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ITパスポート新シラバス案|2027年度の出題範囲と変更点

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ITパスポート新シラバス案|2027年度の出題範囲と変更点

ITパスポートの新試験は、100問・120分のまま。変わるのは、その100問の中身です。2026年8月31日、IPAが2027年度からの新試験制度に向けたITパスポート試験のシラバス案(Ver.0.1)とサンプル問題を、同じ日に公表しました。分野の再編そのものは3月に示されていましたが、どの項目・どの用語まで問われるのかが見えない期間が、ここでようやく終わります。

案の段階で見えてきた変更は小さくありません。現行の「ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系」という3分野の枠組みが姿を消し、シラバス案では出題範囲が6大分類26中分類に組み替えられています。しかもアルゴリズム・プログラミングが案ではITパスポートの範囲外となり、AIを名前に冠した中分類が3つ並びました。

この記事を読み終えると、公表資料から確定的に読み取れることと、まだ発表されていないことの線引きができます。そのうえで「2026年度中に受けるか、新制度を待つか」を自分の状況で判断できるようになります。分類名と数字は、すべてIPAの公表資料から直接拾いました。

8月31日に公表されたのはシラバス案とサンプル問題の2点

IPAが8月31日に出したのは、ITパスポート試験のシラバス案 Ver.0.1 と、同試験のサンプル問題です。あわせてデータマネジメント試験(仮称)と情報処理安全確保支援士試験のシラバス案 Ver.0.1、およびプロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント/システム)試験(仮称)と情報処理安全確保支援士試験の科目Bサンプル問題も同日に公開されました。

それまで公開されていたシラバス案は、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)2区分の Ver.0.2 だけでした。3分野の再整理や7大分類30中分類という体系、区分ごとの対象範囲は2026年3月31日の公表資料で示されていましたが、受験者数が最も多いITパスポートについて小分類・用語例まで下りた資料が出たのは今回が初めてです。

準備中の区分も残っています。情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)と情報処理安全確保支援士試験の共通知識(科目A-1)、プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)の4つです。IPAは「準備が整ったものから順次掲載し、2026年度夏頃を目途に一通り掲載する予定」としています。

読むときに外せない前提が一つあります。公表資料の冒頭には「本資料の内容は公表時点の検討状況に基づくものであり、変更する可能性があります」と書かれています。バージョンも Ver.0.1。確定版ではありません。プロフェッショナルデジタルスキル試験のシラバス案が Ver.0.1 から Ver.0.2 へ更新された前例もあります。

問題は、この案をどう今の勉強に落とすかです。新制度の話は断片的に流れてくるのに、手元の参考書は現行シラバスのまま。何を優先して手をつければいいのか分からない——そこで足が止まる人は少なくありません。

シラバス案の出題範囲は6大分類26中分類

新制度のITパスポートも3分野という区切り自体は残る見込みです。ただし中身は入れ替わり、新しい3分野は「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」になります。情報処理技術者試験全体の共通枠組みは7大分類30中分類で、そのうちITパスポートのシラバス案に収録されているのは6大分類26中分類でした。

ITパスポート新シラバス案の分野・大分類構成図

大分類の並びは次のとおりです。

分野大分類ITパスポートのシラバス案での扱い
ビジネス1 ビジネス変革収録あり(中分類1〜7)
ビジネス2 データ・AIの利活用収録あり(中分類8〜10)
ビジネス3 組織活動収録あり(中分類11〜12)
テクノロジ4 デジタル技術収録あり(中分類13〜19)
テクノロジ5 システムの開発・運用記載なし(中分類20〜22)
セキュリティ・倫理6 セキュリティ中分類23〜25のみ収録(26は記載なし)
セキュリティ・倫理7 倫理・コンプライアンス収録あり(中分類27〜30)

現行の科目区分との対応は、単純な置き換えではありません。IPAが同時に公開している新旧対応表を見ると、新しい大分類1「ビジネス変革」には、現行ストラテジ系の経営戦略マネジメントやシステム戦略に加えて、現行マネジメント系のプロジェクトマネジメントとサービスマネジメントも流れ込んでいます。分野をまたいだ再整理です。

目を引くのが大分類2「データ・AIの利活用」です。データマネジメント、データ分析・データ利活用、AI利活用という3つの中分類が、経営戦略と並ぶ位置に置かれました。

もう一つ、現行にはない中分類が入りました。中分類7「マインド・スタンス」です。出題範囲改定案の表を見ると、この中分類に印が付いているのはITパスポートだけ。IPAはこれを「ITパスポート試験において知識と併せて出題するマインド・スタンス」と説明しています。知識の代わりではなく、知識と並べて問われる枠です。

案ではアルゴリズム・プログラミングが範囲外になる

今回のシラバス案で最も大きい変化は、大分類5「システムの開発・運用」がまるごと入っていないことです。この大分類には中分類20「システムライフサイクルプロセス」、21「開発・運用の方法論」、22「アルゴリズム・プログラミング」の3つがぶら下がっています。ITパスポートのシラバス案 Ver.0.1 には、この3つがいずれも登場しません。

出題範囲改定案の一覧表も同じことを示しています。ITパスポート・データマネジメント・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者の4区分を並べた表で、中分類20〜22に印が付いているのは基本情報技術者試験(科目A)の列だけ。しかも重点分野を示す二重丸です。ITパスポートの欄は3行とも空欄でした。

現行はどうか。IPAの試験内容ページによれば、現行ITパスポートのテクノロジ系には「アルゴリズムとプログラミング」が明記されています。新旧対応表でも、現行の中分類2「アルゴリズムとプログラミング」は新しい中分類22へ移されており、その中分類22がITパスポートには置かれていない、という関係になります。擬似言語やフローチャートに手こずった記憶がある人には、大きな話です。

同じくセキュリティ大分類の中分類26「セキュリティ実装技術・評価」も、印が付いているのは情報セキュリティマネジメントと基本情報技術者の2区分だけで、ITパスポートは対象外でした。

ただし、これはシラバス案 Ver.0.1 と改定案という2つの資料から読み取れる範囲の話です。案が更新される可能性は公式に留保されています。「アルゴリズムの勉強はもうしなくていい」と結論づけるのは、確定版を待ってからにしてください。

AIを冠した中分類が3つ並ぶ

一方で、AI関連の内容は1か所にまとまっていません。AIを名前に冠した中分類が、大分類の違う3か所に置かれています。

新シラバス案でAIを冠した中分類が3つ並ぶ図

1つ目は中分類10「AI利活用」。小分類は「AI利活用の原則及び指針」「識別AI利活用」「生成AI利活用」「AIエージェント利活用」の4つです。用語例には、マルチモーダルAI、ランダム性の制御、RAGによる知識連携、プロンプトエンジニアリング、AIエージェントの自律性と人間の関与、ガードレールといった言葉が並びます。

2つ目は中分類18「AI技術」。機械学習、ディープラーニング、生成AI技術の3本立てで、用語例は大規模言語モデル(LLM)、コンテキスト内学習(In-Context Learning)、トークン、検索拡張生成(RAG)まで踏み込んでいます。

3つ目が中分類27「情報倫理・AI倫理」です。説明可能なAI(XAI)、ヒューマンインザループ(HITL)、ハルシネーション、ディープフェイク、フロンティアAIによるリスクと脅威。誤情報・偽情報・悪意ある情報の3分類も用語例に載りました。

AI関連の用語はこの3つに閉じてもいません。中分類1「ビジネス変革の方法論」にはAIトランスフォーメーション(AX)とフロンティアAIの影響、中分類28「ビジネス関連法規」には人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI基本法)が入っています。法規側では情報流通プラットフォーム対処法、中小受託取引適正化法(取適法)も新顔です。

サンプル問題4問が見せた「新しい問われ方」

同時公表されたサンプル問題は4問だけです。IPAはこれを「新たな出題分野、出題形式のイメージを共有するために作成、公表するもの」と位置づけています。分野ごとの出題比率を示す資料ではないので、4問の内訳から配点を推し量ることはできません。それでも、問われ方の方向は読み取れます。

マインド・スタンス分野の問1は、DX推進チームで失敗を恐れて動けなくなったメンバーが、どう振る舞うべきかを選ばせる設問でした。正解は、失敗が許容される範囲の小さなサイクルで改善し、フィードバックを得て反復的に進める、という選択肢です。用語の暗記では届きません。

データマネジメント分野の問2は「データのサイロ化」の説明を選ぶ問題、問3は顧客データのメタデータを選ぶ問題。情報倫理・AI倫理分野の問4は、生成AIサービスを業務利用する際の留意点として、秘密保持契約への抵触、個人情報の第三者提供、出力情報の誤りの3つがすべて当てはまるかを問うものでした。

いずれも具体的な場面や例を示し、知識を当てはめて判断させる形式です。情報処理技術者試験の2027年度刷新が掲げる「データ及びデジタル技術を安全かつ効果的に活用する場面」が、設問のかたちで具体化されたと言えます。

いつから変わり、誰が何をすべきか

ITパスポートの新制度開始は2027年度春頃の予定です。情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験も同じ時期。データマネジメント試験やプロフェッショナルデジタルスキル試験、情報処理安全確保支援士試験は2027年度夏頃から秋頃の予定と公表されています。

試験の外形は現行を引き継ぎます。IPAが2026年3月31日に公表した検討状況によれば、新制度のITパスポートは試験時間120分・出題数100問。現行と同じ数字です。一方で合格基準と受験料は、確認できる公表資料に記載がありません。現行の合格基準は総合評価点600点以上かつ3分野それぞれ300点以上ですが、分野の区切り自体が変わる以上、そのまま引き継がれるかは分かりません。

2026年度の試験は現行シラバス Ver.6.5 で実施されます。今回の公表は、2026年度の受験内容には影響しません。

そのうえで、状況によって取るべき行動は変わります。

あなたの状況今回の公表の意味取るべき行動
2026年度中に受験する試験内容への影響はない現行シラバス Ver.6.5 のまま学習を続ける。制度変更を理由に予定を組み直す必要はない
2027年度春以降に受験を予定出題範囲が入れ替わる見込み確定版シラバスの公表を待つ。先に触れておくなら、案で新設・拡充が目立つAI利活用・データ・法規の3領域。ただし確定版で再確認する
すでに合格済み取得済み資格への影響は公表されていない対応は不要。上位区分の再編はプロフェッショナルデジタルスキル試験のシラバス案で確認できる
学校・企業で教材を用意する骨格は見えたが確定ではないVer.0.1 段階での全面差し替えは早い。ITパスポートの確定版または次版シラバスを待って本格改訂する

判断に迷ったときの手がかりは、新制度にまだ過去問が存在しないという事実です。現行制度なら過去問も対策教材も揃っています。学習が進んでいる人が、確定版すら出ていない試験を待つ理由は多くありません。

よくある質問

2026年度のITパスポート試験は、今回のシラバス案の影響を受けますか

受けません。今回公表されたのは2027年度春頃から始まる新試験制度に向けたシラバス案です。2026年度の試験は現行のシラバス Ver.6.5 に基づいて実施されます。

アルゴリズムの勉強はもうしなくていいのですか

2026年度に受験するなら必要です。現行シラバスには「アルゴリズムとプログラミング」が含まれています。2027年度以降については、シラバス案 Ver.0.1 と出題範囲改定案のいずれでもITパスポートの範囲外とされていますが、どちらも案の段階です。確定版の公表を待って判断してください。

新制度のITパスポートの試験時間や合格基準はどうなりますか

試験時間120分・出題数100問は、IPAが2026年3月31日に検討状況として公表しています。現行と同じ数字です。合格基準と受験料については、確認できる公表資料に記載がありません。

まだ公表されていない試験区分はありますか

あります。情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)と情報処理安全確保支援士試験の共通知識(科目A-1)、プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)の4区分が準備中です。IPAは2026年度夏頃を目途に一通り掲載する予定としています。

シラバス案はこの先も変わりますか

変わる可能性があります。公表資料には「本資料の内容は公表時点の検討状況に基づくものであり、変更する可能性があります」と明記されています。実際、プロフェッショナルデジタルスキル試験のシラバス案は Ver.0.1 から Ver.0.2 へ更新されました。

まとめ

2027年度春頃に始まる予定の新しいITパスポートは、検討状況では100問・120分を維持しつつ、出題範囲を再編する案になっています。ビジネス・テクノロジ・セキュリティ・倫理の3分野、6大分類26中分類。アルゴリズム・プログラミングは案の段階で範囲外となり、AIを名称に冠した中分類は利活用・技術・倫理の3つが並びました。ただし Ver.0.1 は検討案で、合格基準も受験料もまだ出ていません。確定を待つより、いま現行範囲で受け切れる人はそのまま進むほうが手数は少なくて済みます。今日できるのは、現行シラバスの範囲で弱い分野を洗い出しておくこと。SkillStackの分野別正答率は、テクノロジ系の取りこぼしを見つけて復習に回すのに使えます。

参考サイト

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