「今から勉強を始めて、10月の試験に間に合うのか」——情報処理安全確保支援士の勉強法を調べ始めた人の多くが、最初にぶつかる疑問です。前期試験の申込は2026年10月6日に始まり、科目A群は10月17日から受けられます。結論から言うと、今日ゼロから始めるなら本命は後期試験です。科目A群が2027年2月20日から、記述式の科目Bが3月16日から始まります。
しかも予定どおりなら、後期は現行の記述式の科目Bを受けられる最後の回です。IPAは現行の試験制度を2026年度の実施で終える予定とし、2027年度の支援士試験では科目Bの試験時間と出題形式を変える案を示しています。
この記事を読み終えるころには、自分が前期・後期・2027年度のどれを狙うべきかを決め、科目A-1(旧・午前Ⅰ)免除の有無に応じた時間配分を組めます。さらに、IPAの採点講評8問分から抜き出した「記述式で点を落とす4つのパターン」を、今日からの過去問演習でそのまま使えます。
支援士の勉強法を決める前に——2026年度は記述式の最終年度になる予定
まず試験の形を正確に押さえます。2026年度からCBT方式になりましたが、出題形式・出題数・試験時間は変わっていません。変わったのは科目の呼び名、科目A群と科目Bを別の日に受けること、会場ごとの予約枠から受験日時を選ぶこと、そして試験問題が非公開になったことです。
| 科目(旧称) | 試験時間 | 出題形式 | 出題数/解答数 | 配点 |
|---|---|---|---|---|
| 科目A-1(午前Ⅰ) | 50分 | 多肢選択式(四肢択一)・高度試験と共通 | 30問/30問 | 各3.4点(上限100点) |
| 科目A-2(午前Ⅱ) | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問/25問 | 各4点 |
| 科目B(午後) | 150分 | 記述式 | 4問/2問 | 各50点 |
合格基準は、受験する科目(免除科目を除く)のそれぞれで100点満点中60点以上です。多段階選抜のため、科目A-1・科目A-2が基準点に届かなければ、科目Bは採点されません。受験手数料は7,500円(非課税)です。
2026年度の日程——前期と後期の2回
| 回 | 申込受付 | 科目A群 | 科目B | 合格発表(予定) |
|---|---|---|---|---|
| 前期 | 2026/10/6 10時〜10/24 17時 | 10/17〜10/27 | 11/11〜11/23 | 2027年2月頃 |
| 後期 | 2027/1/27〜2/27 | 2/20〜3/2 | 3/16〜3/28 | 2027年6月頃 |
申込は前期・後期それぞれ1回だけです。科目A群の得点は試験終了後に端末とマイページで分かりますが、科目Bの得点は端末に表示されません。2026年度からは試験問題が非公開のため、過去問として使えるのはIPAが公開している令和7年度までの問題です。
合格率は15.1%→19.0%→22.3%
直近3回の合格率は、令和6年度秋期が15.1%、令和7年度春期が19.0%、令和7年度秋期が22.3%でした。令和7年度秋期は受験者18,816人に対し、合格者4,199人です。5人受けて1人前後しか通らない計算になります。
2027年度からは科目Bの形式が変わる
IPAが2026年3月31日に示した見直し案では、2027年度の支援士試験は科目A-1が45分・30問、科目A-2が35分・25問、科目Bが120分・12問となる予定です。開始時期は2027年度の夏頃から秋頃とされています。2026年8月31日に公表された科目Bのサンプル問題の冒頭では、本試験を「1問1答を8問、1問3答を4問」とする予定が示されました。公開されたサンプルは各形式1問ずつで、解答群から選ぶ形式です。いずれも検討段階の案で、変更される可能性があります。
つまり、いま身に付ける「本文を読み、根拠を拾って答える力」は新制度でも土台になります。一方で、現行の記述式で答える機会は、予定どおりなら2026年度後期が最後です。午前は過去問を回せば点が伸びますが、午後の記述は自己採点が難しく、演習が週1問程度にとどまったまま試験日を迎えがちです。
科目A-1免除の有無で、学習配分はここまで変わる
最初に確認したいのは、科目A-1の免除を使えるかどうかです。次のいずれかを満たすと、その後2年間は科目A-1が免除されます。
- 応用情報技術者試験に合格している
- いずれかの高度試験、または支援士試験に合格している
- 高度試験・支援士試験の科目A-1(令和7年度までは午前Ⅰ)で基準点以上を取った
このほか科目A-2にも、IPAの認定を受けた大学等の学科で修了認定を受けた人向けの免除制度があります。
科目A-1の免除があれば、勉強する科目は科目A-2と科目Bの2つです。なければ、応用情報と同じ技術レベル3の知識を問う30問も加わります。時間の振り分けは、次の表を出発点にしてください(割合はSkillStack編集部の目安です)。
| あなたの状況 | 科目A-1 | 科目A-2 | 科目B |
|---|---|---|---|
| 免除あり(応用情報合格者など) | 0% | 30% | 70% |
| 免除なし・応用情報レベルの知識あり | 15% | 25% | 60% |
| 免除なし・応用情報の範囲に不安あり | 25% | 25% | 50% |
どの行でも、半分以上を科目Bに割きます。科目Bは2問で100点満点のため、1問を大きく崩すと基準点の60点に届かないからです。
科目A-2は7分野——重点は「セキュリティ」と「ネットワーク」
試験要綱の出題分野一覧表を見ると、支援士の科目A-2が出題範囲とする分野は7つに絞られています。重点分野(◎)は2つだけです。
| 分野 | 扱い | 技術レベル |
|---|---|---|
| セキュリティ | 重点分野(◎) | 4 |
| ネットワーク | 重点分野(◎) | 4 |
| データベース | 出題範囲(○) | 3 |
| システム開発技術 | 出題範囲(○) | 3 |
| ソフトウェア開発管理技術 | 出題範囲(○) | 3 |
| サービスマネジメント | 出題範囲(○) | 3 |
| システム監査 | 出題範囲(○) | 3 |
技術レベル4は、応用情報(レベル3)より一段深い問いです。ネットワークをレベル4で問うのは、ネットワークスペシャリストと支援士の2区分だけです。TLS、DNS、VPN、認証プロトコルは、午後でもそのまま題材になります。午前の勉強を「午後の予習」と位置づけると、学習内容の重複を減らせます。
午前の過去問は、正解の選択肢だけでなく、残り3つの選択肢が何を指すかまで説明できるかを確かめます。SkillStackには高度共通の午前Ⅰと支援士の午前Ⅱ・午後の過去問が入っていて、IPA試験は最新年度の1回分を無料で解けます。
試験日から逆算する学習ロードマップ——今日10月5日起点
後期の科目A群初日(2月20日)まで、今日から約20週。科目Bの最終日(3月28日)までなら約25週あります。この期間を4つのフェーズに分けます。
| フェーズ | 期間(編集部の目安) | やること |
|---|---|---|
| 1. 知識固め | 10月〜11月(約8週) | 科目A-2の重点2分野を中心に午前の過去問。免除なしなら科目A-1も並行する |
| 2. 午後演習 | 12月〜1月26日(約8週) | 科目Bの過去問を週2問。1問75分で解き、解答例と照合する |
| 3. 申込と午前仕上げ | 1月27日〜科目A群の受験日 | 申込時に科目A群と科目Bの日を同時に予約。午前の誤答だけを解き直し、午後演習は週1問に落として続ける |
| 4. 記述に集中 | 科目A群の受験後〜科目B | 科目A-1・科目A-2(免除科目を除く)がすべて60点以上だと確認できたら、残り期間を科目Bの演習だけに使う |
フェーズ2の「1問75分」は、科目Bの150分で2問を解く本番の配分です。最初は時間内に終わらなくて構いません。12月中は時間を測らず、1月から75分に切り替えます。
科目A群と科目Bの間隔は、14日から36日まで選べる
後期では、科目A群を2月20日に受けて科目Bを3月28日にすれば、間は36日です。科目A群を3月2日、科目Bを3月16日にすると14日まで縮みます。記述に不安があるなら、間隔を長く取るほうが安全です。
ただし前期試験では、申込後のキャンセルと返金ができず、日時の変更はそれぞれの試験日の3日前までとされています。後期も同じ扱いになるかは、申込前に受験者ポータルで確認してください。科目A-1の免除を使うかどうかも、申込の時点で決めておきます。
前期を狙ってよいのは、この条件がそろう人だけ
前期の科目Bは11月11日から23日です。今日から最短で約5週しかありません。前期を狙ってよいのは、次の2つがそろっている人です。
- 午前の過去問1回分を時間内に解いて、すでに60点を超えている
- 午後の過去問を数問解いた経験があり、解答例と照らして半分以上の設問で要点を外していない
どちらかが欠けるなら、前期は見送って後期に照準を合わせるほうが、準備期間を確保しやすくなります。前期で科目A-1に60点以上を取れば、その後2年間の免除が得られます。そのため、科目A-1だけを確保する目的で前期を受ける選択肢もあります。ただし前期は申込後の返金がないため、目的を決めてから申し込んでください。
経験別の出発点
| あなたの経験 | 最初の2週間でやること |
|---|---|
| 応用情報に合格済み(免除期間内) | 科目A-2の過去問1回分を解き、セキュリティとネットワークの正答率を出す。科目Bの過去問1問に早めに触れる |
| インフラ・開発の実務者(応用情報は未取得) | 科目A-1の過去問で60点に届くかを最初に確かめる。届かなければ、応用情報の午前範囲の復習から入る |
| セキュリティ実務がほぼない | 科目A-2の重点2分野の用語を、選択肢の誤りを説明できる水準まで固める。1月の時点で科目Bの手応えを見て、後期か2027年度かを決める |
午後(科目B)で点を落とす4つのパターン——IPA採点講評8問から
記述式の勉強法で最も効くのは、「どこで点を落とすか」を先に知ることです。IPAが公開している令和7年度春期・秋期の採点講評(午後 計8問)を読むと、失点の原因は4つの型に集約できます。
パターン1:問われた観点とずれた対策を書く
令和7年度秋期の問1では、脆弱性を見つけて直すための「開発プロセス」を問う設問の正答率が低くなりました。講評によると、ログ分析やWAF導入など、運用や製品の対策を書いた解答が目立ったそうです。同じ回の問4でも、被害からの「迅速な復旧」を問われたのに、攻撃を防ぐ手段を書いた解答が見られました。
対策は単純です。設問文の「何を」に当たる語(開発プロセス、復旧、など)に線を引き、書き終えた解答がその語に答えているかを照合します。
パターン2:本文の条件を使わずに一般論で書く
令和7年度春期の問2と問3では、本文で示されたWebサイトの仕様を考慮していない解答や、具体的な方法を問われているのに抽象的な解答が指摘されました。支援士の午後は、一般的に正しいことではなく「この会社のこの構成で正しいこと」を問います。
演習では、書いた解答の根拠を本文や図表の該当箇所に指し戻せるかを確かめ、必要な対象名や条件を解答に盛り込みます。指し戻せないときは、本文の読み落としを疑います。
パターン3:用語の定義だけ書く、指標を取り違える
令和7年度春期の問1では、SBOMを使う利点を問われたのに、SBOMの定義だけを書いた解答が多く見られました。問2ではCVSSv3の評価指標を取り違える誤りが、秋期の問2では別の暗号技術の名前を答える誤りが目立ちました。
用語は「何か」ではなく「何のために、どう使うか」まで言えるように覚えます。科目A-2の用語学習で、選択肢ごとの違いを説明する練習がここで効いてきます。
パターン4:肯定と否定を逆に答える
令和7年度春期の問4では、「継続する場合」と「しない場合」を取り違えた解答が見られ、講評はケアレスミスと推測しています。長文の最後の設問ほど起きやすいミスです。
見直しの最後の1分は、設問文の条件(する/しない、適切/不適切)と自分の解答の向きが一致しているかの確認だけに使います。
過去問の解き直しは「型」で分類する
過去問を解いたら、解答例と比べて外した設問に1〜4の番号を振ってください。10問ほど解くと、自分がどの型で落としやすいかが偏りとして見えてきます。そこからは、その型だけを意識して次の問題を解きます。漫然と問題数を増やすより、弱点を特定しやすくなります。
よくある質問
支援士の勉強時間はどれくらい必要ですか?
必要な時間は、免除の有無や実務経験で大きく変わります。時間ではなく「午前の過去問で60点を超えるか」「午後の過去問で要点を外さないか」で進み具合を測ってください。計画の例として、週10時間を20週続けると200時間になります。
参考書と過去問は、どちらから始めるべきですか?
先に午前の過去問を1回分解き、分野ごとの正答率を出すことを勧めます。参考書は、正答率が低かった分野を読む辞書として使えば、不要な通読を減らせます。令和7年度までの問題冊子・解答例・採点講評はIPAのサイトで公開されています。
2026年度後期で不合格だったら、2027年度はどうなりますか?
2027年度の支援士試験は夏頃から秋頃に始まる予定で、現行案では科目Bが120分・12問の新しい形式になります。現行試験で一部科目の免除要件を満たした人について、一定期間、新試験でも一部科目を免除する経過措置が検討されています。詳細は今後のIPAの発表を確認してください。
合格したら、すぐに「情報処理安全確保支援士」と名乗れますか?
名乗れません。合格後にIPAへ申請して登録を受ける必要があり、登録後は講習の受講が義務になります。費用と手続きは情報処理安全確保支援士の難易度と登録制度で整理しています。
CBT方式で、日程や申込の注意点はありますか?
申込時に科目A群と科目Bを同時に予約します。前期試験は申込後のキャンセルができません。2026年9月17日の更新で、試験室入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配られることになりました。応用情報や高度試験も含めた日程は応用情報・高度試験・支援士試験のCBT化にまとめています。
まとめ
前期の申込が始まるこのタイミングで勉強を始めるなら、狙いは現行の記述式で受けられる最後の回となる予定の、2026年度後期です。焦って前期に申し込むより、科目A-1免除の有無で配分を決め、12月から週2問の午後演習に入れるよう、10月と11月で午前を固めるほうが合格に近づきます。午後の過去問は、採点講評の4つの型で外した理由を分類しながら解き直してください。午前Ⅱの25問を毎日の通勤時間に少しずつ回したいなら、スマホで1問から解けるSkillStackを、まずは無料の最新年度分から使ってみてください。
参考サイト
- IPA|令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|情報処理安全確保支援士試験(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|試験要綱 Ver.5.6(2026年10月の試験から適用)(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|科目A-1試験免除(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|科目A-2試験免除制度 情報処理安全確保支援士試験(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|情報処理安全確保支援士試験 科目Bのサンプル問題(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|新試験制度のサンプル問題について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|新試験制度のシラバス案について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|令和7年度秋期試験の合格発表について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|令和7年度春期試験の合格発表について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|令和6年度秋期試験の合格発表について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|過去問題(2025年度・令和7年度)問題冊子・解答例・採点講評(取得日: 2026年10月5日)
- CBT-Solutions|令和8年度 前期試験 応用情報技術者試験及び高度試験(SC含む)(取得日: 2026年10月5日)
