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データ・AI試験(仮称)のシラバス案|範囲とサンプル6問【2027】

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データ・AI試験(仮称)のシラバス案|範囲とサンプル6問【2027】

「データ・AI試験(仮称)では、何が問われるのか」。データベーススペシャリストを狙う人も、データ分析やAIを仕事にする人も、答えを持てずにいた問いです。その手がかりが、2026年10月30日に出ました。IPAがプロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)のシラバス案Ver.0.1と、科目Bのサンプル問題6問を同時に公表したのです。

これで、新試験制度の8区分すべてのシラバス案が出そろいました。IPAが「2026年度夏頃を目途に一通り公表」としていた中で、データ・AI試験のシラバス案が最後の1本です。28ページの中に、データガバナンスからRAG、SQL、擬似言語までが並びます。

読み終える頃には、この試験がどの知識と技能を問うのか、サンプル6問がどんな形で出ているのか、そして2026年度後期のデータベーススペシャリストを受けるべきかどうかを、自分の状況に当てはめて判断できるようになります。

10月30日に公表されたもの|シラバス案Ver.0.1とサンプル6問

公表されたのは2点です。1つは「プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」、もう1つは同試験の「科目B サンプル問題」です。どちらもIPAの新試験制度のページに、2026年10月30日付で掲載されました。

マネジメント試験とシステム試験は、6月30日にシラバス案が出て7月31日にVer.0.2へ更新されています。データ・AI試験はそこから3か月遅れでの公表です。ただし最初から、科目A-2(専門知識)と科目B(技能)の両方の細目が入っています。

資料掲載日中身
シラバス案 Ver.0.12026年10月30日科目A-2の8中分類の用語例、科目Bの4大項目の「目標とする技能の例」、大項目1の補足
科目B サンプル問題2026年10月30日問1〜問6、解答例、出題趣旨
科目A-1(共通知識)シラバス案2026年9月30日PD 3試験と支援士で共通の知識

どちらにも注意書きがあります。シラバス案は「公表時点の検討状況に基づくもので、変更する可能性がある」。サンプル問題は「出題分野・形式のイメージを共有するためのもので、実際の試験と同じ作成・チェックの工程を経ていない」。今の段階で読むべきは、細かな用語より範囲の輪郭です。

そうは言っても、28ページを前に「どこから読めばいいのか分からない」と手が止まる人は多いはずです。そこで次の章では、範囲を8つの中分類に分けて見ていきます。

科目A-2は8つの中分類|システム試験とはクラウド・DBが重なる

データ・AI試験(仮称)の科目A-2を構成する8つの中分類とシステム試験との重なり

科目A-2の範囲は、全試験区分に共通する知識体系のうち、4つの大分類にまたがる8つの中分類です。中心は大分類2「データ・AIの利活用」で、その中分類8〜10の3つを丸ごと担当します。

大分類中分類用語例(抜粋)
2 データ・AIの利活用8 データマネジメントDIKWモデル、FAIR原則、データスチュワード、MDM、データリネージ、ISO 8000
2 データ・AIの利活用9 データ分析・データ利活用レイクハウス、CDC、べき等性、セマンティックレイヤー、ベイズの定理
2 データ・AIの利活用10 AI利活用AI事業者ガイドライン、ISO/IEC 42001、RAG、Lost in the Middle現象
4 デジタル技術15 クラウド共有責任モデル、マルチAZ構成、FinOps、クラウド移行の戦略
4 デジタル技術17 データベースE-R図、正規化、ウィンドウ関数、MVCC、ライトスキュー、列指向データベース
4 デジタル技術18 AI技術MCP、A2A、マルチエージェント、コンテキストエンジニアリング
5 システムの開発・運用22 アルゴリズム・プログラミング線形代数、KMP法、ダイクストラ法、Python・R、JSON・YAML
7 倫理・コンプライアンス29 プライバシー関連法規個人情報保護法、仮名加工情報、GDPR、k-匿名化、差分プライバシー

目を引くのは2つです。1つは、生成AIとAIエージェントの用語が具体名で明記されたこと。MCP(Model Context Protocol)やA2A(Agent2Agent Protocol)、「コンテキスト腐敗」といった語まで用語例に入りました。

もう1つは、システム試験との重なりです。中分類15「クラウド」と17「データベース」は、システム試験の科目A-2にも含まれています。データベースの知識はシステム試験とデータ・AI試験の両方で問われる構成です。片方に寄せたわけではありません。

なお、プライバシー関連法規(中分類29)がデータ・AI試験の担当になった点も見逃せません。匿名化・仮名化の手法まで用語例に並んでおり、データを扱う人の法務知識が範囲に入ったと読めます。

科目Bは4大項目|記述が最も詳しいのは大項目1「データマネジメント」

科目B(技能)は4つの大項目で構成されます。シラバス案では大項目1だけが9つの小項目に分かれ、末尾に補足ページまで付いています。ただし、これは記述量の話で、出題の多さを示すものではありません。

大項目小項目の例
1 データマネジメントに関することデータ戦略の策定支援、体制・役割の設計、データアーキテクチャ設計、ルール・標準の策定、PoCの検証と導入支援など9項目
2 データ・AIの活用に関すること分析目的の設定、BIツールでの可視化、統計学・機械学習・時系列解析、生成AI技術の適用、AI倫理
3 データ基盤の構築に関すること管理対象データの明確化、概念・論理・物理データモデル、データ統合・変換、データパイプラインの設計・構築・運用
4 データ処理とアルゴリズムに関することSQL(DDL・DML、Window関数、再帰構文)、データ構造、アルゴリズムとプログラミング

ここで1つ注意があります。シラバス案は、大項目1を詳しく書いたのは理解しやすくするためで、出題割合は「基本的に大項目の構成に基づく」と明記しています。記述量が多いからといって、大項目1から多く出るとは限りません。

大項目1の補足には、対象とする人物像も書かれています。データスチュワード、データアーキテクト、データエンジニアなどが役割に応じて行う技能が対象です。経営層やCDOが担う組織としての方針・体制などの最終決定・承認は対象外で、その検討や案の作成、専門的な設計、実行・支援の技能を問うとされています。

大項目3の名前にも変化があります。IPAの「出題範囲等の改定案 Ver.1.0」では「データエンジニアリングに関すること」でしたが、今回のシラバス案では「データ基盤の構築に関すること」となりました。中身はデータモデルの作成とデータパイプラインの設計・運用です。編集部の見立てでは、現行のデータベーススペシャリストの科目B-1・B-2(旧午後Ⅰ・午後Ⅱ)と重なりが大きい領域です。

サンプル6問を解剖|データコントラクトからSQLの行数見積りまで

サンプル問題6問と科目Bの4大項目の対応

サンプル問題は科目Bの6問で、すべて解答群から1つを選ぶ形式です。問1〜問5は空欄の字句の組合せを選び、問6は1つの数値を選びます。各問を科目Bの大項目に当てはめると、4つの大項目すべてから出ています(対応付けは出題趣旨をもとにした編集部の整理です)。

問題材対応する大項目問われる技能
問1データコントラクトの変更で解約予測AIが誤作動1意味の変更の影響と、提供者・利用者が守るルールの策定
問2ECサイトの利益と散布図行列・重回帰分析2可視化の読み取りと回帰モデルの解釈
問3LLMを使った保守支援システム2追加学習とRAGの選択、文脈内学習、根拠の提示
問4問合せ記録のデータ配置3データレイク・DWH・データマートの役割分担
問5物件検索システムのSQL4統計情報からの結果行数の見積りと集計SQL
問6得点を補正する擬似言語プログラム4中央値と条件分岐を含む処理のトレース

中身を見ると、知識の暗記より「読んで判断する」問題が並びます。問1では、営業部門が既存カラムの単位を千円から円へ変えたのに、説明文のメタデータは千円のまま。利用者に通知もせず、解約予測AIが売上1,000倍と誤認します。原因の特定と、利用者側が守るべきルールを選ばせる問題です。

問2は、決定係数R²が0.949のモデルを読む問題です。選択肢には「精度は94.9%である」という見慣れた誤解が混ぜてあります。正解は「メール配信数が同じなら、SNS広告費を1万円増やすと利益は約3.6万円増える」という係数の解釈でした。

問5と問6は手を動かす問題です。問5は160万行・沿線400種類の表で、エアコン「又は」オートロックがある物件の行数を見積もります。各設備の有無が独立で一様と仮定すると、1沿線4,000件のうち4分の3で3,000件です。問6は中央値30を基準に得点を補正し、50点以上が5個になることを追います。プログラムは、基本情報技術者試験の科目Bでおなじみの書式の擬似言語で書かれています。

いつから変わり、誰に影響するのか

データ・AI試験を含むプロフェッショナルデジタルスキル試験は、2027年度夏頃から秋頃の開始が予定されています(IPAの2026年3月31日のプレス発表。実施時期・期間の詳細は検討中)。2026年度の試験は現行制度のまま、CBT方式で実施中です。今回のシラバス案が令和8年度試験の出題範囲として適用されるわけではありません。ただし、SQLやデータベースなど現行の範囲と重なる内容は、今年度の試験でも当然出題され得ます。

影響が最も大きいのは、データベーススペシャリストを狙っている人です。IPAが公表している令和8年度後期試験の日程は次のとおりです。

項目データベーススペシャリスト(令和8年度後期)
申込受付期間2027年1月27日(水)〜2月27日(土)
科目A-1・A-2 実施期間2027年2月20日(土)〜3月2日(火)
科目B-1・B-2 実施期間2027年3月16日(火)〜3月28日(日)
受験手数料7,500円

次に影響を受けるのは、データ分析・データ基盤・AI活用を仕事にしている人です。統計、機械学習、生成AIの適用、データガバナンスまでが、1つの試験区分の出題範囲にまとめて入りました。実務で使っている知識が、そのまま範囲の一部になります。

一方、現時点で分からないこともあります。データ・AI試験の試験時間と問題数は、今回のシラバス案にもサンプル問題にも書かれていません。科目Aのサンプル問題も公表されていません。現行のデータベーススペシャリストの合格者が新制度でどう扱われるかも、今回の資料では示されていません。

今どう動くべきか|タイプ別の判断表

結論から言えば、2026年度後期にデータベーススペシャリストを受ける予定の人は、計画を変える必要はありません。今回の公表で変わるのは、2027年度以降に受ける人の準備の方向です。

あなたの状況動き方
2026年度後期にDBスペシャリストを受ける現行の出題範囲で準備を続ける。申込は2027年1月27日から。科目Bの記述式に向けた演習を優先
DBスペシャリストは見送り、新制度を待つ大項目3・4(データモデル、SQL)は現行の学習がそのまま土台になる。サンプル問5を解いて形式に慣れる
データ分析・AIが本業で、高度試験は未経験中分類9・10・18の用語例を読み、知らない語を洗い出す。統計と生成AIは実務の知識が生きる
応用情報から上を目指しているマネジメント・システム・データ・AIの3つのシラバス案を見比べ、科目Bの技能の例に既視感がある区分を選ぶ

マネジメント試験・システム試験の範囲はプロフェッショナルデジタルスキル試験(マネジメント・システム)のシラバス案で、制度全体の再編は情報処理技術者試験の2027年度刷新まとめで整理しています。3つの区分を並べると、自分の実務がどこに寄っているかが見えてきます。

よくある質問

データ・AI試験はデータベーススペシャリストの後継ですか?

IPAは、現行の区分と新区分を1対1で結ぶ対応関係を示していません。データモデルやSQLなど現行のデータベーススペシャリストと重なる範囲は大きい一方、データベースの知識はシステム試験の科目A-2にも含まれています。「後継」と言い切れる資料は、現時点ではありません。

サンプル問題は科目Aもありますか?

2026年10月30日に公表されたのは科目Bの6問だけです。データ・AI試験の科目Aのサンプル問題は、IPAのサンプル問題ページに掲載されていません。

プログラミング言語は何が使われますか?

出題範囲等の改定案では、科目Bのデータ操作はSQL、プログラム言語は擬似言語を扱うとされています。サンプルの問6も擬似言語で書かれています。科目A-2の用語例にはデータ分析・AI向けの言語としてPythonやRが挙がっていますが、科目Bで特定の言語のコードを書かせる形式は示されていません。

シラバス案の内容はこのまま確定しますか?

確定ではありません。シラバス案の表紙に「変更する可能性があります」と明記されており、マネジメント・システムの2試験もVer.0.1から0.2へ更新されています。今後の改訂を前提に、範囲の輪郭をつかむ材料として使うのが現実的です。

まとめ

データ・AI試験のシラバス案で、新試験制度の全区分の範囲がようやく見えました。データガバナンスから生成AI、SQL、擬似言語まで、1つの試験としては広い範囲です。ただ、サンプル6問を解いてみると、問われるのは用語の暗記より、状況を読んで判断する力だと分かります。2026年度後期にデータベーススペシャリストを受けるなら、今の準備をそのまま続けてください。新制度を待つなら、まずサンプル6問を解き、どの大項目で手が止まったかを記録しておくことです。範囲が4大項目に広がる以上、どの分野で失点しているかを数字で追えるかどうかが学習の効率を分けます。SkillStackの分野別の正答率表示は、その弱点探しの起点に使えます。

参考サイト

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