「また3年経ったのか。試験の予約、気が重いな」——AWS認定の更新期限を控えた人の、これが本音ではないでしょうか。その常識を変える新制度が2026年6月に登場しました。「Maintain(維持)」——AWS Skill Builder上の学習とハンズオンラボでポイントを貯めれば、本番試験を受け直さずに認定の有効期限を延長できる仕組みです。
ただし手放しでは喜べません。延長は1年のみ、有料サブスクリプションが前提、対象認定は段階的に拡大中と、従来の「Renew(更新・3年延長)」とは性格がかなり違います。
要件・対象・費用感をAWS公式の発表に沿って整理し、1年あたりの費用で両者を比べる試算も付けました。読み終える頃には、自分の保有認定をMaintainでつなぐかRenewで延ばすか、費用と手間を天秤にかけて決められるはずです。
AWS認定の「Maintain(維持)」とは
Maintainは、試験を受け直さずにAWS認定を維持できる、再認定の新しい経路です。前提として、AWS認定資格は取得日から3年間有効で、期限前に「再認定(Recertification)」を行わないと失効します。これまで再認定の主な方法は、対応する試験を受け直す「Renew(更新)」でした。
2026年6月23日に発表されたMaintainでは、試験会場やオンライン試験の代わりに、AWS Skill Builder上の指定されたデジタル講座とハンズオンラボを進めて所定のポイントを獲得すると、認定の有効期限を延長できます。現時点ではオープンベータでの提供です。
Maintainの持ち味は、認定ドメインに関連する「進化し続けるトピック」を学びながら認定を維持できる点です。最新のサービスアップデートやベストプラクティスをキャッチアップした成果が、そのまま認定の延長につながります。試験の一発勝負が苦手な人や、日々の業務で手を動かしている人とは相性のよい選択肢です。
一方で、新しい経路が増えたぶん「結局どの方法で更新すべきか」「ポイントのために何を学べばいいのか」という迷いも生まれます。複数の認定を持つ人ほど、更新スケジュールと学習計画の管理は複雑になる一方です。まずはMaintainとRenewの違いを、数字で並べて比べるところから始めましょう。
MaintainとRenew(更新)の違い
再認定の2大経路である「Maintain」と「Renew」は、延長される年数・必要な労力・費用の性質が異なります。自分の状況に合うほうを選ぶために、まずは違いを表で押さえましょう。
| 項目 | Maintain(維持) | Renew(更新) |
|---|---|---|
| 方法 | Skill Builderの学習+ハンズオンラボでポイント獲得 | 対応する最新版の試験を受け直す(または上位試験に合格) |
| 延長される有効期限 | 1年(完了日から) | 3年 |
| 主な費用 | Skill Builder有料サブスクリプション | 受験料(再認定・アップグレード時は50%割引バウチャーあり) |
| 向いている人 | 試験を避けたい/学習しながら維持したい人 | 3年単位でまとめて延長したい人 |
ポイントは、Maintainが1年単位での延長であるのに対し、Renewは3年単位でまとめて延長できることです。長期的に安定させたいならRenew、まずは1年つないで様子を見たい・最新トピックを学びながら維持したいならMaintain、という使い分けになります。なお、ファンデーショナルやアソシエイトの認定は、上位レベルの試験に合格することでも再認定の要件を満たせます(全体像はAWS認定の有効期限と再認定の方法を参照)。
Maintainの対象認定とポイント要件
Maintainを利用するには、AWS Skill Builderで所定のポイントを獲得する必要があります。必要ポイントは認定のレベルによって異なります。
- アソシエイト級:500ポイント(うち実践的な課題を1つ以上含む)
- プロフェッショナル級:700ポイント(うち実践的な課題を2つ以上含む)
利用の流れはシンプルです。AWS Skill Builderで「Explore(探す)> Validate your skills > Recertify」と進み、維持したい認定を選択して、表示される講座やハンズオンラボを進めていきます。要件を満たすと、認定の有効期限が完了日から1年延長され、AWS認定アカウントにすぐ反映されます。
利用にあたっての主な条件は次のとおりです。
- 対象期間:認定の有効期限が切れる90日前から利用可能
- サブスクリプション:有効なAWS Skill Builderの有料サブスクリプション(Individual または Team)が必要
- 対象認定:ローンチ時点ではアソシエイト級・プロフェッショナル級の一部認定が対象。Data Engineer、Security専門知識、Machine Learning Engineerなどは2026年内に順次追加予定
AWS Skill BuilderのIndividual(個人)サブスクリプションには月額・年額のプランがあり、2026年7月時点では月額29USD・年額449USD(通常価格)で提供されています。年額プランには初年度向けの割引キャンペーンが実施されることもあります。料金は変更されることがあるため、申込前に公式の料金ページで最新情報を確認してください。
1年あたりの費用で比べるMaintainとRenewの損益分岐
ここまでに出た数字を「延長1年あたりの負担」に換算すると、判断材料がはっきりします。アソシエイト級を例に試算しました。
| 経路 | 費用の例 | 延長幅 | 1年あたり |
|---|---|---|---|
| Renew(50%割引バウチャー利用) | 75USD | 3年 | 約25USD |
| Renew(割引なし) | 150USD | 3年 | 50USD |
| Maintain(月額29USDのプランで2ヶ月かけて完了する場合) | 58USD | 1年 | 58USD |
金額だけならRenew、特にバウチャー併用が有利です。ただし、Skill Builderのサブスクリプションを普段の学習用にすでに契約している人にとって、Maintainの追加費用は実質ゼロになり、順位は逆転します。「サブスクを更新以外の学習にも使うかどうか」が損益分岐点だと考えると選びやすいはずです。※金額は本文中の2026年7月時点の公表値をもとにした概算です。
Maintainを使うべき人・Renewを選ぶべき人
どちらの経路が最適かは、目的とライフスタイルによって変わります。判断の目安を整理します。
Maintainが向いている人
本番試験のプレッシャーを避けたい人、普段からAWSを業務で触っていて手を動かす学習が苦にならない人、最新のサービスアップデートを学びながら認定を保ちたい人に向いています。Skill Builderのサブスクリプションをすでに契約している場合は、追加費用なしで取り組める点もメリットです。
Renew(更新)が向いている人
一度で3年分まとめて延長したい人、認定ドメイン全体を試験という形で改めて棚卸ししたい人にはRenewが合います。試験を受け直すことで、その時点での最新出題範囲を体系的に復習できるのも利点です。1年ごとの学習管理が手間に感じる場合も、3年スパンのRenewのほうがシンプルでしょう。
どちらを選ぶ場合でも、土台になるのは「最新の出題範囲に沿った知識を保てているか」です。複数のAWS認定の取得順や難易度を見直したい方はAWS認定資格12種類の比較も参考になります。
よくある質問
Maintainで延長できるのは何年ですか?
完了日から1年間です。試験を受け直すRenewの3年延長と比べると短いため、長期的に維持したい場合は更新タイミングごとに方法を選び直す必要があります。1年ごとに最新トピックを学び直せるとも言い換えられます。
Maintainは無料で使えますか?
講座やラボそのものに追加課金はありませんが、有効なAWS Skill Builderの有料サブスクリプション(IndividualまたはTeam)が必要です。すでにSkill Builderを契約している人は、その範囲内で取り組めます。なお、クラウドプラクティショナーはゲーム形式のAWS Cloud Questによる再認定経路も用意されています。
認定が失効してしまったらMaintainは使えますか?
Maintainは「認定がアクティブ(有効)であること」が前提で、有効期限の90日前から利用できます。失効後は維持・更新の対象外となり、認定を取り直すことになるため、期限管理は早めに行いましょう。AWSからは期限前にリマインダーが届きますが、最終的な管理責任は受験者本人にあります。
すべてのAWS認定がMaintainの対象ですか?
2026年6月のローンチ時点では、アソシエイト級・プロフェッショナル級の一部認定が対象です。Data Engineer、Security専門知識、Machine Learning Engineerなどは2026年内に順次対象へ加わる予定とされています。最新の対象状況はAWS Skill Builderの「Recertify」ページで確認できます。
まとめ
更新のたびに試験勉強へ追い込まれてきた人にとって、Maintainは「学びながら維持する」という現実的な第3の道です。アソシエイト500ポイント・プロフェッショナル700ポイント、利用は期限の90日前から、延長は完了日から1年——押さえる数字はこれだけで、あとはサブスクの契約状況と照らしてRenewと使い分けるだけです。どちらの経路でも学び直しの起点になるのは弱点の特定なので、分野別の正答率が色分けで一目で分かるSkillStackを使うと、どのドメインから手を付けるべきかを迷わず決められます。まずは自分の認定の有効期限とMaintain対応状況を、Skill Builderの「Recertify」ページで確認してみてください。
参考サイト
- A new way to keep your AWS Certification current|AWS Training and Certification Blog(取得日: 2026年6月25日)
- AWS Recertification | AWS Certification Renewal(取得日: 2026年6月25日)
- AWS Certification Information and Policies|Recertification(取得日: 2026年6月25日)
- AWS Skill Builder Subscriptions(料金)(取得日: 2026年7月7日)
- AWS Skill Builder Individual annual subscription promotion Terms and Conditions(取得日: 2026年7月7日)

