「Silver は取れた。でも OSS-DB Gold は、どれくらい難しくて、何を勉強すれば届くのか」——PostgreSQL の運用を任され始めた人ほど、この問いで手が止まります。結論から言うと、OSS-DB Gold は約30問の試験で、その半分は性能監視とチューニングの分野から出ます。SQL を書けるだけでは足りず、実行計画や稼働統計を読んで原因を特定する力が問われる試験です。
受験料は16,500円(税込)で、Silver と同額です。受験そのものに前提資格はなく、Silver より先に Gold を受けることもできます。ただし Gold に認定されるのは、有意な OSS-DB Silver を持っている場合だけです。
この記事は LPI-Japan の OSS-DB 公式サイトを一次情報として、2026年10月7日時点の内容を整理したものです。読み終えるころには、出題範囲のどこに準備時間を割くべきかを重要度の数字で判断できます。有意性の期限の扱いや、ORACLE MASTER Gold・データベーススペシャリストとの違いも確認できます。
OSS-DB Goldとは|PostgreSQLの性能と障害を任せられる技術者の認定
OSS-DB Gold は、LPI-Japan が提供する「オープンソースデータベース技術者認定資格」の上位レベルです。試験の開発・運営は一般社団法人 EDUCO が担っています。公式サイトは、大規模なデータベースシステムの改善・運用管理・コンサルティングができる技術者の認定と位置づけています。基準のデータベースには PostgreSQL が採用されています。
公式の試験概要が挙げる証明内容は、深い知識と高度な運用管理に加えて、統計情報と SQL の実行計画の確認、パフォーマンスチューニング、トラブルシューティングです。Silver が「基本的な運用管理と SQL 操作」を証明するのに対し、Gold は「状態を検証して、手を打てる」水準を求めます。
試験概要(Ver.3.0)
| 項目 | OSS-DB Gold |
|---|---|
| 認定名 / 試験名 | OSS-DB Gold / OSS-DB Exam Gold |
| 出題範囲のバージョン | Ver.3.0(2023年2月1日リリース) |
| 基準の PostgreSQL | PostgreSQL 12〜14 |
| 受験料 | 16,500円(税込)/1試験 |
| 出題数 | 約30問 |
| 出題形式 | CBT。試験概要ではマウスによる選択式がほとんどで、キーボード入力問題も多少出題されると案内。FAQ では回答形式を単一選択と複数選択(個数指定)と説明 |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、または自宅・職場からのオンライン受験(OnVUE) |
| 試験実施言語 | 日本語・英語 |
| 合否結果 | テストセンターは終了直後に画面表示。OnVUE は試験後に受験者マイページで確認 |
| 学習期間の目安(公式) | 半年〜1年程度(Silver 認定取得が前提) |
試験時間は、日本語版の試験概要ページには記載がありませんが、公式の英語版試験概要に「試験後の簡単なアンケートを含めて90分」とあります。約30問なので、1問あたり3分弱を使える計算です。合格ラインは公式に記載がないため、この記事では推測の数字は載せていません。予約の際にピアソンVUEの案内でも確かめてください。
出題範囲は「Ver.3.0」が現行、改訂の発表はまだない
現行の出題範囲は2023年2月1日にリリースされた Ver.3.0 です。基準の PostgreSQL は 12〜14 で、Gold では外部データ連携(FDW)が追加され、容量見積もり関連の項目が削除されました。旧 Ver.2.0 の配信は2024年1月31日で終わっています。
2026年10月7日時点で、LPI-Japan の公式サイトとプレスリリース一覧に、次のバージョンへの改訂の告知は見当たりません。一方で PostgreSQL 側は、12 と 13 のサポートがすでに終了し、14 も2026年11月12日にサポート終了を迎えます。範囲の基準と最新の PostgreSQL の差は広がっているため、受験前に公式の出題範囲ページを一度確認しておくと安心です。なお公式 FAQ によれば、OSS-DB はバージョン別の認定ではなく、問題が入れ替わっても認定名は同じです。
ここで多くの人がつまずくのが、「範囲は分かったが、30問しかない試験でどこから手をつければいいのか」という計画の部分です。次の章で、公式の重要度を使って優先順位を数字にします。
出題範囲は4分野|性能監視とチューニングで半分
OSS-DB Gold の出題は、運用管理30%・性能監視30%・パフォーマンスチューニング20%・障害対応20%の4分野です。性能監視とチューニングを合わせると50%。Silver が運用管理52%・開発/SQL 32%・一般知識16%だったのと比べると、重心がはっきり「性能」に移っています。
| 分野(配点比率) | 主題と重要度 | 主な内容 |
|---|---|---|
| G1 運用管理(30%) | G1.1 データベースサーバ構築【2】 G1.2 運用管理用コマンド全般【4】 G1.3 データベースの構造【2】 G1.4 レプリケーション運用【1】 | SSL・クライアント認証・監査ログ、排他/非排他バックアップと PITR、VACUUM・ANALYZE、プロセス構造、FDW、ストリーミング/ロジカルレプリケーション |
| G2 性能監視(30%) | G2.1 アクセス統計情報【3】 G2.2 テーブル/カラム統計情報【2】 G2.3 クエリ実行計画【3】 G2.4 その他の性能監視【1】 | pg_stat_activity・pg_locks・待機イベント、pg_stats と拡張統計、EXPLAIN ANALYZE の読み取り、pg_stat_statements・auto_explain |
| G3 パフォーマンスチューニング(20%) | G3.1 性能に関係するパラメータ【4】 G3.2 チューニングの実施【2】 | shared_buffers・work_mem・WAL とチェックポイント関連、パラメータの反映方法、Index Only Scan、部分インデックス、パーティショニング |
| G4 障害対応(20%) | G4.1 起こりうる障害のパターン【3】 G4.2 破損クラスタ復旧【2】 G4.3 レプリケーションの障害と復旧【1】 | タイムアウト系パラメータ、シグナルとプロセスへの影響、pg_resetwal・シングルユーザモード、周回エラーと VACUUM FREEZE、pg_rewind・pg_ctl promote |
重要度の合計は30、1ポイントがほぼ1問に相当(編集部試算)
公式の出題範囲には、主題ごとに1〜4の重要度が付いています。13主題の重要度を足すと、G1 が9、G2 が9、G3 が6、G4 が6で、合計30です。9/30=30%、6/30=20%となり、分野の配点比率とぴったり一致します。
出題数が約30問なので、重要度1ポイントがおおむね1問に相当すると読めます。これは公式の換算ではなく、編集部が数字の一致から立てた目安です。それでも優先順位を決める材料としては十分に使えます。
- 重要度4の2主題で約8問:G1.2 運用管理用コマンド全般と G3.1 性能に関係するパラメータ。全体の4分の1以上を占める最優先の範囲です。
- 重要度3の3主題で約9問:アクセス統計情報、クエリ実行計画、起こりうる障害のパターン。EXPLAIN の出力や pg_stat_activity の値を読ませる問題が中心です。
- 重要度1の3主題は約1問ずつ:レプリケーション運用、その他の性能監視、レプリケーションの障害と復旧。範囲は広くても、配分は小さめです。
レプリケーションは用語やパラメータの数が多く、勉強時間を吸い込みやすい範囲です。重要度を見ずに教材の章立て通りに進めると、約1問ずつの主題に何週間も使ってしまいかねません。
受験の条件と認定の条件は別|Silverより先に受けてもよい
OSS-DB Gold で最も誤解されやすいのが、前提資格の扱いです。Exam Gold の受験に前提条件はありません。一方、OSS-DB Gold に認定されるには、Exam Gold の合格に加えて「有意な OSS-DB Silver」の保有が必要です。
| 状況 | Exam Gold を受験できるか | OSS-DB Gold に認定されるか |
|---|---|---|
| Silver 未取得 | 受験できる | Silver を取得するまで認定されない |
| Silver が有意(ACTIVE) | 受験できる | Exam Gold 合格で認定される |
| Silver が INACTIVE(認定日から5年経過) | 受験できる | Exam Gold に合格しても認定されない。Exam Silver の再受験が必要 |
Silver の範囲や受験料はOSS-DB Silverとは|難易度と試験概要で整理しています。Gold を先に受ける選択肢はありますが、Gold の範囲は Silver の基本操作を前提に作られています。公式も学習期間の目安を「Silver の認定取得を前提」に示しているので、順番どおりに進むのが無理のない道です。
有効期限はない、ただし「有意性の期限」は5年
OSS-DB の認定に有効期限はありません。その代わりに「有意性の期限(再認定ポリシー)」があり、認定日から5年を過ぎると認定ステイタスが ACTIVE から INACTIVE に変わります。認定された事実そのものが取り消されるわけではありません。
Silver と Gold の両方を持つ人は、Gold の認定日から5年以内に Exam Gold で再認定を受ければ、Silver の有意性もあわせて延長されます。逆に、最初の認定または再認定から5年以内に再認定を受けないと、すべてのレベルが INACTIVE になり、ACTIVE に戻すにはすべての試験の再受験が必要です。
受験の申し込みと再受験
受験には EDUCO-ID が必要です。受験チケットを先に買う方法と、受験者マイページで予約と支払いをまとめて行う方法があります。受験チケットの有効期限は発行日から1年間で、期限を過ぎると予約できず、延長もできません。予約時には秘密保持契約への同意が求められます。
公式 FAQ によると、OSS-DB 技術者認定試験にリテークポリシー(再受験規定)はありません。認定条件を満たして OSS-DB Gold に認定されると、認定証と認定カードが受験後約3週間で届きます。2026年8月3日からは、有意な認定を持つすべての認定者が Credly のデジタルバッジの発行対象になりました。
OSS-DB Goldの難易度|30問で「読み取り」を問われる
OSS-DB Gold は、Silver より明確に一段難しい試験です。合格率は公表されていませんが、公式の情報から難しさの性質は読み取れます。公式 FAQ は、Silver と Gold の線引きを「コマンドの機能や使い方を知っているか」と「コマンドの実行結果から何が読み取れるか」の違いとして説明しています。
| 比較項目 | OSS-DB Silver | OSS-DB Gold |
|---|---|---|
| 出題数 | 約50問 | 約30問 |
| 受験料(税込) | 16,500円 | 16,500円 |
| 分野の配点 | 一般知識16%・運用管理52%・開発/SQL 32% | 運用管理30%・性能監視30%・チューニング20%・障害対応20% |
| 学習期間の目安(公式) | 3か月〜半年程度 | 半年〜1年程度(Silver 取得が前提) |
| 問われ方 | 機能・目的・使い方を知っているか | 実行結果や統計から状態を読み取り、手を打てるか |
| OS 依存の問題 | 出題されない | トラブルシューティング等で出る可能性あり(Linux 前提) |
難しさの正体は、次の3つの場面に集約できます。
- EXPLAIN ANALYZE の出力を読む:Nested Loop・Hash・Merge のどの結合が選ばれ、推定行数と実際の行数がどれだけずれているか。出力の数字から原因を選ばせます。
- パラメータの「反映方法」まで覚える:shared_buffers を変えたら再起動が必要か、リロードで済むか。値の意味だけでなく、有効化に必要な操作が範囲に明記されています。
- エラーメッセージから復旧手順を選ぶ:WAL の破損、システムテーブルのインデックス破損、トランザクション ID の周回。普段の運用では出会わない障害が並びます。
問題数が約30問と少ないことも、難しさに効いてきます。Silver の約50問と比べると1問が全体に占める割合が大きく、苦手な主題を残したまま受けると、その影響が点数に出やすくなります。具体的な勉強の進め方はOSS-DB Gold勉強法|合格ロードマップで詳しく解説しています。
ORACLE MASTER Gold・データベーススペシャリストとの違い
| 資格 | 対象 | 問われる力 | 受験料 |
|---|---|---|---|
| OSS-DB Gold | PostgreSQL(Ver.3.0 は 12〜14 基準) | 性能監視・チューニング・障害対応の実践 | 16,500円(税込) |
| ORACLE MASTER Gold DBA 2019 | Oracle Database 19c | バックアップ・リカバリ、マルチテナント | 48,593円(税込) |
| ORACLE MASTER Gold DBA Oracle AI Database 26ai | Oracle AI Database 26ai | 性能管理、バックアップ・リカバリ、マルチテナント | 48,593円(税込) |
| データベーススペシャリスト試験 | 特定製品に依存しない(IPA の国家試験) | データベースの汎用的な知識と理論、設計 | IPA の案内を参照 |
OSS-DB の公式 FAQ は、データベーススペシャリストを汎用的な知識や理論を問う試験とし、OSS-DB を運用管理やトラブルシューティングの実践スキルを問う試験と説明しています。設計の理論を固めたいならデータベーススペシャリスト試験の難易度、PostgreSQL の現場運用を証明したいなら OSS-DB Gold という選び分けになります。公式サイトによると、Gold は ITSS のキャリアフレームワークで3分野のレベル3に位置づけられています。
よくある質問
OSS-DB Gold に合格すると、どの PostgreSQL のバージョンの知識を持つことになりますか?
現行の Ver.3.0 は PostgreSQL 12〜14 を基準にしています。PostgreSQL 15 では排他バックアップモードが削除され、pg_start_backup() は pg_backup_start() に改名されました。最新版で運用している人は、範囲に載る機能名と手元の環境の違いに注意してください。
英語で受験した場合も OSS-DB Gold に認定されますか?
試験実施言語は日本語と英語の2つで、どちらも同じ OSS-DB Exam Gold です。認定の条件は言語ではなく、Exam Gold の合格と有意な OSS-DB Silver の保有です。
会社でまとめて受験チケットを買うと割引はありますか?
受験チケットの一括購入には割引制度があります。公式 FAQ によると、50枚以上100枚未満で5%、100枚以上で10%の割引です。法人向けの申し込み窓口も公式サイトに用意されています。
無料で使える公式の学習素材はありますか?
公式サイトでは、Gold の分野ごとの例題解説、PostgreSQL の新機能などを扱うコラム「OSS-DB道場」、無料の技術解説セミナーが案内されています。無償公開の「オープンソースデータベース標準教科書」は Silver の学習に役立つ基礎教材で、公式も出題範囲のすべてを網羅するものではないと注記しています。
まとめ
OSS-DB Gold は、PostgreSQL の状態を数字で読み、性能と障害に手を打てるかを約30問で確かめる試験です。範囲が広く見えても、重要度4の2主題と重要度3の3主題だけで、重要度の合計30のうち17を占めます。まずは公式の出題範囲を開き、13主題の重要度の横に「説明できる」「あいまい」「知らない」の印を付けてみてください。印を付け終えたら、SkillStack で無料公開している Ver.3.0 対応の練習問題集①の30問を解き、分野別の正答率と自分の印がどれだけ一致するかを確かめると、最初に手をつける主題が決まります。
参考サイト
- LPI-Japan「OSS-DB Gold(English)」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB Goldのご紹介」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB 試験概要」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB Silverのご紹介」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB 技術者認定試験 Ver.2.0とVer.3.0の比較」(PDF)(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「有意性の期限(再認定ポリシー)」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB よくある質問」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB 受験のお申込み」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB 資格取得のメリット」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB Exam Overview(English)」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB 受験チケット(バウチャー)一括購入」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「オープンソースデータベース標準教科書」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「プレスリリース一覧」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「デジタルバッジ」(取得日: 2026年10月7日)
- PostgreSQL Global Development Group「Versioning Policy」(取得日: 2026年10月7日)
- PostgreSQL「Release 15」(取得日: 2026年10月7日)
- Oracle University Japan「Oracle AI Database 26ai Administration Professional (1Z0-183-JPN) 試験」(取得日: 2026年10月7日)
- Oracle University Japan「新着ニュース・お知らせ」(受験料の価格改定)(取得日: 2026年10月7日)
