「応用情報技術者試験は、今年受けるべき? それとも新制度を待つべき?」——2026年秋、この試験を検討する人の多くがここで手を止めています。理由ははっきりしています。今年度から試験はCBT方式に変わり、しかもIPAは現行の試験制度を2026年度の試験実施をもって終了する予定だと公表しているからです。
結論を先に言うと、IPAの公表どおりに進めば、今の応用情報を現行の形で受けられるのは2026年度の前期と後期の2回になる見込みです。合格率は直近で22〜29%、受験料は7,500円。前期の申込は2026年10月6日に始まり、11月7日に締め切られます。
読み終えるころには、試験の中身(科目A・科目Bの時間と問題数、合格基準)、基本情報との差、科目Bで選ぶ4問の決め方まで、数字で把握できます。そのうえで「前期で受けるか、後期に回すか、新制度を待つか」を、自分の状況に当てはめて決められるはずです。数字と日付はすべてIPAの公表資料で確認したものです。
応用情報技術者試験とは?2026年度の試験概要
応用情報技術者試験(AP)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、基本情報技術者試験の上位、高度試験の手前に位置します。IPAが示す対象者像は「高度IT人材としての方向性を確立した者」。技術だけでなく、プロジェクト管理や経営戦略まで問われるのが特徴です。
2026年度の実施方式は、IPAの試験区分ページに「2026年度はCBT方式により前期・後期に実施」と明記されています。紙の試験を1日で受ける形は令和7年度で終わり、科目Aと科目Bを別の日にパソコンで受けます。出題形式・問題数・試験時間・配点・合格基準は、CBT化の前後で変わっていません。
| 項目 | 科目A(旧・午前) | 科目B(旧・午後) |
|---|---|---|
| 試験時間 | 150分 | 150分 |
| 出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
| 出題数・解答数 | 80問・80問 | 11問・5問 |
| 配点 | 各1.25点(100点満点) | 各20点(100点満点) |
| 合格基準 | 60点以上 | 60点以上 |
合格には、科目Aと科目Bの両方で60点以上が必要です。しかも科目Aが60点に届かなければ、科目Bは採点されずに不合格となります(多段階選抜方式)。受験料は7,500円(消費税込み)です。
CBT化で加わった変化が2つあります。1つは、科目Aの得点が試験終了後に端末とマイページで確認できること。もう1つは、試験問題が非公開になったことです。IPAは第三者への開示も禁じています。令和8年度の問題は後から公開されないため、演習の素材は令和7年度までに公開された過去問が中心になります。
科目Bは「問1の情報セキュリティ必須+10問から4問」
科目Bの11問は、構成が決まっています。問1は情報セキュリティで、全員が解く必須問題。問2〜問11の10問は、経営戦略(情報戦略、戦略立案・コンサルティング技法を含む)、プログラミング(アルゴリズム)、システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査から出題され、ここから4問を選びます。
試験要綱の分野表では、戦略系の3分野を分けて数えるため13分野になります。テクノロジ系だけでなく、マネジメント系とストラテジ系まで含む広さです。だからこそ、最初につまずくのは「何から手を付ければいいか分からない」という一点です。全分野を均等に追うのか、科目Bで選ぶ分野に絞るのか。順番を決めないまま参考書を1ページ目から読み始めると、試験日までに半分も終わらない、という事態が起きます。
2026年度の日程|前期・後期とも科目Aと科目Bは別日
2026年度の応用情報は、前期と後期の2回です。どちらの期も、申込時に科目Aと科目Bの受験日を同時に予約します。会場ごとに空いている日時から自分で選ぶ方式で、前期・後期それぞれで申込みは1回だけです。
| 区分 | 申込受付期間 | 科目A 実施期間 | 科目B 実施期間 | 合格発表(予定) |
|---|---|---|---|---|
| 前期 | 2026年10月6日10時〜11月7日17時 | 2026年10月28日〜11月10日 | 2026年11月24日〜12月6日 | 2027年2月頃 |
| 後期 | 2027年1月27日〜2月16日 | 2027年2月6日〜2月19日 | 2027年3月3日〜3月15日 | 2027年6月頃 |
注意したいのは、高度試験・情報処理安全確保支援士試験とは日程が違う点です。高度試験の前期は申込が10月24日まで、科目A群は10月17日からと、応用情報より早く動きます。ネットで日程を調べたとき、高度試験の日付を応用情報のものと取り違えないようにしてください。
科目Bの得点は試験端末に表示されず、前期は2027年1月頃、後期は2027年5月頃からマイページで照会できる予定です。IPAは後期の申込開始前に前期の成績を照会できるようにする予定としており、前期で不合格だった場合も、結果を見て後期に申し込むかを決められる見込みです。CBTの仕組みや、科目Aの得点を知ってから科目Bに臨める点の詳細は応用情報・高度試験のCBT化と科目A・B別日受験の解説にまとめています。
合格率は22〜29%——基本情報との差を数字で見る
応用情報の合格率は、直近6回で22.1%〜28.5%の範囲に収まっています。最新の令和7年度秋期は、受験者44,005人に対して合格者10,792人で24.5%。おおむね4人に1人が受かる試験です。
| 実施回 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度秋期 | 66,835人 | 44,005人 | 10,792人 | 24.5% |
| 令和7年度春期 | 58,206人 | 38,663人 | 8,527人 | 22.1% |
| 令和6年度秋期 | 65,667人 | 44,243人 | 12,613人 | 28.5% |
| 令和6年度春期 | 55,569人 | 36,730人 | 8,677人 | 23.6% |
| 令和5年度秋期 | 56,073人 | 37,763人 | 8,753人 | 23.2% |
| 令和5年度春期 | 49,498人 | 32,340人 | 8,805人 | 27.2% |
見落としやすいのが、応募者と受験者の差です。令和7年度秋期は応募者の約34%が受験していません。理由は統計からは分かりませんが、申し込んでも受験まで到達しない人が3人に1人ほどいるのは事実です。CBT化で受験日を自分で選べるようになった今年度は、自分の準備状況に合わせて受験日を置けるかどうかが最初の分かれ目になります。
基本情報と応用情報、何がどれだけ違うのか
「基本情報の延長」と捉えると、難易度を見誤ります。両者を同じ物差しで並べると、差は問題数と時間、そして科目Bの解答形式に出ます。
| 比較項目 | 基本情報技術者(FE) | 応用情報技術者(AP) |
|---|---|---|
| 科目A | 90分・60問(四肢択一) | 150分・80問(四肢択一) |
| 科目B | 100分・20問(多肢選択式) | 150分・11問中5問(記述式) |
| 試験時間の合計 | 190分 | 300分 |
| 科目Aと科目Bの実施 | 同日 | 別日 |
| 採点方式・合格基準 | IRT方式・各科目600点/1,000点 | 素点方式・各科目60点/100点 |
| 実施時期 | 通年(随時) | 2026年度は前期・後期の2回 |
| 合格率 | 38.3%(令和7年度通年) | 24.5%(令和7年度秋期) |
最大の壁は、科目Bが記述式になることです。基本情報は選択肢から選べば点になりますが、応用情報は設問に合う語句や文章を自分で書かなければ得点になりません。試験時間も合計300分と、基本情報の約1.6倍。基本情報より広い知識に加えて、150分間、問題文を読んで記述し続ける集中力が求められます。
科目Bで解く4問の選び方——試験当日に迷わない決め方
科目Bの4問は、試験当日に初めて選び始めるのではなく、学習を始める段階で「本命4分野+予備1〜2分野」を決めておくのが編集部のおすすめです。総学習時間が同じなら、10分野を均等に勉強したときの1分野あたりの演習時間は、4分野に絞ったときの4割にとどまります。
選び方の軸は3つあります。
- 実務で触れている分野を優先する。 ネットワークやデータベースの運用経験があれば、その分野は用語の暗記から始めずに済みます。
- 知識で解ける分野と読解で解ける分野を混ぜる。 プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査は、コードや計算の比重が比較的小さい一方、用語知識と長文読解が必要です。候補の分野は過去問を各1問ずつ解き、得点を見て決めてください。
- 予備の分野を必ず持つ。 本命の分野で、その回だけ極端に難しい問題が出ることがあります。差し替え先が無いと、苦手分野で20点を取りにいくことになります。
問1の情報セキュリティは選べません。科目Aの学習と重なる範囲が大きいので、科目Aの演習中から「なぜその対策が必要か」を一言で説明できるようにしておくと、科目Bでそのまま得点源になります。
本命分野が決まったら、その分野の過去問を年度をまたいで解き比べてください。SkillStackには応用情報の過去問(科目A・科目B)を複数年度分収録しており、IPA試験は最新年度1回分を無料で解けます。
2026年度に受けるか、新制度を待つか|2027年度の再編と判断表
迷っているなら、2026年度に受ける前提で動くのが基本です。IPAは、応用情報と高度試験を大括り化して「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」へ再編し、「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3領域・3試験区分を設ける案を公表しています。開始は2027年度夏頃から秋頃の予定で、現行試験制度は2026年度の試験実施をもって終了する予定です。
新試験の公表案では、各区分とも科目A-1が90分・60問、科目A-2と科目Bを合わせて120分(科目A-2は23問、科目Bは12問)。シラバス案は順次公開されていますが、IPAは内容が変更される可能性があると明記しています。出題範囲の公開状況はプロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)のシラバス案で整理しています。
判断材料になる事実は、ほかに3つあります。
- 合格に有効期限はない。 IPAは「試験合格の有効期限もなく、過去の試験合格が無効となることもございません」としています。ただし、旧区分の合格が新区分の合格に自動で置き換わるわけではありません。
- 応用情報に合格すると、高度試験・支援士試験の科目A-1が2年間免除される。 令和8年度後期の免除申請対象者には、令和8年度前期の応用情報合格者が含まれています。前期に合格すれば、後期のプロジェクトマネージャ・データベーススペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリスト・システム監査技術者を科目A-2からの受験で狙えます(免除の適用は合格者の官報公示日に確定)。
- 新試験への経過措置は検討段階。 IPAは、現行の高度試験・支援士試験で一部科目の免除要件を満たした人に、一定期間、新試験でも一部科目を免除することを検討中としています。具体的な条件はまだ公表されていません。
| あなたの状況 | おすすめの動き方 |
|---|---|
| 基本情報に合格済みで、学習もある程度進んでいる | 前期(科目A 10/28〜)で受ける。不合格でも後期で再挑戦できる2回の枠を使い切る |
| これから学習を始める | 後期(科目A 2/6〜)を本命にする。申込は2027年1月27日〜2月16日なので、2026年10月のうちに科目Aの演習を始め、受験日までの週数から逆算する |
| 2026年度後期に高度試験(PM・DB・ES・AU)も受けたい | 前期で応用情報に合格し、後期の科目A-1免除を狙う。ただし前期の高度試験とは日程が違うので混同しない |
| 基本情報も未合格で、IT知識はゼロに近い | 通年で受けられる基本情報から始める。応用情報を2026年度中に取るのが難しければ、新試験の詳細公表を待って区分を選ぶ |
| 記述式が不安で、新制度を待ちたい | 待つ場合、新試験の開始は2027年度夏頃〜秋頃の予定で、出題範囲もまだ案の段階。現行の応用情報を取れる機会は2026年度後期が最後になる |
表の判断は、2026年10月5日時点のIPA公表内容に基づく編集部の整理です。新試験の日程や免除の扱いは今後変わる可能性があるため、申込前にIPAの試験制度見直しのページで最新情報を確認してください。
よくある質問
応用情報の受験料はいくらですか?
7,500円(消費税込み)です。支払い方法はクレジットカード、コンビニ/銀行ATM(Pay-easy)、バウチャーチケットから選びます。前期と後期の両方を受ける場合は、それぞれで受験料がかかります。
CBTの試験中にメモや計算はできますか?
できます。試験画面上のメモ機能と電卓機能に加え、試験室入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配布されます。自分で用意したメモ用紙や筆記用具は持ち込めず、配布物は試験後に回収されます。使い分けは応用情報CBTのメモ用紙・電卓の扱いで解説しています。
科目Aと科目Bは同じ日に受けられますか?
受けられません。試験要綱は応用情報について「別日に科目Aと科目Bを実施する」と定めており、前期も後期も科目Bの実施期間は科目Aより後に設定されています。申込時に両方の日時をまとめて予約します。
令和8年度の試験問題は後から公開されますか?
公開されません。IPAは令和8年度の応用情報・高度試験・支援士試験について、試験問題を非公開とし、第三者への開示も禁じています。過去問演習には、令和7年度までに公開された問題冊子・解答例を使うことになります。
まとめ
応用情報技術者試験は、合格率がおおむね4人に1人、記述式の科目Bを含む合計300分の試験です。そしてIPAの公表予定どおりなら、現行の形で受けられる機会は2026年度の前期と後期の2回です。新制度を待つ選択肢もありますが、その中身はまだ案の段階です。まずは前期か後期のどちらを本命にするかを決め、科目Bで選ぶ4分野を書き出すところから始めてください。科目Aの80問は、昼休みに5問、帰りの電車で5問と細かく刻めば積み上がるので、SkillStackのようにスマホで1問から解ける環境を、移動時間の演習用に用意しておく手もあります。
参考サイト
- IPA|応用情報技術者試験(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|令和8年度前期試験について(受験申込み)(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|試験要綱・シラバスについて(試験要綱 Ver.5.6)(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|統計情報(応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験)(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|統計情報(基本情報技術者試験)(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|試験制度の見直しについて(取得日: 2026年10月5日)
- IPA|試験に関するよくある質問(取得日: 2026年10月5日)
