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プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)シラバス案|出題範囲

10分で読めます

「結局、新しい試験では何が問われるのか」——プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)をめぐって、応用情報や高度試験を狙う人が答えを得られずにいた問いです。制度の枠組みは2025年から公表されていた一方、出題範囲の細目は示されていませんでした。それが2026年7月31日に動きました。

IPAがシラバス案をVer.0.2に更新し、科目A-2(専門知識)の出題範囲の細目を追加公表したのです。用語例まで踏み込んだ内容で、「ビジネス変革」「クラウド」「ネットワーク」といった大枠だけでなく、ADKARモデルやJIS Q 56002(ISO 56002)といった具体的な用語が並びます。

この記事では、公開された2本のシラバス案(マネジメント23ページ/システム25ページ)を読み解き、両試験がそれぞれどの領域を担当するのか、現行の応用情報・高度試験の知識がどこまで重なるのかを整理します。読み終えるころには、2026年度中に現行試験で取り切るか、新制度の情報を待つかを自分の状況で判断できるはずです。

IPAが公表したのは「出題範囲の細目」——2026年7月31日の更新点

今回追加されたのは、シラバスの前半を占める【目標とする知識(専門知識)】=科目A-2の出題範囲の細目です。IPAの「新試験制度のシラバス案について」は2026年6月30日に公開され、7月31日にこの細目が加わってVer.0.2となりました。

新試験の科目構成は3層です。共通知識の科目A-1、試験区分ごとに異なる専門知識の科目A-2、実務能力を問う科目B(技能)。Ver.0.2で確認できるのは科目A-2と科目Bですが、7月31日に追加されたのは科目A-2の細目のみです。科目A-1については「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)及び情報処理安全確保支援士試験 共通知識 シラバス(案)」として別途示される予定で、現時点では準備中です。

新試験の科目構成(科目A-1共通知識・科目A-2専門知識・科目B技能)を示した図

公開済みのシラバス案は「プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)」と「(システム)試験(仮称)」の2本だけです。ITパスポート試験、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験、データマネジメント試験(仮称)、プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)、情報処理安全確保支援士試験は、いずれも「準備中」と記載されています。IPAは2026年度夏頃を目途に一通り掲載する予定としています。

ここで学習の進め方が難しくなります。範囲が見えた区分と見えない区分が混在し、しかも公表済みの2本にも「本資料の内容は公表時点の検討状況に基づくものであり,変更する可能性があります」という但し書きが付いているためです。確定前の情報をどこまで学習に反映するのか、線引きの判断が要ります。

マネジメント試験は何を問うのか|ビジネス変革からガバナンス・法規まで

マネジメント試験(PD-M)の科目A-2は、4つの大分類にまたがります。中心は大分類1「ビジネス変革」で、中分類1〜5の5領域すべてを担当します。内訳は「ビジネス変革の方法論」「経営戦略・デジタル戦略」「ビジネスモデル・ビジネスプロセス」「サービスマネジメント」「プロジェクトマネジメント」です。

残る3つは、大分類3「組織活動」から中分類12「ガバナンス・監査」、大分類6「セキュリティ」から中分類24「情報セキュリティマネジメント」、大分類7「倫理・コンプライアンス」から中分類28「ビジネス関連法規」。マネジメント領域の知識が、ひとつの試験区分に束ねられた構成です。

用語例を見ると、単なる名称の置き換えでないことがわかります。社会変化の動向としてCX(コーポレートトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)・AX(AIトランスフォーメーション)が並び、イノベーションマネジメントではJIS Q 56002(ISO 56002)が明記されました。変革活動のマネジメントには、ADKARモデル、レビンの組織変革プロセス(解凍・変革・再凍結)、コッターの8段階プロセスといったチェンジマネジメントの手法が具体的に列挙されています。

科目Bの出題範囲は4つの大項目です。「組織及びビジネスの変革・デジタル戦略に関すること」「サービスマネジメントに関すること」「プロジェクトマネジメントに関すること」「組織のガバナンス・監査に関すること」。各項目は「〜するために,〜するスキル」という文型で書かれ、たとえば外部環境の分析では「自社のデジタル戦略に与える影響を評価するために,地政学的リスクや社会動向の変化を分析して把握するスキル」といった粒度まで示されています。

システム試験は何を問うのか|クラウド・ネットワーク・開発運用

システム試験(PD-S)の科目A-2は、技術領域に寄った構成です。最大の塊は大分類4「デジタル技術」で、中分類13「デジタルサービス・デジタルツール」、14「システムの種類・構成」、15「クラウド」、16「ネットワーク」、17「データベース」の5領域を担当します。

加えて、大分類5「システムの開発・運用」から中分類20「システムライフサイクルプロセス」と21「開発・運用の方法論」、大分類6「セキュリティ」から中分類26「セキュリティ実装技術・評価」、そして大分類1から中分類2「経営戦略・デジタル戦略」が入ります。技術一辺倒ではなく、経営戦略との接続が1領域分だけ組み込まれている点が特徴です。

科目Bの大項目は「システムアーキテクチャに関すること」「ネットワークに関すること」「フィジカルコンピューティングに関すること」「システムの開発・運用に関すること」の4本。内訳を読むと現在地が具体的にわかります。たとえば開発・運用にはアジャイル開発、CI/CD、DevSecOps、AI駆動開発、SBOM、SRE(サイト信頼性エンジニアリング)が並び、システムアーキテクチャにはクラウドサービスの活用、マイクロサービス化、マイグレーションが挙がっています。

データベースの扱いは分かれています。科目A-2の知識領域には中分類17として独立して含まれる一方、科目Bには単独の大項目がありません。技能としては「システムアーキテクチャに関すること」の機能要件の定義に「データ構造の設計を含む」と明記されており、設計技能はこの中で問われる構成です。

現行の応用情報・高度試験とどう違うのか

最大の違いは、知識体系を共通の枠に整理したうえで、試験区分ごとに担当する中分類を割り当てる設計になったことです。現行の高度試験は区分ごとに独立した出題範囲を持ちますが、新制度では大分類1〜7という共通の枠に対し、試験区分ごとに担当する中分類が割り当てられます。多くは分かれる一方で、重なる領域もあります。中分類2「経営戦略・デジタル戦略」はマネジメント・システムの双方に含まれる共通領域です。

同じ「セキュリティ」という大分類でも、マネジメント側は中分類24(情報セキュリティマネジメント)、システム側は中分類26(セキュリティ実装技術・評価)と、受け持つ中分類が分かれます。組織としてどう管理するかを問うのか、技術としてどう実装・評価するかを問うのか。同じ大枠の中で役割が切り分けられました。

マネジメント試験とシステム試験が担当する科目A-2の中分類を並べた対比図
観点マネジメント試験(PD-M)システム試験(PD-S)
科目A-2の中心ビジネス変革(中分類1〜5)デジタル技術(中分類13〜17)
セキュリティの扱い情報セキュリティマネジメント(中分類24)セキュリティ実装技術・評価(中分類26)
科目Bの大項目組織及びビジネスの変革・デジタル戦略/サービスマネジメント/プロジェクトマネジメント/組織のガバナンス・監査システムアーキテクチャ/ネットワーク/フィジカルコンピューティング/システムの開発・運用
現行試験と重なる領域
(編集部整理)
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、監査の各領域システムアーキテクチャ、ネットワーク、組込みシステムの各領域

表の最下段は、出題範囲の記述を現行試験の領域と読み比べた編集部の整理です。IPAが現行区分との対応関係を公式に示したものではありません。「出題範囲等の改定案 Ver.1.0」にも、現行区分と新区分を1対1で結ぶ記載はありません。あくまで学習の見当をつけるための目安として扱ってください。

制度全体の再編(応用情報・高度試験の3領域への集約、データマネジメント試験の新設、CBT移行など)については、情報処理技術者試験が2027年度に大刷新|全変更点まとめで解説しています。今回のシラバス案は、その枠組みに中身が入った続報という位置づけです。

いつから変わり、誰に影響するのか

新試験制度は2027年度からの開始が予定されています。予定どおりに進めば、2026年度の試験は現行制度のまま実施されます。今年度中に受験する人が、今回のシラバス案の内容を直接問われることはありません。

影響が大きいのは次の層です。第一に、2027年度以降に応用情報や高度試験の後継区分を狙う人。学習範囲の輪郭が具体化したため、教材選びと学習順序を検討し直せます。第二に、現行試験での合格を目指すか、新制度の開始を待つか迷っている人。マネジメント系とシステム系のどちらに自分の実務が寄っているかで、注力すべき区分が変わります。

一方、ITパスポート試験と基本情報技術者試験のシラバス案は準備中です。入門層への影響は、今後の公表を待つ必要があります。

受験予定者が今すべき3つの判断

まず、2026年度は現行試験で取り切る前提で動くのが基本です。新制度の詳細は夏以降に順次公表される段階で、シラバス案自体にも変更の可能性が明記されています。確定していない範囲を先取りするより、現行制度で合格実績を作るほうが確実です。

次に、自分がマネジメント/システムのどちら寄りかを検討すること。科目Bの「目標とする技能」を読み、自分の実務でどちらの記述に既視感があるかを確かめてください。科目A-1が準備中である以上、この段階でできるのは候補を絞ることまでです。

最後に、共通知識(科目A-1)の公表を待つことです。全体の土台となる部分がまだ見えていません。ここが出そろって初めて、学習量の全体像がつかめます。IPAは2026年度夏頃を目途としているため、今後の更新を追う価値があります。

よくある質問

シラバス案Ver.0.2の内容は確定ですか?

確定ではありません。両シラバス案の表紙には「本資料の内容は公表時点の検討状況に基づくものであり,変更する可能性があります」と明記されています。学習の方向性をつかむ材料としては有効ですが、細かな用語例まで暗記の対象にするのは時期尚早です。

応用情報技術者試験の勉強は無駄になりますか?

2026年度は現行制度で実施される予定のため、今年度の受験に向けた学習として有効です。新試験の科目A-2にも経営戦略、プロジェクトマネジメント、ネットワーク、データベースといった領域が引き継がれており、知識の土台は重なっています。

データベーススペシャリスト試験の領域はどうなりますか?

データベースはシステム試験の科目A-2に中分類17として独立して含まれます。科目Bには単独の大項目がありませんが、「システムアーキテクチャに関すること」の機能要件の定義に「データ構造の設計を含む」と記載されています。ただし全区分のシラバス案が出そろっていない段階のため、最終的な扱いは今後の公表を待つ必要があります。

サンプル問題はもう公表されていますか?

今回公表されたのは出題範囲の細目であり、サンプル問題ではありません。サンプル問題の公開時期について、今回の一次情報では触れられていません。

まとめ

制度の枠だけが先に決まり、中身が見えないまま待たされてきた人にとって、今回の更新は最初の実質的な手がかりです。マネジメントはビジネス変革とガバナンス、システムはデジタル技術と開発・運用。担当する中分類がはっきりした以上、次は自分がどちらに寄っているかを見定める段階に入りました。2026年度は現行試験で結果を出しながら、共通知識の公表を待つのが最も無駄のない進め方です。新制度は分野をまたぐ範囲の広さが特徴なので、どの分野で取りこぼしているかを把握できるかどうかが学習効率を左右します。SkillStackには分野別の正答率を表示する機能があり、弱い領域を見つける手がかりとして使えます。

参考サイト

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