「数日前まで読んでいた出題範囲、もう古いかもしれません」——CCNP Security を狙って SCOR の教材を開いている人は、まずここを確認してください。2026年8月27日、シスコのセキュリティ認定で新版の試験が一斉に受験開始となりました。コア試験の SCOR 350-701 は v1.1 から v2.0 へ。2020年2月以来、初の大改定です。
そして、コンセントレーション試験のひとつだった SVPN 300-730 は廃止されました。後継となる直接の代替試験はありません。VPN の内容はコア試験と別のコンセントレーション試験に振り分けられています。
この記事を読み終えるころには、v2.0 の6分野と出題比率、自分の合格実績がどう扱われるのか、そして受験予定日をずらすべきかどうかの判断がついているはずです。すでに v1.1 に合格している人も、まだ1問も解いていない人も、取るべき行動は違います。
8月27日に何が切り替わったのか——主な変更は3つ
大きな変更点は3つです。コア試験のバージョンアップ、コンセントレーション試験の1本廃止、そして名称変更。これに加えて、コンセントレーション2本が小幅に更新されています。
シスコは公式ブログで、現行版の最終受験日と新版の開始日を明示しています。「2026年8月26日:すべての現行版試験の最終受験日」「2026年8月27日:すべての新試験の受験開始日」。移行期間を置かない、同日切り替えです。
1つ目は、コア試験 350-701 SCOR の v2.0 への更新です。正式名称は「Implementing and Operating Cisco Security Core Technologies」で変わりません。試験コードも 350-701 のままです。変わったのは中身です。シスコはこの改定を、「クラウド配信型セキュリティ、SSE、AI時代のインフラ」を反映したものだと説明しています。
2つ目は、SVPN 300-730「Implementing Secure Solutions with Virtual Private Networks」の廃止です。最終受験日は2026年8月26日でした。シスコは「直接の代替コンセントレーション試験は用意しない」と明言しています。ただし VPN が出題されなくなるわけではありません。シスコは VPN の内容を2か所に再配分したと説明しています。コア試験の SCOR には VPN の基礎が残り、コンセントレーション試験の SNCF では FTD ファイアウォール上での VPN 設定が問われます。SVPN のトレーニングコース自体も、Cisco U. とシスコラーニングパートナー経由で引き続き提供されます。
3つ目は名称変更です。300-740 の略称が SCAZT から SSCA に変わりました。正式名称は「Designing and Implementing Secure Cloud Access for Users and Endpoints」で、バージョンは v2.0 です。教材やメモに「SCAZT」と書いてある人は、読み替えが必要になります。
改定後のCCNP Security試験構成
CCNP Security の取得条件は変わっていません。コア試験1本と、コンセントレーション試験1本の計2本です。ただしコンセントレーションの選択肢は4本になりました。
| 区分 | 試験コード・略称 | バージョン | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| コア | 350-701 SCOR | v2.0 | 120分 |
| コンセントレーション | 300-710 SNCF | v1.2 | 90分 |
| コンセントレーション | 300-715 SISE | v1.2 | 90分 |
| コンセントレーション | 300-740 SSCA(旧SCAZT) | v2.0 | 90分 |
| コンセントレーション | 300-745 SDSI | v1.0 | 90分 |
SNCF と SISE は v1.2 への小幅な更新にとどまります。シスコ自身も「マイナーアップデート」と表現しています。
ひとつ補足しておきます。シスコは最終受験日の告知で、SVPN に加えて ESA と WSA も名前を挙げています。ただし、この2つが廃止なのか新版へ移行したのかは公式に明記されていません。2026年8月29日時点のシスコ公式 CCNP Security ページのコンセントレーション一覧には、上の表の4本のみが掲載されています。
ここが改定期のやっかいなところで、試験の中身より先に「自分の教材がどの版に対応しているのか」が分からなくなります。手元の問題集が v1.1 準拠なのか v2.0 準拠なのか、表紙を見ても判断できないことは珍しくありません。学習の道具は、制度が動いた直後ほど最新版かどうかを確かめる価値が上がります。
誰に影響するのか——合格済みの実績は消えない
結論から言えば、SCOR v1.1 に合格済みなら、その合格は無効になりません。改定を知って駆け込み受験や再受験を検討する人がいますが、少なくともコア試験についてその必要はありません。
シスコは公式ブログで明確に答えています。v1.1 に合格済みであれば、その合格は引き続き任意のセキュリティ系コンセントレーション試験と組み合わせて CCNP Security の取得に使えます。しかもそのコンセントレーション試験を2026年8月27日以降に受験しても構いません。バージョンの移行は、すでに合格した試験を無効にしない——これがシスコの示した原則です。
影響を受ける人と受けない人を整理します。
| あなたの状況 | 影響 |
|---|---|
| SCOR v1.1 に合格済み | 影響なし。コンセントレーションを1本足せばCCNP Securityを取得できる |
| SVPN 300-730 に合格済み | 廃止後の合格実績の扱いは公式に明記されていない。シスコまたは認定トラッキングで要確認 |
| これからSCORを受験する | 8月27日以降はv2.0のみ。教材とメモをv2.0基準に差し替える必要がある |
| SVPNを受験予定だった | 受験できない。残る4本から選び直す |
| CCIE Security を目指している | 直接の影響なし。SCORが引き続きラボ試験の資格試験 |
CCIE Security についても、シスコは「直接の影響はない」と回答しています。SCOR は引き続き、CCIE Security のラボ試験を受けるための資格試験(qualifying exam)です。なおラボ試験には、AI を組み込んだ Design, Deploy, Operate, and Optimize(DOO)モジュールの追加が別途予告されています。今回の筆記試験の改定とは切り離された動きです。
いちばん実害が出るのは、SVPN を狙って学習してきた人です。試験そのものが無くなったため、コンセントレーションを選び直す必要があります。学んだ VPN の知識が無駄になるわけではありません。内容は SCOR と SNCF に移っているので、SNCF を選べば学習の多くはそのまま生きます。
SCOR v2.0の出題範囲——6分野の比率とSSEの位置づけ
v2.0 の出題範囲は6分野です。シスコ公式の試験トピックに掲載されている比率をそのまま示します。
| 分野 | 出題比率 |
|---|---|
| 1.0 Security Concepts | 20% |
| 2.0 Network Security | 25% |
| 3.0 Cloud Security | 15% |
| 4.0 Secure Service Edge | 10% |
| 5.0 Endpoint Protection and Detection | 15% |
| 6.0 Network Access, Visibility, and Enforcement | 15% |
最大の分野は Network Security の25%です。次いで Security Concepts が20%。この2つで全体の45%を占めます。土台は依然としてネットワークセキュリティにある、と読めます。
注目したいのは Secure Service Edge が独立した1分野として10%を占めている点です。SSE は、クラウド経由でセキュリティ機能を提供する考え方を指します。6分野のなかでは最小の重みですが、無視できる大きさではありません。製品を触ったことがない人にとっては、丸ごと未知の領域になりかねない範囲です。
Secure Service Edge の10%と Cloud Security の15%を合わせると、クラウド側のセキュリティが全体の4分の1を占めます。シスコが今回の改定を「クラウド配信型セキュリティ、SSE、AI時代のインフラ」の反映と説明していることは、この配分と符合します。
試験の基本情報
試験そのものの条件は、公式ページに次のとおり記載されています。
- 試験時間:120分
- 受験料:400 USD(Cisco Learning Credits でも可)
- 言語:英語・日本語
- 結果:通常48時間以内にオンラインで確認可能
- 出題形式:実技形式(performance-based)の問題、多肢選択、ドラッグ&ドロップ
合格すると Cisco Certified Specialist - Security Core を取得でき、CCNP Security と CCIE Security のコア試験要件を満たします。再認定にも使えます。日本語で受験できる点は、これまでどおりです。
教材の準備状況にも触れておきます。シスコは SCOR v2.0 のトレーニングを2026年9月に提供予定としています。つまり試験は始まっているのに、公式トレーニングは後追いです。SNCF の統合トレーニングと新しい SSCA 教材は、遅くとも2026年末までとされています。
今どう動くべきか——状況別の判断
やるべきことは、置かれている状況で3つに分かれます。
すでに v1.1 に合格している人は、何もしなくて構いません。コンセントレーション試験を1本受ければ CCNP Security が取れます。8月27日以降に受験しても組み合わせは有効です。急いで SCOR を受け直す理由はありません。
SCOR の学習を進めていた人は、教材の対応版を確認するところから始めてください。v1.1 準拠の問題集は、現行の出題トピックと一致しない可能性があります。公式の試験トピック PDF はシスコのサイトからダウンロードできるので、まず自分のメモと1分野ずつ突き合わせるのが確実です。公式トレーニングは9月提供のため、それまでは試験トピックを軸に独学で埋める形になります。
これから学習を始める人は、コンセントレーションの選択を先に決めるのが得策です。選択肢は4本。SVPN が消えた分、選び方の幅は狭まりました。シスコ公式の説明では、SNCF が Secure Firewall と管理センター、SISE が Identity Services Engine による認証・ゲストアクセス・BYOD、SSCA がゼロトラストと Duo・SSE・ZTNA・マイクロセグメンテーション、SDSI がセキュリティアーキテクチャ設計と、守備範囲が分かれています。実務で触っている製品に近いものを選ぶと、学習の持ち出しが少なくて済みます。
受験日をずらすべきかは、準備度合いで決まります。v1.1 の教材で仕上がっていた人ほど、まず現行トピックとの差分を確認する時間が要ります。一方、これから3か月かける人なら、最初から v2.0 で組み立てたほうが手戻りがありません。
なお、ネットワークの基礎に不安があるなら、先に CCNA 相当の内容を固めておくと遠回りになりません。CCNA 側も改定が予告されているため、CCNA改定の変更点といつから適用されるかを押さえておくと、学習計画を二度組み直さずに済みます。CCNA そのものの位置づけを確認したい場合は、CCNAの難易度・受験料・合格点もあわせてどうぞ。
よくある質問
SCOR v1.1 はもう受験できませんか
受験できません。2026年8月26日が最終受験日でした。8月27日以降に予約した SCOR は、すべて v2.0 での実施になります。
SVPN 300-730 に合格済みです。CCNP Security は取れますか
今回の公式発表では、SVPN に合格済みの人の扱いは明記されていません。シスコが示しているのは「バージョンの移行は、すでに合格した試験を無効にしない」という原則までで、廃止された試験の合格実績をコンセントレーション要件に充当できるかは別途確認が必要です。認定トラッキングシステムで自分の状態を確認するか、シスコに問い合わせるのが確実です。
SCAZT と SSCA は別の試験ですか
同じ試験です。300-740 の略称が SCAZT から SSCA へ変わりました。正式名称の「Designing and Implementing Secure Cloud Access for Users and Endpoints」は変わらず、バージョンは v2.0 です。
SCOR v2.0 の日本語受験はできますか
できます。シスコ公式の試験ページには、対応言語として英語と日本語が記載されています。
ESA と WSA はどうなりましたか
シスコは2026年8月26日を「現行版の最終受験日」とする告知のなかで SVPN と並べて ESA・WSA に言及していますが、廃止なのか新版への移行なのかは公式に明記されていません。2026年8月29日時点の公式 CCNP Security ページには、コンセントレーション試験として SNCF・SISE・SSCA・SDSI の4本のみが掲載されています。
まとめ
2026年8月27日の切り替えで動いたのは、コア試験の版とコンセントレーションの顔ぶれです。SCOR は v2.0 になり、Secure Service Edge が10%を占める6分野構成になりました。SVPN は廃止され、選択肢は4本に絞られています。一方で、SCOR v1.1 の合格実績は有効なままです。慌ててコア試験を受け直す必要はない、というのが今回の要点です。
やることは案外シンプルで、教材が v2.0 に対応しているかを確かめ、コンセントレーションを1本決める。それだけで学習計画は立て直せます。難しいのはその先で、改定後は「どの分野が手薄なのか」が自分では見えにくくなります。分野ごとの正答率が出る演習環境を用意しておくと、6分野のうちどこに時間を割くべきかを数字で判断できます。SkillStack はこうした分野別の弱点把握とスキマ時間の反復を無料で始められるので、土台づくりの一手として検討してみてください。
改定は、遅れて気づくと痛手になります。逆に、切り替わった直後に範囲を掴めた人は、教材が出そろう前に走り出せます。
参考サイト
- Cisco Blogs「Cisco Security Certification Updates: Your Questions Answered」(2026年8月27日)
- Cisco Learning Network「350-701 SCOR v2.0 Exam Topics」
- Cisco Learning Network「CCNP Security」
※ 本記事の情報は2026年8月29日時点の公式発表にもとづきます。試験制度は変更される場合があるため、受験前にシスコ公式サイトで最新情報をご確認ください。
