のポリシー(結果通知と再受験。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certification FAQs(ベータ試験の目的。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Business Strategist(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- AWS Certified AI Business Strategist (AIB-C01) 試験ガイド(標準版の試験時間。AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
- Certification updates from AWS Training and Certification: September 2026(AWS公式ブログ・取得日: 2026年9月2日)
- AWS expands AI certification portfolio and updates security certification(AIP-C01のベータ最終日。AWS公式ブログ・取得日: 2026年9月2日)
- AWS再認定(AWS公式・取得日: 2026年9月2日)
