「SQLは毎日書いている。でも、それを証明できる資格はあるのか」——その候補になるのが、データベースの設計・運用の専門知識を認定する国家試験、データベーススペシャリスト試験(DB)です。令和7年度の合格率は18.4%。受験した9,769人のうち、合格者は1,796人でした。
同じ年のプロジェクトマネージャ試験(14.3%)より4.1ポイント高く、しかも最終科目に論述がありません。一方で、IPAは現行の試験制度を2026年度の実施をもって終了する予定と公表しており、DBは2027年2〜3月の後期試験が今の形で受けられる最後の回になる見込みです。この記事を読めば、試験の中身と難しさ、CBTでの解答方法、そして最後の回に挑むかどうかを判断する材料がそろいます。
データベーススペシャリスト試験とは——データ設計の専門家を認定する国家試験
データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の「高度試験」に属する国家試験です。業務の要件からデータベースを設計し、構築・運用までを担う専門家としての力を問います。中心にあるのは、業務を読み解いてデータモデルに落とす力と、SQLや性能、障害対策の知識です。
受験資格の制限はなく、誰でも受けられます。出題範囲は、SQLを書く実務者だけでなく、アプリケーション開発者やデータエンジニアの仕事とも重なります。
応用情報との違いは、科目B群の3時間30分がすべてデータベース
応用情報技術者試験でもデータベースは出題されますが、科目Bでは11問のうち情報セキュリティの1問が必須で、残り10問から4問を選ぶ中の1分野にすぎません。DBでは科目B-1・B-2の合計3時間30分がすべてデータベースの事例問題です。正規化やE-R図、SQLを、何ページにもわたる業務の説明と照らし合わせながら解きます。
| 比較項目 | 応用情報技術者 | データベーススペシャリスト |
|---|---|---|
| 区分 | レベル3 | レベル4(高度試験) |
| データベースの比重 | 科目Bの選択問題の1分野 | 科目B-1・B-2のすべて |
| 最終科目の形式 | 記述式 | 記述式(論述式はなし) |
| 令和7年度の合格率 | — | 18.4% |
| 受験手数料 | 7,500円 | 7,500円 |
受験手数料は7,500円(消費税込み)です。応用情報に合格すると、その後2年間はDBの科目A-1の免除を申請できます。
ただ、いざ過去問を開くと、まず問題文の長さに驚くはずです。業務説明だけで数ページ。どこから手をつけ、何を重点的に練習すればいいのか見えないまま、最初の数週間が過ぎてしまうこともあります。
合格率は18.4%——PMより高くても、約8割が不合格
DBの合格率は、ここ3年で17〜18%台です。IPAが公表した令和5〜7年度の秋期試験の結果は次のとおりです。
| 年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度秋期 | 14,416人 | 9,769人 | 1,796人 | 18.4% |
| 令和6年度秋期 | 14,549人 | 10,120人 | 1,744人 | 17.2% |
| 令和5年度秋期 | 13,121人 | 8,980人 | 1,664人 | 18.5% |
同じ年のプロジェクトマネージャ試験は14.3%なので、DBのほうが4ポイントほど高い水準です。とはいえ受験者の5人に4人以上は不合格。しかも令和7年度は14,416人が申し込み、実際に受験したのは9,769人でした。申し込んだ人の約3割が、当日の試験を受けていません。
合格者の平均年齢は、受験者全体より4.3歳低い
IPAの平均年齢の統計を見ると、DBには目立つ特徴があります。令和7年度秋期の受験者の平均は35.6歳、合格者の平均は31.3歳。4歳以上の差です。令和6年度も受験者35.3歳・合格者30.9歳と、同じ傾向が続いています。
この統計だけでは、実務経験の長さと合否の関係までは判断できません。ただ平均値で見る限り、年長の受験者ほど合格しやすいという傾向は表れていません。DBの事例問題は、問題文に書かれた業務ルールを読み取り、データモデルやSQLに落とす力を問う形式です。
科目構成——最後まで論述がない数少ない高度試験
令和8年度からはCBT方式になり、科目の呼び名が変わりました。IPAは出題範囲・出題形式・出題数・試験時間はいずれも変わらないとしています。DBの構成は次のとおりです。
| 科目(旧名称) | 時間 | 出題形式 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 科目A-1(午前Ⅰ) | 50分 | 多肢選択式 30問(高度共通) | 60点以上 |
| 科目A-2(午前Ⅱ) | 40分 | 多肢選択式 25問 | 60点以上 |
| 科目B-1(午後Ⅰ) | 90分 | 記述式 3問中2問 | 60点以上 |
| 科目B-2(午後Ⅱ) | 120分 | 記述式 2問中1問 | 60点以上 |
高度試験8区分のうち、科目B-2が論述式ではなく記述式なのはDBとネットワークスペシャリストの2つだけです。自分の経験を2時間かけて文章にする論述がないので、対策は過去問の演習に集中できます。論述式の評価ランクではなく、各科目の得点で到達度を確認できるのも利点です。
ただし科目A-1の免除を使わない場合、4科目すべてで60点以上が必要です。しかも多段階で選抜され、科目A-1か科目A-2が基準点に届かなければ科目B-1・B-2は採点されず、科目B-1が届かなければ科目B-2は採点されません。
2027年2〜3月の後期日程と、科目A群・B群の別日受験
DBは後期のみの実施です。科目A群と科目B群は別の日に受けます。
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 申込受付 | 2027年1月27日〜2月27日 |
| 科目A群(A-1・A-2) | 2027年2月20日〜3月2日 |
| 科目B群(B-1・B-2) | 2027年3月16日〜3月28日 |
| 合格発表 | 2027年6月頃(予定) |
期間内で受験日を自分で選ぶので、科目A群と科目B群の間隔は日程上、最短14日から最長36日です。実際に選べる日時は会場の空き状況によります。CBT化の仕組み全体は、応用情報・高度試験のCBT化と別日受験の仕組みにまとめています。
CBTでの解答方法——前期向けの操作説明に作図機能の記載はない
CBTでは、記述式の解答もキーボードで入力します。CBT-Solutionsが2026年10月1日に公開した論述式なしの区分向けの操作説明(前期の応用情報・ネットワークスペシャリスト・支援士が対象)では、解答方法として次の5種類が挙がっています。
- 選択ボタン(1つを選ぶ)
- 複数選択
- プルダウン
- 1行解答欄(字数や英数字の入力制限がある場合あり)
- 複数行解答欄(入力文字数と上限文字数を右下に表示)
ここで気になるのが、DBの午後で定番だった「図を完成させよ」という設問です。これまでは、E-R図にエンティティ間の関連の線を描き込んで答える問題が出題されてきました。この前期3区分向けの操作説明には、画面上に線や図を描く機能の記載がありません。後期のDB向けの仕様は2026年10月6日時点で公表されておらず、こうした設問がCBTでどんな形式で問われるのかも分かっていません。DB向けの操作説明が出たら、まず確認すべき点です。
2027年度の再編で、現行のDBは「最後の回」になる見込み
IPAは2026年3月31日に試験制度の見直し案を公表し、現行の試験制度を2026年度の試験実施をもって終了する予定だとしました。2027年度の夏〜秋頃からは、応用情報と高度試験を再編した「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」が、マネジメント・データ・AI・システムの3領域で始まる計画です。
データ・AI領域の案には、データのモデリング結果を踏まえてデータ基盤やデータパイプラインを設計・運用するデータエンジニアリングや、データ品質を組織的に管理するデータマネジメントが分野として挙がっています。DBの出題内容と重なる分野がある一方、統計学やAIを使ったデータ分析も同じ領域に含まれる案で、範囲は現行のDBより広がる可能性があります。データ・AI領域の詳細なシラバスは、2026年10月6日時点で準備中です。
| あなたの状況 | 考え方 |
|---|---|
| 正規化・SQL・E-R図を業務で扱っている | 2027年2〜3月の後期が現行のDBで受けられる最後の回の見込み。データ設計に絞った今の範囲で受けたいなら、ここが選択肢になる |
| 2年以内に応用情報に合格している | 申込時に申請すれば科目A-1の免除を使える。期限を申込前に確認 |
| データ分析やAIの領域にも関心がある | 新試験のデータ・AI領域のシラバス案の公表を待って比較する選択肢もある |
| すでにDBに合格している | 情報処理技術者試験の合格に有効期限はなく、再編後も合格の事実は残る |
2027年度の刷新の全体像は、情報処理技術者試験の2027年度大刷新まとめで整理しています。
よくある質問
データベーススペシャリスト試験は実務経験がなくても合格できますか
受験資格の制限はなく、実務経験がなくても受けられます。論述式がないため、経験を文章にする必要もありません。ただし事例問題は、業務ルールをデータモデルやSQLに落とす力を問うので、正規化やE-R図の理論を手を動かして身につけておく必要があります。
SQLはどのくらいのレベルが必要ですか
SELECT文の結合やグループ化、副問合せを読み書きできることが前提です。午後の事例では、問題文の業務ルールに合わせてSQLの空欄を埋める設問が出ます。特定のデータベース製品の独自機能ではなく、標準的なSQLの知識が問われます。
DBとネットワークスペシャリストはどちらが難しいですか
実施時期が違い、問う専門分野もまったく異なるため、合格率だけで難しさを比べるのは適切ではありません。共通しているのは、高度試験の中でこの2区分だけ最終科目が記述式で、論述がない点です。令和8年度は、ネットワークスペシャリストが前期、DBが後期に実施されます。
合格したら資格の更新は必要ですか
必要ありません。情報処理技術者試験の合格に有効期限はなく、経済産業大臣名の合格証書が交付されます。
まとめ
データベーススペシャリスト試験は、合格率18%前後、論述がなく、4科目すべてを点数で突破する試験です。そして2027年2〜3月の後期は、今の形で受けられる最後の回になる見込みです。2026年10月6日時点で、科目A群の初日まで約20週です。まずは科目A-2の過去問を1回分解いてみて、今の自分が何割取れるかを確かめるのが最初の一歩です。SkillStackには令和2〜7年度のDBの過去問が午前から午後まで入っていて、令和7年度分は無料で解けるので、論述のない4科目それぞれの現在地を数字で確かめられます。
参考サイト
- IPA|令和7年度秋期情報処理技術者試験(応用情報技術者試験、高度試験)及び情報処理安全確保支援士試験の合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|令和6年度秋期 合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|令和5年度秋期 合格発表について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|統計情報 平均年齢(PDF・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|スケジュール、手数料など(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|試験要綱・シラバスについて(試験要綱 Ver.5.6・取得日: 2026年10月6日)
- IPA|情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(取得日: 2026年10月6日)
- IPA|新試験制度のシラバスについて(取得日: 2026年10月6日)
- CBT-Solutions|令和8年度 前期試験 応用情報技術者試験及び高度試験(SC含む)(取得日: 2026年10月6日)
