「Kubernetes は業務で触っている。でも、CKA に受かるほど分かっているのかは自信がない」——CKA(Certified Kubernetes Administrator)の受験を考える人の多くが、ここで立ち止まります。結論から言うと、CKA は選択式の試験ではありません。2時間のあいだに、本物のクラスターで15〜20個の課題をコマンドで解き切る実技試験です。
合格ラインは66%。試験中は Kubernetes の公式ドキュメントを開けるので、暗記の量より「手が止まらないか」が問われます。日本語で受けたい人向けには CKA-JP という購入ページがあり、試験時間・配点・受験料は通常の CKA と同じです。
この記事は Linux Foundation(LF)と CNCF の公式ページを一次情報に、2026年10月8日時点の内容を整理したものです。読み終えるころには、受験料445ドルで何が手に入るか、どの分野に準備時間を割くべきか、CKA-JP と CKA のどちらで申し込むかを自分で判断できます。
CKAとは|Kubernetesクラスターを運用できる人の実技認定
CKA は、Linux Foundation と CNCF(Cloud Native Computing Foundation)が作った Kubernetes 管理者向けの認定です。公式カリキュラムは、Kubernetes 管理者の責務を果たすためのスキル・知識・能力を確かめる試験と位置づけています。対象はインストールと構成、クラスターの管理、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ、トラブルシューティング、保守までです。
試験概要(2026年10月8日時点)
| 項目 | CKA |
|---|---|
| 主催 | Linux Foundation / CNCF |
| 受験料 | 445ドル(試験のみ) |
| 試験時間 | 2時間 |
| 出題数 | 15〜20個の実技タスク |
| 合格ライン | 66%以上 |
| 形式 | オンライン監督付きの実技試験(PSI の Secure Browser でリモートデスクトップに接続) |
| 対象の Kubernetes | v1.35(最新マイナー版へ、リリースから約4〜8週間で追随) |
| 問題文の言語 | 英語・簡体字中国語・日本語(日本語で受けるなら CKA-JP で申し込むのが確実) |
| 前提資格 | なし |
| 有効期間 | 2年(2024年4月1日より前の取得者は3年) |
| 結果通知 | 試験終了から24時間以内にメール |
対象バージョンには注意が要ります。同じ公式 FAQ で、CKA の試験環境は v1.35、CKAD はすでに v1.37 と案内されています。CKA も近いうちに更新される可能性があるため、受験の2週間前に公式ページの表記を確かめてください。
試験中に開けるのは公式ドキュメントだけ
CKA は「調べながら解ける」試験です。公式の Resources Allowed によると、試験用のリモートデスクトップ内のブラウザで、次のサイトを開けます。
- Kubernetes Documentation(kubernetes.io/docs)とその各言語版。検索機能は使えますが、外部サイトの検索結果を開くのは禁止です
- Kubernetes Blog(kubernetes.io/blog)
- Helm Documentation(helm.sh/docs)
- CKA のみ:Gateway API Documentation(gateway-api.sigs.k8s.io)
- 各タスクの Quick Reference 欄に示されたドキュメント
ただし、調べられることと、調べる時間があることは別の話です。120分で15〜20タスクなら、1タスクにかけられるのは平均6〜8分(編集部試算)。YAML の書き方を毎回ドキュメントで探していると、時間はすぐに尽きます。何をどの順で身につければ間に合うのか——次の章で、公式の配点から優先順位を出します。
出題範囲は5分野|トラブルシューティングが30%で最大
CKA の出題は5分野で、最も重いのはトラブルシューティングの30%です。クラスター構築まわりの25%と合わせると、半分以上が「クラスターそのものを扱う」分野になります。現行のカリキュラムは GitHub の cncf/curriculum で公開されている v1.35 版(2026年3月3日掲載)です。
| 分野(配点) | 主な能力(公式カリキュラムより) |
|---|---|
| トラブルシューティング(30%) | クラスターとノード、クラスターのコンポーネント、サービスとネットワークのトラブルシュート。リソース使用量の監視、コンテナの出力(ログ)の確認 |
| クラスターのアーキテクチャ・インストール・構成(25%) | RBAC、kubeadm でのクラスター作成と管理、ライフサイクル管理、高可用なコントロールプレーン、Helm と Kustomize、CNI・CSI・CRI、CRD とオペレーター |
| サービスとネットワーク(20%) | Pod 間の接続性、NetworkPolicy、ClusterIP・NodePort・LoadBalancer、Gateway API、Ingress、CoreDNS |
| ワークロードとスケジューリング(15%) | ローリングアップデートとロールバック、ConfigMap と Secret、オートスケーリング、自己修復の仕組み、リソース制限やノードアフィニティ |
| ストレージ(10%) | StorageClass と動的プロビジョニング、ボリュームの種類・アクセスモード・回収ポリシー、PV と PVC |
2025年2月の改定で入った「新しい項目」
分野の名前と配点は、2025年2月18日の改定でも変わっていません。変わったのは各分野の中身です。改定後の項目には、Helm と Kustomize によるコンポーネントの導入、Gateway API による Ingress トラフィックの管理、CRD とオペレーター、ワークロードのオートスケーリング、NetworkPolicy の定義と適用が並びます。いずれも、改定前の v1.31 版カリキュラムには無かった項目です。
逆に、v1.31 版に明記されていた「etcd のバックアップとリストア」と「kubeadm によるバージョンアップグレード」は項目名から消え、代わりに「クラスターのライフサイクル管理」という項目が入りました。出題されなくなったとは公式に書かれていないので、捨てる範囲と考えるのは危険です。古い教材や数年前の合格体験記だけを頼りにすると、新しい項目がすっぽり抜けます。教材を選ぶときは、2025年2月以降の内容に対応しているかを最初に確認してください。なお公式の告知では、適用の基準は購入日ではなく「受験した日」とされています。
受験料445ドルに含まれるもの|リテイク1回とシミュレーター2回
CKA の受験料445ドルには、初回の受験に加えて、不合格だった場合のリテイク1回と、Killer.sh の模擬試験2回分が含まれます。1回の受験料というより、「準備から再挑戦まで」のセット価格と考えると実態に近い値段です。
| 含まれるもの | 内容 |
|---|---|
| 受験期間 | 購入から12か月以内に予約・受験 |
| 本番の受験 | 初回+不合格時のリテイク1回(リテイクも購入日から12か月以内) |
| Killer.sh シミュレーター | 2回。各回は有効化から36時間アクセスでき、1回17問。2回は別の問題セット |
| 合格時 | PDF の認定証とデジタルバッジ |
購入方法は3通りです。試験のみが445ドル、e ラーニングの年間サブスクリプション THRIVE-ONE とのセットが625ドル、公式コース「Kubernetes Fundamentals(LFS258)」とのセットが645ドルです。公式のリテイクポリシーによると、「SINGLE」「SINGLE-ATTEMPT」と付く受験登録は受験1回のみです。また公式 FAQ では、CKA-SINGLE の登録に Killer.sh は含まれないと案内されています。申し込み画面で商品名を確かめてください。
CKA-JPとCKAの違い|中身は同じ試験
日本語で受けたい人向けに「認定Kubernetes管理者(CKA-JP)」の購入ページがあります。試験の中身は CKA と同じで、公式の言語案内は、日本語で受ける場合は日本語版に登録するよう求めています。CKA の FAQ には問題文を3言語で切り替えられるとの記載もありますが、日本語で受けるつもりなら CKA-JP で申し込むのが確実です。
| 比較項目 | CKA | CKA-JP |
|---|---|---|
| 受験料(試験のみ) | 445ドル | 445ドル |
| 試験時間・配点・対象バージョン | 2時間・5分野・v1.35 | 同じ |
| 問題文の言語 | 英語(FAQ では日本語・簡体字中国語への切り替えも案内) | 日本語で利用可能(英語との切り替え可) |
| 試験監督 | 英語話者 | 英語話者(日本語を選ぶと自動翻訳で日本語のやり取り) |
| コースとのセット | LFS258(645ドル)、THRIVE-ONE(625ドル) | Kubernetes 基礎(LFS258-JP)(645ドル) |
| 有効期間・リテイク・シミュレーター | 2年・1回・2回 | 同じ |
CKA-JP の公式ページには、試験監督は英語話者だと明記されています。一方、受験者ハンドブックの言語案内によると、PSI の Secure Browser で日本語を選べば、試験監督や技術サポートとのやり取りは自動翻訳で日本語になります。問題文を日本語で読み、日本語の公式コース(LFS258-JP)とセットで買いたいなら CKA-JP、英語で受けて e ラーニングを幅広く使いたいなら THRIVE-ONE セットのある CKA、という選び方になります。
有効期間は2年、CKSに受かるとCKAも延長
CKA の有効期間は2年です。2024年4月1日より前に取得した CKA は3年でした。CKA そのものを受け直して更新する場合は、期限が切れる前に合格する必要があり、更新後の有効期間は合格日から2年です。
2026年に入って見逃せない変更があります。公式 FAQ によると、CARE プログラムにより、2026年6月18日以降に CKS を取得または再取得すると、CKA の有効期限が自動で延長され、新しい CKS の期限に揃えられます。CARE の公式ページによると、すでに期限が切れた CKA も対象で、過去に取得していれば有効な状態に戻ります。CKS は CKA の合格が受験の前提なので、CKA → CKS と進む人は、CKA を受け直さずに期限を延ばせます。
CKAの難易度|知識より「2時間で解き切る力」が問われる
CKA の難しさは、範囲の広さよりも、制限時間の中で実機を操作し切るところにあります。合格率は公式に公表されていません。ここでは公式の試験仕様から、難しさの正体を3つに分解します。
- 1タスク平均6〜8分しかない:120分を15〜20タスクで割った編集部試算です。Deployment を作る、PVC をつなぐ、NetworkPolicy を書く。1つで詰まると、後ろのタスクに響きます。
- 毎回「指定のホスト」に入ってから解く:公式の重要な指示によると、各タスクは指定されたホストに ssh で入って解き、終わったら base に戻ります。ssh の入れ子はできません。入るホストを間違えると、正しい操作でも点になりません。
- トラブルシューティング分野が30%:kubelet が動かないノード、つながらない Service といった障害の切り分けに加え、リソース使用量の監視やログの確認も含まれます。正常な状態を作るより、原因を探す手順のほうが時間を食います。
一方で、助けになる仕様もあります。各ホストには kubectl が k というエイリアスと Bash の補完つきで入っていて、yq・curl・wget・man も使えます。シミュレーターを提供する Killer.sh の FAQ には、本番は小課題ごとの部分点で採点されるとの説明もあります。完答できないタスクでも部分点を得られる可能性があるので、取れる小課題を落とさない進め方が現実的です。
CKAD・CKS・KCNAとの違いと受ける順番
| 資格 | 対象 | 形式 | 前提 |
|---|---|---|---|
| KCNA | Kubernetes とクラウドネイティブの基礎知識 | 選択式 | なし |
| CKA | クラスターの構築・運用・トラブルシューティング | 実技(2時間) | なし |
| CKAD | アプリケーションの設計・デプロイ | 実技(2時間) | なし |
| CKS | クラスターとコンテナのセキュリティ | 実技(2時間) | CKA の合格 |
Kubernetes を初めて学ぶなら、選択式の KCNA の難易度と出題範囲で用語と全体像を固めてから CKA に進むと、つまずきが減ります。アプリ開発が中心なら CKAD、セキュリティまで担当するなら CKA の後に CKS、という分かれ方です。
CNCF の Kubestronaut は、CKA・CKAD・CKS・KCNA・KCSA の5つすべてに合格した人に贈られる称号です。認定がすべて有効期限内であることが条件で、毎年5枚の50%オフ受験クーポンなどの特典があります。5つの中で CKA は CKS の前提にもなるため、どの順で目指す場合でも通り道になります。
よくある質問
CKA は英語ができないと合格できませんか?
問題文は日本語に切り替えられるので、設問を読む段階で英語は必須ではありません。試験監督とのやり取りも、日本語を選べば自動翻訳で日本語になります。ただし試験中に参照できるドキュメントは、公式が最新の英語版の利用を推奨しています。kubectl のオプション名や YAML のキーは英語なので、英語のドキュメントを拾い読みできる程度の慣れはあると安心です。
不合格になったら、リテイクはいつまでに受ければいいですか?
リテイクは1回含まれており、購入から12か月の受験期間内に予約して受けます。採点結果は終了から24時間以内にメールで届き、不合格の場合は試験の管理画面からリテイクを申請できます。期間の終わり近くに初回を受けると、リテイクの日程が取りにくくなるので注意してください。
自宅以外の場所で受験できますか?
CKA はオンライン監督の試験で、受験場所は公式の条件を満たす個室である必要があります。カフェやオープンスペースは不可で、机の上下に紙などを置かないことも求められます。デュアルモニターは使えず、仮想マシン上での受験も認められていません。
受験に年齢の制限はありますか?
公式の案内では、16〜18歳の受験者は保護者の同意書を試験の2週間前までに提出するなどの条件を満たせばオンラインで受験できます。その場合は有効な学生証の提示と、保護者の身分証の提示・チェックイン時の口頭での同意も必要です。本人確認には、原則として氏名・顔写真・署名のある有効な公的身分証の原本が必要で、署名のない政府発行の生体認証 ID も認められています。日本の受験者向けには、マイナンバーカードなども使える身分証として挙げられています。
まとめ
CKA は、2時間で15〜20のタスクを実機で解き切り、66%を取る試験です。範囲の30%はトラブルシューティングで、受験料445ドルにはリテイク1回と Killer.sh 2回が含まれます。まずは公式カリキュラムの5分野を開き、「ドキュメントを見ずに手が動く」「調べれば書ける」「触ったことがない」の3段階で自己採点してみてください。実技の練習に入る前の数日で、Service の種類や RBAC の仕組みといった概念の抜けを洗い出しておきたいなら、SkillStack で無料公開している CKA 練習問題集①の60問を解き、分野別の正答率を、最初に実機で手を動かす分野を決める材料にできます。
参考サイト
- Linux Foundation Education「Certified Kubernetes Administrator (CKA)」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation Education「認定Kubernetes管理者 (CKA-JP)」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation「Frequently Asked Questions: CKA and CKAD & CKS」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation「Important Instructions: CKA and CKAD」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation「Certification Resources Allowed」(取得日: 2026年10月8日)
- CNCF「CKA Exam Curriculum v1.35」(cncf/curriculum)(取得日: 2026年10月8日)
- CNCF「CKA Exam Curriculum v1.31」(旧版・cncf/curriculum)(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation Education「Certified Kubernetes Administrator (CKA) Program Changes」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation Education「Exam Retake Policy」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation「Candidate Handbook: Language」(取得日: 2026年10月8日)
- Linux Foundation Education「CARE Program」(取得日: 2026年10月8日)
- CNCF「Kubestronaut Program」(取得日: 2026年10月8日)
- Killer.sh「FAQ」(取得日: 2026年10月8日)
