「ITパスポートって、半分は落ちる試験なの?」——受験を考え始めた人が最初に見るのが、この合格率です。2026年度(4〜8月度の累計)の合格率は49.3%。数字だけ見ると五分五分ですが、中身を分けると景色が変わります。社会人に限れば52.7%、学生は38.8%。同じ試験でも、誰が受けるかで通りやすさは大きく違います。
もう一つ、2026年は受験の「期限」がある年です。CBT方式のITパスポート試験は12月28日以降の実施が休止され、受けられるのは最長でも12月27日まで。会場によってはそれより前に終わります。2027年1月以降の実施について、IPAは2026年秋頃に案内するとしていますが、10月5日時点でまだ発表は出ていません。
読み終えるころには、試験の基本データに加えて、2段構えの合格基準を、過去問演習で使えるチェックラインに置き換えられるようになります。属性別の合格率から自分の立ち位置をつかみ、年内に受けるか新制度を待つかも、自分の状況で決められるはずです。
ITパスポートとは——100問・120分・受験料7,500円の国家試験
ITパスポート試験は、ITを使って仕事をするすべての社会人と、これから社会人になる人に向けた国家試験です。IPAが示す対象者像は、職業人とこれから職業人になる人のうち、ITに関する共通的な基礎知識をもち、担当業務にITを活用していこうとする人です。エンジニア専用の資格ではありません。営業、事務、企画の人が受ける試験です。
試験の外形は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 120分 |
| 出題数 | 100問(四肢択一式) |
| 出題分野 | ストラテジ系35問程度・マネジメント系20問程度・テクノロジ系45問程度 |
| 合格基準 | 総合評価点600点以上(1,000点満点)、かつ3分野それぞれ300点以上(各1,000点満点) |
| 採点方式 | IRT(項目応答理論)に基づいて評価点を算出 |
| 受験手数料 | 7,500円(消費税込み) |
| 実施方式 | CBT方式。全都道府県の会場で毎月実施 |
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験を問わない) |
| 出題範囲 | シラバスVer.6.5 |
出題は3分野。最も多いのはテクノロジ系の45問
問題は3つの分野から出ます。ストラテジ系は企業活動や法務、経営戦略。マネジメント系はプロジェクト管理やサービスマネジメント。テクノロジ系は基礎理論、ネットワーク、データベース、セキュリティなどです。
配分はストラテジ系35問程度、マネジメント系20問程度、テクノロジ系45問程度。半分近くがテクノロジ系です。IT以外の部署で働く人ほど、ここに用語の壁を感じます。
合格に有効期限はない
一度合格すれば、資格は失効しません。IPAのFAQは「その時点でその試験に合格する知識があることを認定する試験」と説明しており、更新手続きも更新料も不要です。
ここまでで試験の輪郭は見えました。ただ、多くの人が次に迷うのは「3分野・100問を、どこから手をつければいいのか」という地点です。特に年内受験を考えるなら、残りの日数から逆算した順番が要ります。
合格基準は「総合600点」と「分野別300点」の2段構え
ITパスポートは、総合点だけでは合格できません。総合評価点600点以上に加えて、ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系のすべてで300点以上が必要です。IPAのFAQも、総合が600点を超えていても、分野別のうち一つでも300点未満なら合格基準を満たさないと明記しています。
評価に使われるのは92問。残る8問は採点対象外
100問すべてが点数になるわけではありません。総合評価に使うのは92問で、分野別の内訳はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問です。残りの8問は、今後出題する問題を評価するために使われます。
どの8問が対象外なのかは、受験中には分かりません。見慣れない問題に出会っても、それが採点対象外の可能性もある。焦って時間を溶かさず、全問を同じ姿勢で解くのが正解です。
何問正解すれば受かる? 公式の換算はないので演習用の目安を持つ
評価点はIRT(項目応答理論)で算出され、単純な「正答数×配点」ではありません。600点が正答率60%を意味するわけでもなく、IPAは合格に必要な正答数を公表していません。つまり「何問で受かる」は、公式には誰にも言えない数字です。
それでも、過去問演習には手がかりが要ります。そこでSkillStack編集部では、基準点の「6割」「3割」を正答率に読み替えたラインを、演習で最低限越えたい目安として使うことをすすめています。公式の合格ラインではない点に注意してください。
| 基準 | 評価対象の問題数 | 演習での最低チェックライン(編集部の目安) |
|---|---|---|
| 総合(600点の基準を6割と読み替え) | 92問 | 約56問 |
| ストラテジ系(300点を3割と読み替え) | 32問 | 約10問 |
| マネジメント系(300点を3割と読み替え) | 18問 | 約6問 |
| テクノロジ系(300点を3割と読み替え) | 42問 | 約13問 |
この表で目を向けたいのは、マネジメント系の問題数の少なさです。評価対象は18問しかなく、2〜3問の取りこぼしで分野内の正答率が大きく動きます。苦手だからと捨てると、足切りに近づくうえ総合点の上積みも止まります。
もちろん、このラインぎりぎりで本番に臨むのは危険です。本番の点数は正答率どおりには出ないうえ、採点対象外の8問がどれかも分かりません。過去問ではこの目安に余裕を上乗せし、どの分野も3割ラインから大きく離れた状態を作っておくのが安全です。
合格率は49.3%(2026年度4〜8月)——属性別に見ると難易度の実像が見える
ITパスポートの合格率は、ここ5年ほど5割前後で推移しています。IPAの公表値から合格率(合格者数÷受験者数、小数第2位を四捨五入)を出すと、次のとおりです。
| 年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年度(2021年度) | 244,254人 | 211,145人 | 111,241人 | 52.7% |
| 令和4年度(2022年度) | 253,159人 | 231,526人 | 119,495人 | 51.6% |
| 令和5年度(2023年度) | 297,864人 | 265,040人 | 133,292人 | 50.3% |
| 令和6年度(2024年度) | 309,068人 | 273,905人 | 134,617人 | 49.1% |
| 令和7年度(2025年度) | 307,266人 | 271,352人 | 132,012人 | 48.6% |
| 令和8年度(4〜8月度累計) | 104,908人 | 92,634人 | 45,700人 | 49.3% |
応募者数は令和6年度・7年度と2年連続で30万人を超えました。受験者が増えても、合格率は48〜53%の幅に収まっています。合格率の推移から極端な変化は読み取れず、直近ではおおむね2人に1人が合格する試験です。
社会人52.7%、学生38.8%——同じ試験で14ポイントの差
全体の49.3%を属性で割ると、差がはっきり出ます。令和8年4〜8月度の累計で、社会人の合格率は52.7%、学生は38.8%でした。前年度(令和7年度)も社会人50.9%、学生41.0%で、傾向は同じです。
学生の内訳を見ると、大学院生62.6%、大学生46.4%に対し、専門学校生32.3%、高校生26.4%。受験者の多い高校生が、学生全体の数字を押し下げています。差の理由は統計からは特定できませんが、ストラテジ系の経営・法務は、働いた経験があると問題文の場面を思い浮かべやすい分野ではあります。
非IT系の社会人のほうが、IT系より合格率が高い
意外なのはこちらです。同じ累計で、社会人のうちIT系企業の受験者は51.5%、非IT系企業は53.0%でした。令和7年度もIT系48.9%、非IT系51.4%と、2年続けて非IT系が上回っています。
差は1.5〜2.5ポイントと小さく、理由までは統計から読み取れません。受験の動機や準備の度合いも影響しているはずです。それでも、IT企業に勤めているだけで合格率が上がるわけではないことは、2年分の数字が示しています。
難易度の結論——2人に1人が受かるが、足切りが落とし穴
直近では約2人に1人が合格しています。裏返せば、受験者の半分は不合格です。ここで思い出してほしいのが前章の足切りです。3分野のどれか一つが300点を下回れば、総合点が足りていても不合格になる。苦手分野を残したまま本番を迎えないことが、この試験の最大の備えです。
受験料と申込方法——2026年は「最長12月27日まで」が前提
受験手数料は7,500円(消費税込み)で、支払いはクレジットカードかコンビニで、購入済みの有効なバウチャーも使えます(バウチャーの新規購入は2026年7月31日から受付停止中)。申込はITパスポート試験の公式サイトで利用者IDを作り、会場・日時を選ぶ流れです。クレジットカードかバウチャーで払うなら、試験前日の正午まで申し込めます。
結果は試験当日のうちにWebサイトで確認でき、試験結果レポートは受験後1年間ダウンロードできます。ただし、画面に出た結果が基準を超えていても、その時点では合格ではありません。合格者は経済産業大臣が月ごとに決定し、受験番号が公式サイトに掲載されます。たとえば8月度の合格者は、9月28日に発表されました。
12月28日以降は休止。2027年1月以降の案内はまだ出ていない
IPAは、システムリプレースに伴い、2026年12月28日以降の試験実施を休止すると公表しています。最終開催日は12月27日ですが、会場によってはそれより前に終わります。9月28日以降の新規申込で選べるのは、申込日から12月27日までの試験日です。
再開については、IPAの案内は「2027年1月以降の試験実施については、2026年秋頃にウェブページでお知らせ」のままです。10月5日時点で、IPAのお知らせ一覧、試験区分ページ、ITパスポート試験の公式サイトのいずれにも、再開時期の発表は見当たりません。休止の詳しい経緯と申込ルールは、ITパスポート・基本情報のCBT休止と最終開催日で整理しています。
年内に受けるか、再開を待つか——状況別の判断表
今日(10月5日)から12月27日までは83日、約12週間です。この期間をどう使えるかで判断が分かれます。
| あなたの状況 | おすすめの動き方 |
|---|---|
| すでに学習を始めていて、過去問で6割前後取れる | 年内受験。先に会場の空席を押さえ、残り期間は弱い分野の補強に回す |
| これから始めるが、12週間で毎日学習時間を取れる | 年内受験を第一候補に。試験日を先に決め、3分野を逆算で割り振る |
| 年内は学習時間が取れない | IPAの再開案内を待つ。新制度で出題範囲が変わる見込みのため、確定版シラバスを確認してから本格的に始める |
| 会社や学校から年度内の取得を求められている | 現時点では年内受験が最も確実。年明け以降の実施時期は未発表のため、待つと期限に間に合わない恐れがある |
注意したいのは返金です。空席がなく受けられなかった場合でも、受験手数料は戻りません。年内に受けると決めたら、学習の進み具合より先に会場の予約を確認してください。
2027年度からの新制度で、ITパスポートはどう変わるか
新制度でもITパスポートは残り、試験時間120分・出題数100問という外形も維持される予定です。IPAが2026年3月31日に公表した検討状況では、新制度のITパスポートは2027年度春頃に始まる予定とされています。
変わるのは出題分野です。現行の「ストラテジ・マネジメント・テクノロジ」は、「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」の3分野に再編されます。IPAはDX推進に必要なマインド・スタンスやデータマネジメントの基礎を強化する方針を示しており、8月31日に公表されたシラバス案Ver.0.1では、データ・AI関連の項目が追加・再整理されました。一方、現行の「アルゴリズムとプログラミング」は案の出題範囲に含まれていません。いずれも変更の可能性がある案の段階です。変更点の詳細はITパスポート新シラバス案の出題範囲と変更点にまとめています。
新制度の合格基準と受験料は、10月5日時点で公表されていません。現行制度の試験は最長12月27日まで、シラバスVer.6.5の範囲で行われます。年内に受ける人は、新シラバス案を気にせず現行範囲に集中して問題ありません。
よくある質問
ITパスポートの勉強時間はどれくらい必要ですか
IPAは目安の学習時間を公表していません。必要な時間は、ITの用語にどれだけ触れてきたかで大きく変わります。まず過去問を1回分解いて分野別の得点を確かめると、自分に必要な量が見積もれます。
過去問は公式に公開されていますか
公開されています。ITパスポート試験の公式サイトに過去の試験問題が掲載されており、本番と同じ受験画面で解ける疑似体験用ソフトウェアも用意されています。過去問の利用に許諾や使用料は不要です。
不合格になったら、すぐに再受験できますか
受験回数に制限はありません。何度でも申し込めます。ただし2026年の受験は最長でも12月27日まで(会場によってはそれ以前)なので、年内に再挑戦するなら、1回目の受験日を早めに設定しておく必要があります。
試験当日に持っていくものは何ですか
確認票(または受験番号・利用者ID・確認コードの3点を控えたもの)と、顔写真付きの本人確認書類の原本です。受験番号と確認コードは不正防止のため、会場やコールセンターでは教えてもらえません。確認票は申込後すぐに印刷しておくと安心です。
まとめ
ITパスポートは、合格率5割前後、受験料7,500円、100問・120分の試験です。数字の上では手の届く試験ですが、2026年は最長でも12月27日という締切がつきました。年内に受けるなら、今週中に会場の空き状況を確認し、試験日を決めてしまうのが最初の一手です。そのうえで残り約12週間は、3分野のどこで点を落としているかを見ながら進めてください。SkillStackならITパスポートの過去問ベースの問題を全問無料で解けるので、受験料以外の出費を抑えたまま、本番までの演習量を積み上げられます。
参考サイト
- IPA「ITパスポート試験」(取得日: 2026年10月5日)
- ITパスポート試験「試験内容・出題範囲」(取得日: 2026年10月5日)
- ITパスポート試験「FAQ」(取得日: 2026年10月5日)
- ITパスポート試験「受験申込手順」(取得日: 2026年10月5日)
- IPA「スケジュール、手数料など」(取得日: 2026年10月5日)
- IPA「令和7年度『iパス(ITパスポート試験)』の年間応募者数等について」(取得日: 2026年10月5日)
- ITパスポート試験「試験結果〔令和8年8月度〕」(取得日: 2026年10月5日)
- ITパスポート試験「試験結果〔令和8年3月度〕」(取得日: 2026年10月5日)
- IPA「CBT方式で実施するITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験における2026年5月以降の試験実施について」(取得日: 2026年10月5日)
- IPA「新試験制度のシラバス案について」(取得日: 2026年10月5日)
- IPA「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」(取得日: 2026年10月5日)
