「PostgreSQL を使う案件に入ることになった。資格を取るならOSS-DB Silverらしいけれど、どのくらい難しいのか」——OSS-DB Silver を調べ始めた人の多くが、まずこの疑問で手を止めます。結論から言うと、前提資格はなく、独学で狙える試験です。他の RDBMS を使った経験があれば、公式 FAQ の目安は2週間程度。約50問の出題構成は、半分強が運用管理、3割強が開発/SQL です。
ただし、公式サイトには合格ラインも合格率も載っていません。そこで編集部は、公式の出題範囲に並ぶ「重要度」の数字を集計しました。足し合わせるとちょうど50になり、どこに力を入れるべきかが数字で見えてきます。
読み終えるころには、受験料や受験方法といった基本情報に加え、出題範囲のどこが重いのか、最新の PostgreSQL で練習するとどこでずれるのかが分かります。Gold や ORACLE MASTER と比べてどちらを先に受けるべきかも、自分で判断できるようになります。
OSS-DB Silverとは|PostgreSQLの運用とSQLを証明するLPI-Japanの資格
OSS-DB Silver は、LPI-Japan が運営する「OSS-DB技術者認定資格」の入門レベルです。試験の開発・運営は一般社団法人エデュコが担い、認定証もエデュコが発行します。オープンソースデータベースの技術力を中立的な立場で認定する試験で、基準のデータベースには PostgreSQL が採用されています。試験名は「OSS-DB Exam Silver」で、合格すると OSS-DB Silver に認定されます。
公式サイトは、Silver で証明できるスキルを次の3つにまとめています。
- オープンソースデータベースに関する基礎的な知識がある
- PostgreSQL などの基本的な運用管理ができる
- PostgreSQL などの上で、SQL操作やトランザクション管理ができる
上位には OSS-DB Gold があり、こちらは性能監視やパフォーマンスチューニング、障害対応まで問われます。OS固有の動作について、公式 FAQ は「Silver では OS 依存の問題は出題されない」と答えています。Linux の操作に自信がなくても受けられる設計です。
ここで迷いやすいのが、何から手をつけるかです。出題範囲には initdb、pg_hba.conf、PITR、PL/pgSQL と、初めて見る用語が一度に並びます。全体の重さが分からないまま教材の1ページ目から読み始めると、試験日までに後半の SQL へたどり着けないおそれがあります。
試験概要|約50問・16,500円、合格ラインは非公表
受験料は1回16,500円(税込)、出題数は約50問です。前提資格や実務経験の条件はなく、誰でも受験できます。2026年10月7日時点で、公式サイトに掲載されている内容を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定名・試験名 | OSS-DB Silver / OSS-DB Exam Silver |
| 出題範囲のバージョン | Ver.3.0(2023年2月1日リリース) |
| 基準とする PostgreSQL | PostgreSQL 12〜14 |
| 受験料 | 16,500円(税込)/1試験 |
| 出題数 | 約50問 |
| 試験時間 | 90分(試験後の簡単なアンケートを含む。公式の英語版試験概要による) |
| 出題形式 | CBT。試験概要ページは「マウスによる選択がほとんどで、キーボード入力問題も多少出題」と案内(FAQ は単一選択と個数指定の複数選択のみと回答) |
| 合格ライン・合格率 | 公式の試験概要ページに記載なし |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、または自宅・職場からのオンライン受験(OnVUE) |
| 受験の条件 | 実務経験・前提資格なし |
| 試験実施言語 | 日本語・英語 |
| 結果の確認 | テストセンターは終了直後に画面表示。OnVUE は受験者マイページで確認 |
申し込みの前に、LPI-Japan の受験者IDである「EDUCO-ID」を取得しておきます。受験チケットを先に買う方法と、受験者マイページで予約と支払いをまとめて済ませる方法があり、チケットは購入から1年以内に受験日を設定すれば使えます。予約時には秘密保持契約への同意が必要です。
オンライン受験については、ピアソンVUEの OSS-DB ページが、一部の macOS 端末で正常に受験できない事象を告知し、Windows 端末かテストセンターでの受験を勧めています。予約前に、使う端末でシステムチェックを済ませてください。
試験時間は90分、1問あたり約1分半
試験時間は、公式の英語版試験概要に「試験後の簡単なアンケートを含めて90分」とあります。日本語版の試験概要ページには記載がないため、予約画面でも確かめてください。90分を約50問で割ると1問あたり約108秒で、アンケートの分を差し引くと90秒前後が目安になります。
出題範囲と重要度|10項目の重要度を足すとちょうど50
出題範囲は「一般知識16%・運用管理52%・開発/SQL 32%」の3分野で、10の項目に分かれています。各項目には「重要度」という数字が付いていて、最も重いのは「S3.1 SQLコマンド」の13です。
| 分野 | 項目 | 重要度 |
|---|---|---|
| S1 一般知識(16%) | S1.1 OSS-DBの一般的特徴 | 4 |
| S1 一般知識(16%) | S1.2 リレーショナルデータベースに関する一般知識 | 4 |
| S2 運用管理(52%) | S2.1 インストール方法 | 2 |
| S2 運用管理(52%) | S2.2 標準付属ツールの使い方 | 5 |
| S2 運用管理(52%) | S2.3 設定ファイル | 5 |
| S2 運用管理(52%) | S2.4 バックアップ方法 | 7 |
| S2 運用管理(52%) | S2.5 基本的な運用管理作業 | 7 |
| S3 開発/SQL(32%) | S3.1 SQLコマンド | 13 |
| S3 開発/SQL(32%) | S3.2 組み込み関数 | 2 |
| S3 開発/SQL(32%) | S3.3 トランザクションの概念 | 1 |
重要度の合計と出題構成の割合が一致する
編集部が重要度を分野ごとに足すと、一般知識が8、運用管理が26、開発/SQL が16で、合計は50でした。これを50で割ると16%・52%・32%となり、公式の出題構成の割合とぴったり一致します。出題数も約50問です。
公式は「重要度1が1問」とは明言していません。それでも、重要度を出題の重みの目安として読むのは理にかなっています。SQLコマンドの13、バックアップと基本的な運用管理作業の各7。この3項目で27になり、範囲全体の半分を超えます。
Ver.3.0で加わった論点
LPI-Japan の改定資料によると、Ver.3.0 の Silver では JSON・JSONB や JSON PATH といった非構造化データの扱い、ストリーミングレプリケーションとロジカルレプリケーションの基本が加わりました。バックアップでは非排他的低レベルバックアップや recovery.signal が入り、recovery.conf は範囲から外れています。古い版の教材にはこれらが載っていないため、表紙の「Ver.3.0対応」を確かめてから選んでください。
Ver.3.0の基準はPostgreSQL 12〜14|最新版で学ぶときの落とし穴
Ver.3.0 は PostgreSQL 12〜14 を基準にしています。一方、PostgreSQL の開発元が公開するサポート表では、12と13はすでにサポートが終わり、14も2026年11月12日に終了予定です。2026年10月7日時点の最新は18で、19はベータ版の段階にあります。
| バージョン | 初回リリース | サポート終了 | Ver.3.0の基準か |
|---|---|---|---|
| 12 | 2019年10月3日 | 2024年11月21日 | ○ |
| 13 | 2020年9月24日 | 2025年11月13日 | ○ |
| 14 | 2021年9月30日 | 2026年11月12日 | ○ |
| 15 | 2022年10月13日 | 2027年11月11日 | — |
| 16 | 2023年9月14日 | 2028年11月9日 | — |
| 17 | 2024年9月26日 | 2029年11月8日 | — |
| 18 | 2025年9月25日 | 2030年11月14日 | — |
差が出やすいのはバックアップです。出題範囲には pg_start_backup() と pg_stop_backup() が載っていますが、PostgreSQL 15 で排他的バックアップモードが廃止され、この2つの関数は pg_backup_start() と pg_backup_stop() に名前が変わりました。最新版だけで練習すると、試験に出る旧関数名に触れる機会がほとんどありません。
練習環境は PostgreSQL 14 を使うか、最新版を使うなら版による違いを意識しながら進めると安全です。なお、公式 FAQ によれば OSS-DB はバージョン別の認定ではなく、基準のバージョンアップに合わせて問題を入れ替えても認定名は変わりません。2026年10月7日時点で、公式サイトの試験概要は Ver.3.0 を掲載しており、新しい版の告知は確認できませんでした。受験前に公式サイトのお知らせを確かめてください。
OSS-DB Silverの難易度|経験別の目安と他資格との位置づけ
合格率は公表されていません。学習期間の公式の目安は2つあり、幅があります。試験概要ページは「3か月〜半年程度」、FAQ は「他の RDBMS の経験者なら2週間程度、未経験なら SQL から学ぶので1ヶ月程度」です。SQL を書けても運用経験がなければ、運用管理の52%に追加の時間が要ると考えてください。
| あなたの経験 | 難しさの目安(編集部) |
|---|---|
| Oracle Database など他の RDBMS を運用している | SQL はほぼ通じる。pg_hba.conf や VACUUM など PostgreSQL 固有の運用を埋めれば届く |
| アプリ開発で SQL を書いている | 開発/SQL は得点源。運用管理の52%が山場で、バックアップとツールのコマンドに時間を割く |
| データベース自体が初めて | SELECT文から学ぶ必要がある。正規化など一般知識は応用情報技術者レベルと公式 FAQ は説明 |
Gold・ORACLE MASTER・DBスペシャリストとの違い
| 資格 | 対象 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| OSS-DB Silver | PostgreSQL の基本的な運用管理と SQL | 約50問・16,500円(税込)。前提資格なし |
| OSS-DB Gold | PostgreSQL の高度な運用管理・性能監視・チューニング・障害対応 | 約30問・16,500円(税込)。認定には有意な Silver が必要 |
| ORACLE MASTER Silver DBA | Oracle Database の日常的な運用管理 | 2019版は72問・合格ライン60%・48,593円(税込) |
| データベーススペシャリスト | 製品に依存しないデータベースの設計・理論 | IPA の国家試験 |
公式 FAQ は、データベーススペシャリスト試験を汎用的な知識や理論を問う試験、OSS-DB を運用管理など実際にデータベースを扱うスキルを問う試験と位置づけています。設計の専門性を示すならデータベーススペシャリスト試験、製品の運用力を示すなら OSS-DB や ORACLE MASTER と考えると整理しやすくなります。受験料は OSS-DB Silver が ORACLE MASTER Silver DBA の3分の1ほどで、Oracle 側の詳細はORACLE MASTER Silverとはで解説しています。
公式サイトによれば、スキル標準ユーザー協会の「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」では、OSS-DB Silver がレベル2、Gold がレベル3に位置づけられています。
認定後のルール|有効期限はないが「有意性の期限」は5年
OSS-DB の認定に有効期限はありません。ただし「有意性の期限」という再認定ポリシーがあり、その期間は認定日から5年です。期限を過ぎても認定された事実は消えませんが、受験者マイページの認定ステイタスが「ACTIVE」から「INACTIVE」に変わります。
- ACTIVE を保つ方法:認定日から5年以内に、同じレベルの認定を取り直すか、上位の Gold を取得する
- Silver と Gold の両方を持つ場合:Gold の再認定を受ければ、Silver の有意性もあわせて延長される
- Gold との関係:Gold の試験は Silver より先に受けられるが、有意な Silver 認定がなければ Gold には認定されない
再受験の規定(リテイクポリシー)はありません。ピアソンVUEの案内では、不合格でも当日から再受験できます。ただし受験料は毎回16,500円かかるので、範囲を一巡してから申し込むほうが結果的に安く済みます。認定証と認定カードは、受験後およそ3週間で届きます。
具体的な学習の順番や時間配分はOSS-DB Silverの勉強法で、上位資格はOSS-DB Goldとはで紹介しています。
よくある質問
OSS-DB Silver は独学で合格できますか?
独学で合格を目指せます。前提資格はなく、出題範囲と例題解説は公式サイトで公開されています。LPI-Japan が無償で公開している「オープンソースデータベース標準教科書」も Silver の学習に役立つと案内されていますが、範囲のすべてを網羅してはいないため、Ver.3.0 対応の認定教材と組み合わせます。
Linux の知識は必要ですか?
深い知識は不要です。公式 FAQ によれば、問題文でコマンドプロンプトを「$」、ディレクトリの区切りを「/」とするなど Linux に基づく表記は使われますが、Silver では OS 依存の問題は出題されません。コマンドを打つ画面の雰囲気に慣れておく程度で足ります。
受験料の割引はありますか?
個人向けの恒常的な割引は公式サイトに見当たりません。受験チケットを一括購入する場合は、50枚以上100枚未満で5%、100枚以上で10%の割引があります。会社でまとめて受験する場合に使える制度です。
英語で受験できますか?
受験できます。OSS-DB Exam Silver の試験実施言語は日本語と英語の2つです。どちらで受けても、認定されるのは同じ OSS-DB Silver です。
まとめ
OSS-DB Silver は、約50問・16,500円で PostgreSQL の運用管理と SQL の基礎を証明できる資格です。合格ラインこそ非公表ですが、重要度の合計50は出題の重みを読む目安になり、SQLコマンド・バックアップ・基本的な運用管理作業の3項目で半分を超えます。最初の一歩は、出題範囲のページを開いて、重要度7以上の3項目に知らない用語がいくつあるかを数えてみることです。数え終えたら、SkillStack で無料公開している Ver.3.0 対応の練習問題集①(50問)を解き、その用語が問題の中でどう問われるかを本番の約50問に近い分量で体験してみてください。
参考サイト
- LPI-Japan「OSS-DB Silverのご紹介」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB Silver(English)」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB技術者認定試験 試験概要」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB Goldのご紹介」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「OSS-DB技術者認定試験の出題範囲改定(Ver.3.0)について」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「有意性の期限(再認定ポリシー)」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「LPI-Japanとは」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「よくある質問」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「受験のお申込み」(取得日: 2026年10月7日)
- LPI-Japan「資格取得のメリット」(取得日: 2026年10月7日)
- ピアソンVUE「OSS-DB技術者認定試験」(取得日: 2026年10月7日)
- PostgreSQL Global Development Group「Versioning Policy」(取得日: 2026年10月7日)
- PostgreSQL Global Development Group「Release 15」(取得日: 2026年10月7日)
- Oracle University Japan「Oracle Database Administration I (1Z0-082-JPN) 試験」(取得日: 2026年10月7日)
- Oracle University Japan「新着ニュース・お知らせ」受験料改定(2026/6/1)(取得日: 2026年10月7日)
