「開発は分かるけど運用が弱い」「運用は長いけどパイプラインを組んだことがない」——AWS DOP勉強法を考える人からよく聞く悩みが、この2つです。DOP(DevOps Engineer - Professional)は、開発と運用の両方を、単一アカウントから複数アカウントの規模まで問う試験です。だから勉強法も、あなたがどちら側から来たかで最短ルートが変わります。
この記事では、開発出身・運用出身・SAP取得済みの3タイプ別に、6分野をどの順で攻めるかを示します。さらに、DOPの問題に共通する「検知→判断→修復→通知」という型の読み方、混同しやすいデプロイ戦略の整理表、週に取れる時間から総学習時間を試算する早見表まで。読み終えたら、今週どの分野から手をつけるかが決まっている状態を目指します。
まず自分のタイプを決める——経歴別の攻略順
結論から言うと、得意分野から始めて土台を作り、苦手分野は全体の中盤に集中させるのが進めやすい方法です。DOP-C02の6分野と配点は、SDLCの自動化22%、構成管理とIaC 17%、セキュリティとコンプライアンス17%、耐障害性の高いクラウドソリューション15%、モニタリングとログ記録15%、インシデントとイベントへの対応14%。これを経歴ごとに並べ替えると、次のようになります。
| あなたのタイプ | 得意になりやすい分野 | 穴になりやすい分野 | 攻める順番 |
|---|---|---|---|
| 開発出身(DVA相当の知識あり) | SDLCの自動化、IaC | 監視、インシデント対応、耐障害性 | SDLC → IaC → 監視 → インシデント → 耐障害性 → セキュリティ |
| 運用出身(SOA相当の知識あり) | 監視、インシデント対応、耐障害性 | SDLCの自動化、IaC | 監視 → インシデント → 耐障害性 → SDLC → IaC → セキュリティ |
| SAP取得済み・設計寄り | 耐障害性、マルチアカウント統制 | デプロイ戦略の細部、CloudWatchの設定 | 耐障害性 → セキュリティ → SDLC → 監視 → インシデント → IaC |
開発出身・運用出身のルートでセキュリティとコンプライアンスを最後に置いているのは、他分野の知識を横断的に使うからです。AWS ConfigやSecurity Hubで統制を自動化する問題は、EventBridgeやSystems Managerを先に押さえておくと格段に読みやすくなります。
AWSはDOPの範囲外として、高度なネットワーク、データベースの設計・性能最適化、フルスタックのアプリ開発などを試験ガイドに明記しています。ここに時間を使わないと決めるだけで、範囲はかなり絞れます。試験の全体像はAWS DOPとは|難易度・出題範囲・SOAとの違いで確認してください。
ただ、攻める順番を決めても、6分野を回すうちに「前に解いた分野をもう忘れている」という壁に当たります。演習の記録を残さないまま進むと、どの分野が仕上がっていて、どこに戻るべきかが見えなくなります。
DOPの問題は「検知→判断→修復→通知」の型で読む
DOPの自動化を問う問題は、ひとつの型で整理すると読みやすくなります。何かが起きたことを検知し、条件を判断し、自動で修復し、人に知らせる。この4段階のどこに何のサービスを置くか、という見方です。AWSが示した分類ではなく、編集部が問題を読み解くために使っている整理の枠組みです。
たとえば「S3バケットのパブリックアクセスが有効になったら、自動で無効化してセキュリティチームに知らせたい」という問題。検知はAWS Configのルール、修復はSystems Manager Automationによる自動修復、通知はSNS。選択肢は、この4段階のどこかを入れ替えた形で並ぶことがよくあります。
| 段階 | 候補になりやすいサービスの例 | 選択肢で入れ替えられやすい点 |
|---|---|---|
| 検知 | CloudWatchアラーム、メトリクスフィルター、AWS Config、CloudTrail、AWS Health | ログの文字列で検知するのか、リソースの設定状態で検知するのか |
| 判断 | EventBridgeのイベントパターン、Lambda | EventBridgeのルールで足りるのに、Lambdaを挟んでいないか |
| 修復 | Systems Manager Automation、AWS Configの修復アクション、Lambda、Auto Scaling | マネージドな修復手段があるのに、自作のスクリプトを選んでいないか |
| 通知・起票 | SNS(通知)、Systems Manager OpsCenter(運用課題=OpsItemの起票・管理) | 通知だけで終わり、修復が抜けていないか |
問題文に「運用負荷が最も少ない」とあり、同じ要件を満たせるなら、自作のLambdaよりマネージドな機能が有力候補です。間違えた問題は、4段階のどこで外したかを記録してください。外し方に偏りが見えてきます。
デプロイ戦略はプラットフォーム×方式の表で覚える
DOPで最も配点が大きいSDLCの自動化(22%)で、多くの人が混乱するのがデプロイ戦略です。試験ガイドはEC2・ECS・EKS・Lambdaそれぞれのデプロイ手法と、ブルー/グリーン・カナリアなどの使い分けを明記しています。CodeDeployに絞ると、方式はプラットフォームごとに次のように決まっています。
| プラットフォーム | CodeDeployで選べる方式 | トラフィックの切り替え方 |
|---|---|---|
| EC2/オンプレミス | インプレース、ブルー/グリーン | 一度に全台・半数ずつ・1台ずつ(例:CodeDeployDefault.OneAtATime) |
| Amazon ECS | ブルー/グリーン | カナリア・リニア・一括(例:CodeDeployDefault.ECSCanary10Percent5Minutes)※Network Load Balancer使用時は一括のみ |
| AWS Lambda | トラフィック移行(エイリアスの重みづけ) | カナリア・リニア・一括(例:CodeDeployDefault.LambdaLinear10PercentEvery1Minute) |
押さえるべきは、カナリアとリニアの違いです。カナリアは最初に一部(例:10%)だけ切り替えて様子を見てから、残りを一度に移します。リニアは一定間隔で同じ割合ずつ移します。「問題が起きたら影響を最小限に、かつ早く全体に展開したい」ならカナリア、という具合に、問題文の要件と方式を結びつけて覚えます。
ロールバックの条件までセットで覚える
DOPでは、デプロイ方式と同じくらい「失敗したらどう戻すか」が問われます。CloudWatchアラームと連動した自動ロールバック、ライフサイクルイベントフック(Lambdaの検証関数)による切り替え前のテストなど、方式とロールバックは1組で出題されると考えてください。
あなたの学習時間で何週かかるか——逆算早見表
DOPの必要学習時間はAWSから公表されておらず、経歴による差も大きくなります。そこで、週に確保できる時間から、8週・12週で積み上がる総学習時間を試算します(平日5日・休日2日で計算)。
| 平日1日 | 休日1日 | 週あたり | 8週の合計 | 12週の合計 |
|---|---|---|---|---|
| 30分 | 2時間 | 6.5時間 | 52時間 | 78時間 |
| 1時間 | 3時間 | 11時間 | 88時間 | 132時間 |
| 1.5時間 | 4時間 | 15.5時間 | 124時間 | 186時間 |
| 2時間 | 5時間 | 20時間 | 160時間 | 240時間 |
最初の週に、6分野から10問ずつ程度を解いて正答率を出してください。編集部の目安として、初見で正答率が5割を超える分野が3つ以上あれば8週、2つ以下なら12週で計画を組むと無理がありません。
8週プランの例(運用出身・週11時間の場合)
- 1〜2週目:分野4(監視)と分野5(インシデント対応)。得意分野で問題形式に慣れ、「検知→判断→修復→通知」の型を体に入れる
- 3週目:分野3(耐障害性)。RTO/RPOとバックアップ、マルチリージョンのフェイルオーバー
- 4〜5週目:分野1(SDLCの自動化)。CodePipeline・CodeBuild・CodeDeployを実際に1本つないでみる。上のデプロイ方式の表をここで固める
- 6週目:分野2(IaC)。CloudFormationのStackSets、変更セット、ドリフト検出。4週目に作ったパイプラインをテンプレート化する
- 7週目:分野6(セキュリティ)。1回目の通し演習(75問・180分)で弱点を洗い出す
- 8週目:弱点分野の集中補強と2回目の通し演習。1回目より全分野で正答率が上がっているのを確認してから予約
DOP対策でつまずく3つのパターン
DOPの勉強が止まる場面として多いのが、次の3つです。どれも事前に知っていれば避けられます。
パターン1:古い教材のサービスを深追いする
DOPの試験ガイドには構成管理の例としてAWS OpsWorksが載っていますが、OpsWorks Stacksは2024年5月26日に提供を終了しています。OpsWorksは「提供終了済みで、Systems Managerなどへ移行するもの」という位置づけを押さえれば十分です。時間を割くべきは、移行先となるSystems Manager(State Manager、Patch Manager、Automation)やCloudFormationです。教材を選ぶときは、更新日とOpsWorksの扱いを確認するとよい目安になります。
パターン2:ハンズオンを全部やろうとする
6分野すべてを手で構築しようとすると、時間も利用料もかさみます。手を動かす価値が大きいのは、CodePipelineでのデプロイと、CloudFormation StackSetsの2つです。残りは問題演習と公式ドキュメントで十分に戦えます。構築したリソースは、その日のうちに削除してください。
パターン3:Associateの知識を確認せずに始める
DOPの問題文は、CloudWatchのメトリクスやIAMロールの基本を知っている前提で書かれています。ここで引っかかると1問ごとに調べ物が発生し、進みません。Associateの範囲に不安があるなら、運用面はAWS SOA勉強法、開発面はDVAの範囲から2週間ほど復習してから入るほうが、結果的に早く仕上がります。
よくある質問
DOPの勉強にAWS公式の無料教材はありますか
AWS Skill Builderに、DOP-C02の公式練習問題セット(20問)が無料で用意されています。試験の出題スタイルを示す問題と解説で、雰囲気をつかむ最初の1回に向いています。75問のフルの公式模擬試験は有料のサブスクリプション向けです。あわせて公式の試験ガイドは、分野ごとのタスクと対象サービスが列挙されているので、学習範囲のチェックリストとして使えます。
SAPとDOPを同時に勉強するのは効率的ですか
重なる範囲はあります。マルチアカウント統制、災害対策、CI/CDはどちらにも出ます。ただしSAPは移行や高度なネットワークの比重が大きく、DOPは監視とデプロイの細部まで問われます。まずどちらか一方で合格し、重なる部分を土台にもう一方へ進むほうが、同時並行より負担は小さくなります。
DOPに合格するとAssociate資格はどうなりますか
AWSの再認定ページでは、DVAとSOA(CloudOps Engineer - Associate)の更新方法のひとつに「DOPに合格する」が挙がっています。有効なDVAやSOAを持っている場合、DOPに合格すれば、その合格日から3年間の再認定として扱われます。複数の資格を持つ人ほど、更新の手間が減る仕組みです。
DOPの新バージョンが出る前に受けたほうがいいですか
2026年10月5日時点で、DOPの改定は発表されていません。SAPとDVAは11月〜12月に新版へ移行しますが、DOPは対象外です。改定を気にして急ぐ理由は今のところなく、自分の準備が整った時点で受験すれば問題ありません。
まとめ
DOPの勉強法は、あなたがどちら側から来たかで決まります。開発出身ならSDLCとIaCから、運用出身なら監視とインシデント対応から入り、苦手な側を中盤で一気に攻めます。問題は「検知→判断→修復→通知」の型で読み、デプロイ方式はプラットフォームごとの表で覚える。この2つの道具を持つだけで、長い選択肢のどこを比べればいいかが見えてきます。6分野を回すうちに前の分野を忘れていくのは、よく起きることです。SkillStackは間違えた問題や定着しきっていない問題を間隔をあけて出し直すので、4週目にデプロイ戦略を学びながら、1週目に解いた監視の問題にも自然に戻れます。
参考サイト
- AWS Certified DevOps Engineer - Professional(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- AWS Certified DevOps Engineer - Professional (DOP-C02) 試験ガイド(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- Working with deployment configurations in CodeDeploy(AWS公式ドキュメント・取得日: 2026年10月5日)
- Migrating your AWS OpsWorks Stacks applications to AWS Systems Manager Application Manager(AWS公式ドキュメント・取得日: 2026年10月5日)
- AWS Certification Exam Prep(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- AWS再認定(AWS公式・取得日: 2026年10月5日)
- Certification updates from AWS Training and Certification: September 2026(AWS公式ブログ・取得日: 2026年10月5日)
