「CI/CDもIaCも監視も、全部まとめて問われる試験」——AWS DOP(DevOps Engineer - Professional)を一言で表すとこうなります。75問を180分で解き、1,000点満点中750点で合格。設計を問うSAPと並ぶProfessional区分ですが、DOPが見るのは構成図の良し悪しより「それを自動で作り、自動で直し、自動で守れるか」です。
この記事を読み終えると、DOPの試験仕様と6分野の配点、AWSが「範囲外」と明言している領域、そしてDVA・SOA・SAPとの違いが分かります。あわせて、試験ガイドにすでに提供終了したサービスの名前が残っているという、受験前に知っておきたい注意点も一次情報から確認します。
AWS DOPとは——開発と運用をつなぐ自動化の上位資格
AWS DOPは、DevOpsエンジニアの役割を担う人が、AWS上の分散システムを構築・運用・管理する技術力を検証する試験です。公式の試験ガイドは、合格者ができることとして次の5つを挙げています。
- 継続的デリバリー(CD)の仕組みと手法をAWS上で実装・管理する
- セキュリティ制御、ガバナンス、コンプライアンス検証を実装し自動化する
- 監視・メトリクス・ログの仕組みを定義し、展開する
- 高可用・スケーラブルで、自己修復するシステムを実装する
- 運用プロセスを自動化するツールを設計・管理する
想定受験者は「AWS環境のプロビジョニング・運用・管理に2年以上の経験がある人」。さらにソフトウェア開発ライフサイクルの経験と、プログラミングまたはスクリプトの経験も求められています。インフラ運用と開発・自動化の両方の経験を想定した試験です。
AWSが「範囲外」と明記している4つの領域
DOPの試験ガイドには、受験者に求めない仕事が具体的に書かれています。ここを知っておくと、勉強の深さを決めやすくなります。
| 範囲外とされている仕事 | 勉強で割り切れること |
|---|---|
| 高度なネットワーク知識(高度なルーティングアルゴリズム、フェイルオーバー技法) | BGPの経路制御などの深掘りは不要。マルチAZ・マルチリージョン構成の考え方は範囲内 |
| 開発者への高度なセキュリティ助言 | セキュア開発の専門知識より、セキュリティ制御を自動で適用する仕組みが中心 |
| データベースの設計・クエリ・性能最適化 | SQLチューニングは不要。RDSやAuroraのフェイルオーバー、バックアップは範囲内 |
| フルスタックのアプリケーション開発 | フルスタック開発そのものは対象外。ただし自動化のためのスクリプトやLambdaの実装知識は必要 |
右列のとおり、範囲外の業務のすぐ隣に、範囲内のテーマが残っています。「データベースは出ない」と早合点すると、RDSのクロスリージョン復旧のような問題を落とします。
この4つを除いても、残る範囲は6分野に及びます。どこから手をつけるべきか迷うのは当然で、まず配点を見て優先順位をつけるところから始まります。
DOP-C02の試験仕様:75問・180分・合格750点
現行のDOP-C02は、75問・180分・合格750点です。採点されるのは65問で、残り10問は将来の出題候補を評価するための採点対象外の問題。どれが採点外かは本番で見分けられません。
| 項目 | 内容(2026年10月5日時点) |
|---|---|
| 試験コード | DOP-C02 |
| 問題数・時間 | 75問(採点対象65問+採点対象外10問)・180分 |
| 出題形式 | 択一選択(4つから1つ)/複数選択(5つ以上から2つ以上) |
| スコア | 100〜1,000点の換算スコア、合格750点 |
| 受験料 | 40,000円(税が適用される場合あり)/300 USD |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、またはオンライン監督 |
| 言語 | 英語・日本語・韓国語・中国語(簡体字)※韓国語版は2026年12月31日で提供終了 |
| 有効期間 | 3年間 |
出題は6分野です。現行SAP-C02の4分野(11月17日開始のSAP-C03は5分野)と比べて細かく分かれ、最大の分野でも22%にとどまります。
| 分野 | 配点 | 主な中身(試験ガイドより) |
|---|---|---|
| 1. SDLCの自動化 | 22% | CI/CDパイプライン、自動テストの組み込み、成果物の管理、ブルー/グリーンやカナリアなどのデプロイ戦略 |
| 2. 構成管理とIaC | 17% | CloudFormation(StackSets含む)、AWS CDK、AWS SAM、Organizations・Control Towerでのアカウント自動払い出し、Systems Manager |
| 3. 耐障害性の高いクラウドソリューション | 15% | マルチAZ・マルチリージョン、スケーリング、RTO/RPOを満たす自動復旧 |
| 4. モニタリングとログ記録 | 15% | CloudWatch(メトリクスフィルター、Logs Insights、異常検出)、X-Ray、ログの暗号化と保管期間 |
| 5. インシデントとイベントへの対応 | 14% | EventBridge・AWS Healthを起点にした自動対応、失敗したデプロイの原因分析 |
| 6. セキュリティとコンプライアンス | 17% | 大規模なIAM管理、Security Hub・GuardDuty・AWS Configでの統制の自動化、監査 |
合否は合計スコアで決まる補正スコア方式で、分野ごとの足切りはありません。ただ、最小の分野でも14%あるため、どこか1分野を捨てる余裕はない配分です。
試験ガイドに終了済みのサービス名が残っている
DOPの試験ガイドを読むと、構成管理の例としてAWS OpsWorksの名前が今も載っています。しかしAWS OpsWorks Stacksは2024年5月26日にサービス提供を終了し、新規・既存どちらの顧客も使えなくなっています。AWSは移行先として、Systems Managerを中心とした構成を案内してきました(当時の移行ガイドが挙げたSystems Manager Application Managerは、現在は新規の利用受付を停止しています)。
OpsWorksは、試験の対象サービス一覧にも今のところ残っています。押さえておきたいのは「提供終了済みで、移行先はSystems Managerなど」という位置づけです。学習時間の多くは、移行先となるSystems Manager(State Manager、Patch Manager、Automation)やAWS Config、CloudFormationに割くほうが実りがあります。
サービスの状況が教材と食い違う例は逆向きにもあります。CodeCommitは2024年7月に新規受付が止まりましたが、2025年11月24日に一般提供へ戻ったとAWSが発表しています。教材のサービス情報は、公式ドキュメントで現状を確かめてから使うのが安全です。
DOPとSOA・DVA・SAPの違い
DOPは、Associateの開発系(DVA)と運用系(SOA)の双方と重なる領域を持ち、組織規模の自動化・統制まで扱うProfessional試験です。設計の最上位であるSAPとは、同じProfessionalでも見ている角度が違います。
| 認定 | 区分 | 中心テーマ | DOPとの関係 |
|---|---|---|---|
| DVA(Developer) | Associate | アプリの開発・デプロイ・デバッグ | CI/CDとデプロイ戦略がDOPの分野1に直結 |
| SOA(CloudOps Engineer) | Associate | 監視・運用・自動修復 | 監視とインシデント対応がDOPの分野4・5に直結 |
| SAP(Solutions Architect) | Professional | 組織全体のアーキテクチャ設計 | DOPは設計より「自動化の仕組み」を問う |
| DOP(DevOps Engineer) | Professional | 開発から運用までの自動化 | — |
この関係は更新制度にも表れています。AWSの再認定ページでは、DVAとSOA(CloudOps Engineer - Associate)の更新方法のひとつに「DOPに合格する」が挙がっています。有効なDVAやSOAを持っていれば、DOPに合格した日から3年間の再認定として扱われます。SOAの中身はAWS SOA(C03)の難易度と出題範囲で確認できます。
SAPとDOP、どちらを先に取るか
結論は、普段の仕事で決めるのが合理的です。アーキテクチャの提案や移行計画を担うならSAP、パイプラインの整備や運用の自動化を担うならDOP。どちらも受験資格の制限はなく、順番の決まりもありません。DOPの範囲外とされる高度なネットワークは、SAPでは中心テーマのひとつです。ネットワークが苦手ならDOPから入る、という選び方もできます。
DOPの難易度——何がProfessionalらしいのか
AWSは合格率を公表していないため、数字で難易度を比べることはできません。代わりに試験の構造から、DOPならではの難しさを3つ挙げます。
1. サービスの「組み合わせ」で正解が決まる
DOPの問題は、単一サービスの機能ではなく、複数サービスのつなぎ方を問います。「AWS Configのルール違反を検知し、Systems Manager Automationで自動修復し、結果をSNSで通知する」といった連鎖のどこに何を置くか。1つの部品を知らないだけで、選択肢全体を判断できなくなります。
2. デプロイ戦略の細部まで問われる
試験ガイドは、EC2・ECS・EKS・Lambdaそれぞれのデプロイ手法と、ミュータブル(既存環境の更新)とイミュータブル(新環境への置き換え)の違いを明記しています。同じブルー/グリーンでも、プラットフォームによって実現方法が変わる。この差が選択肢の違いとして出ます。
3. マルチアカウント前提の問題が多い
CloudFormation StackSetsで複数アカウント・複数リージョンに展開する、Control Towerでアカウントを払い出す、SCPで統制する。DOPではこうしたマルチアカウントの自動化・ガバナンスが、デプロイや監視と組み合わさった複合的なシナリオとして出てきます。
よくある質問
DOPの新バージョン(DOP-C03)は発表されていますか
2026年10月5日時点で、AWSの認定ページにDOPの改定告知はありません。同じ9月の発表ではSAP-C03とDVA-C03への改定が公表されましたが、DOPは対象に含まれていません。現時点ではDOP-C02を前提に準備し、受験申込の前に公式ページで改定告知が出ていないかを確認してください。
DOPは日本語で受験できますか
受験できます。提供言語は英語・日本語・韓国語・中国語(簡体字)の4つです。認定ページには韓国語版が2026年12月31日で提供終了するとの告知が出ていますが、日本語版に関する終了の告知はありません。
Associate資格を持っていなくてもDOPは受けられますか
受けられます。AWS認定には受験資格の制限がなく、DVAやSOAの取得は前提条件ではありません。ただし想定受験者はAWS環境の運用経験2年以上なので、CloudWatchやIAMなどの基礎で迷う段階なら、Associateの範囲から固めるほうが結果的に早道です。
Google CloudにもDevOpsの資格はありますか
あります。Google CloudのProfessional Cloud DevOps Engineerで、SREの考え方を色濃く問う試験です。違いはCloud DevOps Engineerの難易度と配点で確認できます。
まとめ
DOPは、CI/CD・IaC・監視・インシデント対応・セキュリティ・耐障害性という6つの自動化を、組織全体の規模で問う試験です。範囲は広いものの、AWSは高度なネットワークやDB最適化、フルスタック開発を範囲外と明言しています。深掘りしない領域を先に決めれば、残る6分野に時間を集中できます。最初の一手は、6分野のどこで自分が点を落とすかを知ることです。SkillStackでは演習のたびに分野別の正答率が表示されるので、22%のSDLC自動化と14%のインシデント対応のどちらが穴なのかを数字で確かめてから、計画を立てられます。
参考サイト
- AWS Certified DevOps Engineer - Professional(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP-C02) 試験ガイド(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- Migrating your AWS OpsWorks Stacks applications to AWS Systems Manager Application Manager(AWS公式ドキュメント・取得日: 2026年10月5日)
- AWS Systems Manager Application Manager availability change(AWS公式ドキュメント・取得日: 2026年10月5日)
- AWS CodeCommit Returns to General Availability(AWS公式ブログ・取得日: 2026年10月5日)
- Certification updates from AWS Training and Certification: September 2026(AWS公式ブログ・取得日: 2026年10月5日)
- AWS認定 試験の前に|試験料金(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- AWS再認定(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
