「クラウドの資格は数年ごとに取り直し」——そう身構えているなら、AZ-900は例外です。Microsoftの基礎レベルの認定に有効期限はなく、一度合格すれば期限切れになりません。試験時間は45分、合格ラインは1,000点満点で700点。日本語でも受験できます。
とはいえ「45分で終わる入門資格」という情報だけで申し込むと、範囲の広さに面食らいます。出題は3分野に分かれ、Microsoft Entra ID、Azure Arc、リソースグループの階層といった固有名詞が容赦なく並ぶからです。しかも出題範囲は2026年7月20日に更新されました。
更新後の出題範囲と配点、公式の学習ガイドから逆算した勉強時間の目安、合格後に何が起きるかまでを一気に把握できます。教材を選ぶとき、それが現行の出題範囲に対応しているかを自分で判断できる状態になります。
AZ-900とは|Azure入門の国際資格。45分・700点で合格
AZ-900は、Microsoft Azureの基礎知識を証明する「Microsoft Certified: Azure Fundamentals」の試験コードです。位置づけは初級(Fundamentals)で、Microsoftも「Azureのキャリアに向けた一般的な出発点」と説明しています。実務経験は前提とされていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認定名 | Microsoft Certified: Azure Fundamentals(試験コード AZ-900) |
| レベル | 初級(Fundamentals) |
| 試験時間 | 45分 |
| 合格ライン | 700以上(1,000点満点の換算スコア) |
| 受験料 | 12,980円(税込)/学割 9,680円(税込) |
| 言語 | 日本語・英語を含む全13言語 |
| 申込先 | Pearson VUE(学生・教員はCertiportも可) |
| 有効期限 | なし(基礎認定は期限切れにならない) |
問題数は公表されていません。合格点の700も「700問中」ではなく、1,000点満点に換算したスコアです。正答率とは一致しないため、「7割取れば受かる」と読み替えないでください。
受験前に無料で使える公式ツールが2つあります。ひとつは練習評価(プラクティス評価)、もうひとつは試験サンドボックスです。前者は本番に近い難易度の問題で実力を測るもの、後者は本番と同じ画面をデモとして触れるもの。どちらもMicrosoft Learnから無料で利用できます。
最初の関門は用語です。範囲を開くと、Microsoft Entra ID、Azure Policy、リソースロック、Azure Arcといった固有名詞が続きます。サービス同士の関係を整理しないまま読み進めると、名前は覚えたのに役割が言えない状態になりがちです。読む順番を決めてから参考書を開いてください。
出題範囲は3分野|2026年7月20日に内容が更新された
AZ-900の出題範囲は3分野で、それぞれに配点の幅が決まっています。そして2026年7月20日、Microsoftは評価されるスキルを更新しました。教材選びに直結するので、まず現行の配点を押さえてください。
| 分野 | 配点 | 主なトピック |
|---|---|---|
| クラウドの概念について説明する | 25〜30% | 共同責任モデル、パブリック/プライベート/ハイブリッド、従量課金、サーバーレス、IaaS・PaaS・SaaS |
| Azureのアーキテクチャとサービスについて説明する | 35〜40% | リージョンと可用性ゾーン、リソースグループとサブスクリプションの階層、仮想マシン、仮想ネットワーク、ストレージ層と冗長性、Microsoft Entra ID、RBAC、ゼロトラスト |
| Azureの管理とガバナンスについて説明する | 30〜35% | コスト管理と料金計算ツール、タグ、Azure Policy、リソースロック、Azure portal、Azure Arc、ARMテンプレート、Azure Monitor |
7月20日の更新は、分野の構成そのものを変えるものではありませんでした。公式の変更履歴で「軽微」と記されているのは次の3項目です。
- Azureコンピューティングおよびネットワークサービスについて説明する
- Azureリソースを管理およびデプロイするための機能とツールについて説明する
- Azureの監視ツールについて説明する
分野名も配点も据え置きで、動いたのは各分野の中身です。つまり、少し前に出た参考書がまるごと使えなくなるわけではありません。ただし、コンピューティング/ネットワーク、リソース管理、監視の3か所は、購入前に公式の学習ガイドと突き合わせる価値があります。
もう一点、範囲の性質として押さえておきたいのが「ほとんどの問題は一般提供(GA)済みの機能から出る」という公式の説明です。プレビュー機能は、広く使われている場合に限って出題される可能性があります。最新のプレビュー機能を追いかける必要はありません。
難易度はどれくらい?合格率は非公開でも「入門」と言える理由
Microsoftは試験の合格率を公表していません。したがって「合格率○%」と書かれた数字は、いずれも非公式の推計です。数字の代わりに、難易度を判断できる材料を3つ挙げます。
1つ目は、試験時間が45分であること。限られた時間で用語とサービスの役割を判断していく試験だと分かります。2つ目は、評価されるのが「説明できること」である点。学習ガイドの項目はほぼすべて「〜について説明する」で終わり、現行の範囲では構築や設定の作業そのものではなく、概念と役割の説明が中心です。3つ目は、実務経験が前提とされていないことです。
とはいえ、ノー勉で受かる試験ではありません。難所は範囲の広さではなく、名前が似たサービスの区別です。Azure PolicyとリソースロックとRBAC、Azure MonitorとAzure Service HealthとAzure Advisor。どれも「管理系」で一括りにすると、選択肢を前に手が止まります。
他の入門資格と比べるなら、AWS CLF(クラウドプラクティショナー)と同じ基礎レベルの位置づけです。AWS CLFの難易度と勉強時間と読み比べると、共同責任モデル、IaaS・PaaS・SaaS、従量課金といった一般的なクラウドの概念が両方の範囲に入っていると分かります。片方を学習済みなら、その部分は復習で済みます。
勉強時間の目安は20〜30時間|配点から逆算した配分
未経験者で20〜30時間が一つの目安です。これはMicrosoftが示す推奨時間ではなく、SkillStack編集部が公式の学習ガイドから試算した数字です。学習ガイドで各スキルの下にぶら下がる箇条書き(評価される項目)を数えると約58個あり、1項目20〜30分(説明を読む+関連問題を数問解く)で見積もると20〜29時間に着地します。
そのうえで、時間は配点に比例させて配ります。30時間を確保できる人の配分例です。
| 分野 | 配点 | 30時間モデルでの配分 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| クラウドの概念 | 25〜30% | 約8時間 | 最初に。ここが曖昧だと他2分野の理解が滞る |
| Azureのアーキテクチャとサービス | 35〜40% | 約12時間 | 最大配点。サービス名と役割の対応づけに時間を使う |
| Azureの管理とガバナンス | 30〜35% | 約10時間 | 後回しにされがちだが3割超。ツール名の区別が得点源 |
クラウドやインフラの実務経験がある人は、この時間を短縮できる可能性があります。仮想マシン、ネットワーク、ストレージ冗長化の考え方が入っていれば、その範囲は「Azureでの呼び名」を覚え直す作業に近づくためです。ただしMicrosoft Entra IDやAzure Policy、料金体系は名前の対応づけだけでは済みません。クラウド自体が初めてなら、30時間側に寄せてください。
進め方は4ステップで固定できます。①Microsoft Learnの無料ラーニングパスで3分野を一周する、②練習評価を受けて弱い分野を特定する、③弱い分野を問題演習で潰す、④試験サンドボックスで画面に慣れてから予約する。①と②を往復するだけで終わってしまう人が多いので、③に最も時間を割り当てるのがコツです。
この③が続かない場合、原因はたいてい「まとまった時間が取れないこと」です。通勤の往復で1回15分ずつ、平日5日なら週150分。それだけで2時間半の演習量になります。SkillStackはAZ-900を全問無料で開放しているので、演習だけを細切れに回す使い方に向いています。
合格後どうなる?更新は不要、次はAZ-104かAI-901
AZ-900に合格すると、その認定は期限切れになりません。Microsoftは「基礎認定は期限切れになりません」と明記しています。年に一度の無料更新アセスメントが必要なのは、アソシエイト・エキスパート・専門(Specialty)レベルの認定です。
これはAWSやGoogle Cloudの入門資格との明確な違いです。取得後に何もしなくても資格が失効しないため、「まず1つ持っておく」用途と相性がよいと言えます。学生や転職活動中の人が最初の1枚に選びやすいのは、この性質も理由です。
次の一歩は目的で分かれます。インフラ運用へ進むならAZ-104(Azure Administrator Associate)。AIへ進むなら、Azure AI Fundamentalsの試験が2026年6月30日でAI-900を終了し、後継のAI-901へ切り替わっています(認定そのものは廃止されていません)。2026年はMicrosoft認定の改定が重なった年で、AZ-204やAZ-500も後継試験へ移行しました。Microsoft資格2026年の廃止と後継の一覧で、自分の進路にある資格が対象かを先に確認しておくと遠回りを避けられます。AZ-900自体は廃止対象ではありません。
よくある質問
AZ-900の合格率はどれくらいですか?
Microsoftは試験ごとの合格率を公表していません。ネット上で見かける「合格率○%」は非公式の推計値です。判断材料にするなら、合格ラインが1,000点満点の700点であること、試験時間が45分であることなど、公表されている条件のほうが確実です。
不合格だった場合、いつ再受験できますか?
1回目に不合格だった場合は24時間後に再受験できます。2回目以降は、それぞれの受験の間に14日間の待機期間が必要です。また、初回受験日から12か月の間に同じ試験を受けられるのは5回まで。5回不合格になった場合は、初回受験日から12か月後に再び受験資格が得られます。
日本語で受験できますか?英語のほうが有利ですか?
AZ-900は日本語で受験できます。英語を含む13言語で提供されているため、日本語話者が英語で受ける必要はありません。なお公式の学習ガイドによれば、希望する言語で試験が実施されていない場合には、試験完了までの時間を30分延長するよう申請できます。
AWS CLFとAZ-900、どちらを先に取るべきですか?
勤務先や志望先が使っているクラウドに合わせるのが最短です。決めきれない場合は、クラウドの一般概念が重なっているため、どちらから入っても2つ目の学習量は減ります。AZ-900は有効期限がない一方、AWS認定には有効期限があるという運用面の違いも判断材料になります。
まとめ
AZ-900は、45分・700点・概念中心という条件だけ見れば、たしかに入門者向けの試験です。つまずくとすれば範囲の広さではなく、Azure PolicyとRBAC、Azure MonitorとAdvisorのように、名前も役割も近いサービスを見分けられるかどうか。ここは読むだけでは埋まらず、選択肢の形で問われて初めて曖昧さに気づきます。
だからこそ、無料のラーニングパスで一周したら、早めに問題形式へ切り替えてください。AZ-900はSkillStackで全問無料なので、参考書を買う前に「いまどの分野が抜けているか」だけ先に測ってしまう手もあります。そのうえで公式の学習ガイドを開き、手元の教材が2026年7月20日更新の範囲に追いついているかを確かめる。ここまでやれば、あとは演習量の問題です。
参考サイト
- Microsoft 認定: Azure Fundamentals(試験時間・言語・再受験・申込)(取得日: 2026年8月12日)
- 試験 AZ-900 の学習ガイド(出題範囲・配点・合格点700・変更履歴)(取得日: 2026年8月12日)
- Microsoft Learn — 試験の再受験ポリシー(取得日: 2026年8月12日)
- Microsoft 認定資格の更新(基礎認定は期限切れにならない)(取得日: 2026年8月12日)
- オデッセイ コミュニケーションズ — AZ-900 受験料(取得日: 2026年8月12日)
- Microsoft Community Hub — Azure AI Fundamentals 認定の刷新(AI-900 終了と後継 AI-901)(取得日: 2026年8月12日)
