「去年そろえたSCS-C02の教材、まだ使えるのだろうか」——AWS Certified Security - Specialtyの受験を考えている人が、いま最初に確かめるべきはこの点です。試験は2025年12月2日に新バージョンSCS-C03へ完全に切り替わり、旧版のSCS-C02はすでに受験できません。
しかも今回は名前だけの小改定ではありません。「脅威検出とインシデント対応」ドメインの分割、IAM配点の20%への引き上げ、生成AI・MLセキュリティの追加、そして並べ替え・マッチングという新しい問題形式。学習計画に直結する変更が重なっています。
読み終えれば、SCS-C03で何がどう変わったのか、手持ちの教材をどこまで流用できるのか、どのドメインから対策すべきかを自分で判断できるようになります。内容は2026年7月時点のAWS公式試験ガイドと照合済みです。
SCS-C03とは?2025年12月リリースの最新版
AWS Certified Security - Specialty(略称SCS)は、AWS上でのセキュリティ設計・運用スキルを認定する専門レベル(Specialty)の資格です。クラウドのセキュリティ責任を担うエンジニア向けで、AWSは想定受験者の目安として「クラウドソリューションのセキュリティ確保に3〜5年程度の経験」を挙げています。
このSCSが、2025年12月2日にSCS-C03として提供を開始しました。新バージョンの登録受付は2025年11月18日に始まり、旧版のSCS-C02は2025年12月1日が最終受験日でした。つまり2026年7月現在、受験できるのはSCS-C03のみです。AWSの認定資格は数年ごとに改定されますが、今回のSCS-C03はドメイン構成にまで踏み込んだ大きめのアップデートとなっています。
AWS認定資格の全体像のなかでSCSがどの位置づけにあるかを把握したい方は、AWS認定資格12種類の難易度・取得順番もあわせて確認すると、学習計画が立てやすくなります。
とはいえ、改定直後の試験は厄介です。市販の教材や問題集が新範囲に追いついているかを判断しづらく、変更点を押さえないまま旧版前提の教材で進めてしまうと、出題傾向のズレに気づかないまま時間を失いかねません。まず「何が変わったのか」を正確に押さえるところから始めましょう。
SCS-C03の試験概要(問題数・時間・受験料)
SCS-C03の基本スペックは170分・65問・300 USD・合格750点で、旧C02から据え置きです。主な仕様は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | SCS-C03 |
| レベル | Specialty(専門知識) |
| 問題数 | 65問(採点対象50問+採点対象外15問) |
| 試験時間 | 170分 |
| スコア | 100〜1,000のスケールスコア(合格点750) |
| 受験料 | 300 USD(米ドル建て。日本円では受験時の為替レートで換算) |
| 想定経験 | クラウドセキュリティ実務3〜5年程度 |
採点対象外の15問は、将来の出題候補としてAWSがデータ収集のために含めているもので、本番ではどれが採点対象外かは判別できません。全65問を等しく解く前提で臨むのが安全です。合格には全体で750点以上が必要ですが、ドメインごとに合格ラインがあるわけではない「補正スコアモデル(compensatory scoring)」のため、苦手分野を得意分野で補う戦略が成り立ちます。
SCS-C02からの主な変更点
SCS-C03で最も大きいのが出題ドメインの再編です。旧版SCS-C02では「脅威検出とインシデント対応」がひとつのドメインでしたが、SCS-C03ではこれが「検出(Detection)」と「インシデント対応(Incident Response)」の2つに分割されました。あわせて旧「セキュリティのログ記録とモニタリング」の要素が検出ドメインへ統合され、IDおよびアクセス管理(IAM)の比重が最も高い20%へと引き上げられています。
| SCS-C02(旧) | 配点 | SCS-C03(新) | 配点 |
|---|---|---|---|
| 脅威検出とインシデント対応 | 14% | 検出 | 16% |
| セキュリティのログ記録とモニタリング | 18% | インシデント対応 | 14% |
| インフラストラクチャのセキュリティ | 20% | インフラストラクチャのセキュリティ | 18% |
| IDおよびアクセス管理 | 16% | IDおよびアクセス管理 | 20% |
| データ保護 | 18% | データ保護 | 18% |
| 管理とセキュリティガバナンス | 14% | セキュリティ基盤とガバナンス | 14% |
※表は新旧それぞれのドメイン一覧を配点付きで並べたもので、同じ行どうしが1対1で対応する関係ではありません。
生成AI・機械学習セキュリティの追加
SCS-C03では、生成AI(Generative AI)や機械学習(ML)ワークロードのセキュリティが新たに重点領域として加わりました。AIサービスを利用するシステムが急増する中で、データの取り扱いやアクセス制御といった観点が問われるようになっています。AWSはこの改定を「今日のセキュリティの実態を反映したもの」と位置づけており、OCSF(Open Cybersecurity Schema Framework)に沿ったログ運用など、より実務寄りのトピックが取り込まれています。
新しい問題形式の追加
出題形式にも変化があります。従来の択一式(Multiple choice)・複数選択式(Multiple response)に加えて、SCS-C03では並べ替え式(Ordering)とマッチング式(Matching)が導入されました。並べ替え式は3〜5個の手順を正しい順序に並べる形式、マッチング式は複数の項目を対応する選択肢と正しく組み合わせる形式です。いずれも部分点はなく、すべて正しく解答して初めて得点になります。手順の流れや概念の対応関係を、暗記ではなく理解として押さえているかが試されます。
SCS-C03の6つの出題ドメイン
SCS-C03は次の6ドメインで構成されます。配点の大きい順に学習の優先度を決めると効率的です。
- IDおよびアクセス管理(20%):IAMポリシー設計、フェデレーション、最小権限、大規模なアクセス管理
- インフラストラクチャのセキュリティ(18%):VPC、ネットワーク境界、レイヤー3〜7のファイアウォール、エッジ保護
- データ保護(18%):保管時・転送時の暗号化、KMS、機密データの分類と保護
- 検出(16%):GuardDuty、Security Hub、ログの収集と分析、脅威の可視化
- インシデント対応(14%):インシデント対応計画、根本原因分析、復旧と封じ込め
- セキュリティ基盤とガバナンス(14%):マルチアカウント統制、コンプライアンス評価、監査対応
IAMが最大ウェイトである点はSCS-C03の特徴です。アクセス制御を「何となく」で済ませず、ポリシーの評価順序やクロスアカウントの委任まで踏み込んで理解しておくことが合格の鍵になります。
これから受験する人が押さえるべきポイント
改定直後の今、対策で意識したいのは次の3点です。第一に、教材がSCS-C03対応かを必ず確認すること。SCS-C02向けの古い問題集はドメイン構成や新形式に対応していない可能性があります。第二に、生成AI・MLセキュリティや並べ替え/マッチング形式など、新要素を早めに体験しておくこと。第三に、配点の高いIAM・インフラ・データ保護を軸に、検出とインシデント対応を「セットではなく別物」として整理し直すことです。
SCS-C02教材はどこまで使える?流用可否の判断表
教材を全部買い直す必要はありません。判断の軸は「サービスの原理原則か、試験への最適化か」です。手元の教材を次の表に当てはめてみてください。
| 手元の教材・知識 | C03での扱い | 理由 |
|---|---|---|
| IAMポリシー評価・KMS・VPCセキュリティの基礎解説 | そのまま使える | サービスの原理原則は新旧共通。IAMはむしろ配点が20%に増えた |
| ドメイン別の学習計画・章立て | 組み直しが必要 | 検出とインシデント対応の分割、ログ記録ドメインの統合で構成が変わった |
| C02向けの模擬問題 | 腕試しまで | 択一・複数選択の演習には使えるが、並べ替え・マッチング形式と新トピックを含まない |
| 生成AI・MLセキュリティ、OCSF関連 | 新規に学習 | C03で加わった領域のため、旧教材にはそもそも載っていない |
仕上げの模擬演習だけはSCS-C03対応を明記した教材に切り替える——この一点を守れば、旧教材への投資も無駄にはなりません。
なお、合格後の更新(再認定)については、AWS認定の有効期限と再認定の方法で詳しく解説しています。取得後3年で失効するため、受験前から更新の流れも把握しておくと安心です。
よくある質問
SCS-C02はもう受験できませんか?
はい。SCS-C02は2025年12月1日が最終受験日で、現在は受験できません。2025年12月2日以降に申し込めるのはSCS-C03のみです。これから受験する場合はSCS-C03で対策してください。
SCS-C02で取得済みの認定はどうなりますか?
すでに取得済みのAWS Certified Security - Specialty認定は、有効期限(取得から3年)まで有効です。バージョンが変わっても、保有している認定が即座に無効になることはありません。期限が近づいたら、その時点の最新版で再認定する形になります。
SCS-C02向けの教材でも勉強できますか?
基礎的なAWSセキュリティの知識は共通するため無駄にはなりませんが、ドメイン構成・配点・新しい問題形式・生成AI関連トピックは反映されていません。仕上げの段階では、必ずSCS-C03対応をうたう公式試験ガイドや問題集で範囲を確認することをおすすめします。
SCS-C03の難易度は上がりましたか?
合格点(750点)や試験時間(170分)、問題数(65問)といった基本スペックは大きく変わっていません。ただし生成AIセキュリティや並べ替え・マッチング形式が加わり、暗記よりも実務的な理解が問われる方向に進んでいるため、体感的な難しさは上がったと感じる受験者もいます。
まとめ
AWS Certified Security - Specialtyは2025年12月にSCS-C03へ刷新され、受験できるのは新版のみになりました。検出とインシデント対応の分割、IAM比重の20%への引き上げ、生成AI・OCSFへの対応、並べ替え/マッチング形式の追加——変更はどれも「実務のセキュリティ運用に近づける」方向でそろっています。だからこそ、暗記の積み増しではなく、配点の高いIAM・インフラ・データ保護から理解を組み立て直すことが得点への最短路です。6ドメインのどこで失点しているのかを感覚ではなく数字でつかみたい人は、分野別の正答率を表示するSkillStackで弱点ドメインを特定しながら演習を進める方法もあります。手元の教材のC03対応を確かめたら、あとは始めるだけです。
参考サイト
- AWS Certified Security - Specialty (SCS-C03) 試験ガイド(AWS公式 / 取得日: 2026年6月26日)
- AWS expands AI certification portfolio and updates security certification(AWS Training and Certification Blog / 取得日: 2026年6月26日)
- AWS Certified Security - Specialty 公式ページ(取得日: 2026年6月26日)
- AWS「SCS-C03 試験ガイド(PDF)」(取得日: 2026年7月7日)
