AWS DEA勉強法を調べ始めると、まず出題範囲に並ぶサービス名の多さに手が止まります。Glue、Kinesis、Redshift、Athena、EMR、Lake Formation……。しかも「GlueとEMR、どちらでもできそう」という似た役割のサービスが何組もある。結論から言えば、DEAはサービスを1つずつ覚える試験ではありません。どのサービスがどの分野で、どんな判断として問われるかの対応表を先に作れば、学ぶ順番は自然に決まります。
もう1つ、見落とされがちな事実があります。DEA-C01の試験コードは変わっていませんが、公式の試験ガイドは2025年12月12日に1.1版へ改訂され、ベクトルインデックスやApache Iceberg、LLMの組み込みといった新しいスキルが加わりました。数年前の合格体験記どおりでは、この差分を取りこぼします。
読み終えるころには、主要サービスと4分野の対応マップを手元に置き、自分の経験(データ基盤/AWS)に合ったスタート地点と、配点から逆算した学習時間の配分を決められるようになります。
AWS DEA勉強法の前に押さえる試験概要(DEA-C01・2026年10月時点)
AWS DEAの正式名称はAWS Certified Data Engineer – Associate。現行の試験コードはDEA-C01で、65問・130分・合格ライン720点、日本語でも受験できます。AWS上でデータパイプラインを実装し、コストとパフォーマンスの問題を監視・トラブルシューティング・最適化する力を認定するアソシエイト級の資格です。受験前に確認したい条件を表にまとめます。
| 項目 | 内容(DEA-C01) |
|---|---|
| 問題数 | 65問(採点対象50問+採点されない15問) |
| 試験時間 | 130分 |
| 問題形式 | 択一(正解1つ)・複数選択(5つ以上から2つ以上) |
| 合格ライン | スケールスコア100〜1,000点のうち720点 |
| 受験料 | 150 USD/日本円では20,000円(別途税金がかかる場合あり) |
| 受験言語 | 英語・日本語・韓国語・簡体中国語 |
| 受験方法 | ピアソンVUEのテストセンター、またはオンライン監督付き試験 |
| 推奨経験 | データエンジニアリング2〜3年相当+AWSの実務1〜2年以上 |
| 再受験 | 不合格から14日間あければ再受験可能(受験料は毎回全額) |
各分野に足切りはなく、総合スコアで合否が決まる採点方式で、720点以上なら合格です。採点されない15問はどれか分からないため、65問すべてに同じ集中力で臨む必要があります。スコアの換算の仕組みはAWS SAAの採点方法と合格点720点の仕組みで詳しく解説しています(DEAも同じ720点・1,000点満点の方式です)。
版の更新について。2026年10月5日時点で、AWS公式の「今後の試験変更」ページにも、2026年9月の認定アップデート告知(MLA・SAP・DVAの3試験が対象)にも、DEAの改定は含まれていません。DEAとMLAの違いや、どちらを先に取るかで迷っている場合はAWS MLA・DEAの概要と違いから確認してください。
試験ガイド1.1版(2025年12月)で加わった8つのスキル
試験コードはC01のままでも、中身は動いています。AWSは試験ガイドの改訂を、出題への反映のおよそ1か月前に公開するとしています。1.1版で新たに追加されたスキルは次の8つです。
- 1.2.10:データ処理に大規模言語モデル(LLM)を組み込む
- 2.1.7:オープンテーブルフォーマット(Apache Icebergなど)を管理する
- 2.1.8:ベクトルインデックスの種類(HNSW、IVFなど)を説明する
- 2.2.6:ビジネスデータカタログ(Amazon SageMaker Catalogなど)を作成・管理する
- 2.4.6:ベクトル化の概念(Amazon Bedrockのナレッジベースなど)を説明する
- 4.1.7:SageMaker Unified Studioのドメイン、ドメインユニット、プロジェクトを使う
- 4.5.6:SageMaker Catalogのプロジェクトでデータアクセスを管理する
- 4.5.7:データガバナンスの枠組みとデータ共有のパターンを説明する
あわせて、対象サービスにAmazon Aurora、Amazon Bedrock、Amazon Q、Amazon Kendra、AWS Data Exchange、Amazon S3 Tablesが加わり、AWS Cloud9・AWS CodeCommit・AWS SCTが対象サービスの一覧から外れました。「説明する(Describe)」と書かれたスキルは、構築手順よりも概念と使いどころを問う書き方です。HNSWとIVFなら、数式や実装手順よりも、検索速度・精度・メモリ消費・構築コストといった特徴の違いと使い分けを説明できる状態を目指します。
逆に、試験ガイドが範囲外と明記している作業もあります。機械学習モデルの学習・推論の実行、特定のプログラミング言語の文法知識、データからビジネス上の結論を導くこと、の3つです。コードの書き方を暗記する必要はない一方、SQLでクエリを組み立てて実行する知識は推奨知識に入っています。
ここまで読んで「範囲は分かった。でもこれだけ多くのサービスを、どの順で、どこまで覚えればいいのか」と感じたなら、それがDEA学習で最初にぶつかる壁です。問題集を1周しても、Glueの問題とEMRの問題が頭の中で混ざったまま、正答率が伸びない。原因の多くは、サービスと分野の対応を整理しないまま演習を重ねてしまうことにあります。
主要サービス×4分野マップ|どの分野で何を問われるか
試験ガイド(1.1版)のスキル記述に名前が出てくる分野の数を、編集部がサービスごとに数えると、RedshiftとEMRは4分野すべてに、Glueは3分野に登場することが分かります。この3つを最初に厚く学べば、1つの学習が複数の分野の得点に効きます。
4分野と配点は、データの取り込みと変換が34%、データストアの管理が26%、データの運用とサポートが22%、データセキュリティとガバナンスが18%です。下の表は、試験ガイド(1.1版)のスキル記述にサービス名が登場する箇所を、編集部がサービスごとにまとめ直したものです。
| サービス | 登場する分野 | 問われ方(試験ガイドのスキル記述から) |
|---|---|---|
| AWS Glue | 1・2・3 | バッチ/ストリーミングの読み込み、変換処理の選択、クローラーによるスキーマ検出とData Catalogへの登録、パーティション同期、パイプラインのトラブルシューティング |
| Amazon Redshift | 1・2・3・4 | ストアの選定、S3との間のロード/アンロード、フェデレーテッドクエリ・マテリアライズドビュー・Spectrum、ロック管理、SQLでのビュー作成、DBユーザー権限、データ共有 |
| Amazon Athena | 3・4 | クエリ実行とビュー作成、Apache Sparkを使うAthenaノートブック、ログ分析、Lake Formationによる権限管理の対象 |
| Amazon Kinesis/Amazon MSK | 1・2 | ストリーミングソースからの読み込み、KinesisからのLambda呼び出し、スロットリング対策、ファンイン・ファンアウト、ストアとしての選定 |
| Amazon EMR | 1・2・3・4 | 変換処理の選択肢、ストアの選定、パイプラインのトラブルシューティング、大量ログの処理 |
| AWS Lambda | 1・3・4 | Kinesisからの呼び出し、同時実行数とパフォーマンスの設定、ストレージのマウント、データ処理の自動化、アクセス用IAMロールの設定 |
| Step Functions/Amazon MWAA/EventBridge | 1・3 | ETLワークフローのオーケストレーション、スケジューラーとイベントトリガーの設定、マネージドワークフローのトラブルシューティング |
| Amazon S3/DynamoDB | 1・2・4 | ライフサイクルポリシーによる階層変更と期限切れ削除、S3のバージョニング、DynamoDBのTTL、スキーマ設計、スロットリング対策、S3アクセスポイントへのポリシー適用 |
| AWS Lake Formation | 2・4 | ストアの選定とスキーマ設計、Redshift・EMR・Athena・S3にまたがる権限管理 |
| KMS/Secrets Manager/Macie/CloudTrail | 3・4 | 暗号化キーの利用とアカウントをまたぐ暗号化、認証情報の保管とローテーション、PIIの検出、API呼び出しの追跡(CloudTrail Lakeでの横断クエリを含む) |
この表から読み取れる学習のコツは1つです。分野の順ではなく、サービスの順で学ぶこと。Redshiftを第2分野で「ストア」として学び、第4分野でもう一度「権限」として学び直すのは二度手間です。Redshiftを学ぶときは、ロード・クエリ・権限・共有までを一続きで押さえてしまう方が、記憶の結びつきが強くなります。
DEAで迷いやすい「似たサービス」の使い分け3組
DEAの選択肢には、どれを選んでも動きそうに見えるサービスが並びます。決め手になるのは、設問文に書かれた「運用の手間を最小にしたい」「既存のSparkコードを使いたい」といった条件です。
- Glue と EMR:Glueはサーバーレスで、クラスターを管理せずにETLを動かせます。EMRはHadoopやSparkなどのフレームワークを動かす基盤で、EMR on EC2ならクラスターを細かく構成でき、クラスター管理が不要なEMR Serverlessも選べます。「ETLを最小の管理負荷で」ならGlue、「既存のHadoop/Spark資産をそのまま移したい」「フレームワークの設定まで自分で制御したい」ならEMR、が典型的な読み分けです。
- Step Functions と MWAA:Step FunctionsはAWSサービスをつなぐサーバーレスのワークフロー、MWAAはApache Airflowのマネージド版です。「既存のAirflowのDAGを移行したい」という条件が出たらMWAAを疑います。
- Athena と Redshift Spectrum:どちらもS3上のデータにSQLを投げられます。Athenaはクラスター不要で単独で使え、SpectrumはRedshiftからS3のデータを参照する機能です。「Redshift内のテーブルとS3のデータを結合したい」ならSpectrum側に寄ります。
間違えた問題を振り返るときは、正解の理由だけでなく「なぜ自分が選んだ方ではダメなのか」を1行で書き出してください。この1行が、本番で消去法を速くします。
経験別の学習ルート|あなたはどこから始めるか
DEAの公式な推奨経験は「データエンジニアリング2〜3年相当+AWS実務1〜2年」です。この2つの経験のどちらが足りないかで、最初にやるべきことは変わります。
下の表の学習時間は、推奨経験との差分から編集部が置いた目安で、AWSの公式な数値ではありません。自分のペースを測る起点として使ってください。
| タイプ | 現在地 | 最初にやること | 重点を置く分野 | 学習時間(編集部の目安) |
|---|---|---|---|---|
| A | データ基盤の経験あり/AWSは浅い | IAM・VPC・S3・KMSなどAWSの基礎サービスを先に押さえる | 第4分野(権限・暗号化)と、各サービスの使い分け | 80〜100時間 |
| B | AWSの経験あり(SAAなど)/データ処理は浅い | ETL、データレイク、パーティション、列指向フォーマット(Parquet)などの概念を固める | 第1分野(取り込みと変換)と第2分野(ストア・カタログ) | 80〜120時間 |
| C | どちらもほぼ初めて | CLFかSAAの範囲でAWSの土台を作ってからDEAへ | 土台づくりのあと、配点順に全分野 | 150時間以上 |
| D | どちらもあり | 試験ガイドを読み、すぐ問題演習に入る | 1.1版の新スキルと、苦手分野の穴埋め | 40〜60時間 |
タイプBとCは、SAAの学習と重なる部分が大きいのが救いです。IAMの最小権限、VPCとセキュリティグループ、S3のストレージクラス、KMSによる暗号化は、DEAの第4分野でも前提として出てきます。SAAの範囲から固めたい場合はAWS SAAの勉強方法ロードマップを先に進めると、共通範囲をそのまま持ち込めます。
タイプAの人がつまずきやすいのは、オンプレミスやHadoopの知識で選択肢を選んでしまうことです。DEAの正解は「AWSのマネージドサービスで、運用負荷とコストを抑える」方向に寄ることが多く、試験ガイドもマネージドとアンマネージドの違いを説明するスキル(4.1.6)や、プロビジョニング型とサーバーレス型のトレードオフ(3.2.5)を挙げています。
AWS DEA合格までの4ステップ学習ロードマップ
どのタイプでも、合格までの道筋は「地図を作る→サービス横断で学ぶ→演習で使い分けを固める→新スキルと弱点を潰す」の4ステップです。
STEP1|試験ガイドのスキル一覧を自分の言葉に訳す(1〜2日)
最初に読むのは参考書ではなく、AWS公式の試験ガイドです。日本語版もあります。4分野の各スキルを読み、「業務でやったことがある/名前だけ知っている/初見」の3段階で印を付けてください。初見の印が付いたスキルが、そのまま学習リストになります。
STEP2|サービス横断でインプットし、1本だけ手を動かす
前の章のマップに沿って、複数の分野にまたがるRedshift・Glue・EMRを先に、続いてAthena・Kinesis・Lake Formationの順でインプットします。ハンズオンは、まず「S3にCSVを置く→Glueクローラーでカタログに登録→GlueでParquetに変換→Athenaでクエリ」の1本から始めます。この流れには、第1分野の形式変換(スキル1.2.6)、第2分野のクローラーとカタログ(2.2.3)、第3分野のクエリ(3.1.7)が詰まっています。余力があれば、Kinesisからの取り込みやLake Formationでの権限付与を2本目として足してください。検証用のリソースは使い終えたら削除し、料金がかかり続けないようにしてください。
STEP3|問題演習は「使い分けの軸」で振り返る
演習に入ったら、点数より振り返りの質を重視します。間違えた問題は「リアルタイム性」「管理の手間」「コスト」「既存資産との互換性」のどの軸で判断を誤ったかを分類してください。同じ軸で3回間違えたら、それが弱点です。分野別の正答率も記録しておくと、次の配分表の調整に使えます。
STEP4|直前期は新スキルと低正答率の分野を潰す
受験1〜2週間前は、1.1版で加わったベクトル・Iceberg・SageMaker Catalog周辺の用語を確認し、分野別正答率の低い順に復習します。130分で65問なので、見直しまで含めた上限は1問2分です。見直しに10分残すなら、初回の回答は1問あたり1分50秒前後が目標になります。模擬試験は時間を測って解き、このペースを体に覚えさせておきます。
配点から逆算する学習時間の配分表
学習時間は配点に比例させるのが基本です。たとえば総学習時間を100時間と決めたなら、次のように割り振ります。
| 分野 | 配点 | 100時間の場合 | 重点テーマ |
|---|---|---|---|
| 第1分野 データの取り込みと変換 | 34% | 約34時間 | ストリーミング/バッチの取り込み、変換、オーケストレーション |
| 第2分野 データストアの管理 | 26% | 約26時間 | ストア選定、カタログ、ライフサイクル、スキーマ設計 |
| 第3分野 データの運用とサポート | 22% | 約22時間 | 自動化、SQLでの分析、監視、データ品質 |
| 第4分野 データセキュリティとガバナンス | 18% | 約18時間 | IAM、Lake Formation、暗号化、監査ログ、プライバシー |
総時間が80時間なら各分野を0.8倍、150時間なら1.5倍にするだけです。そのうえで、経験別ルートの「重点を置く分野」に1〜2割を上乗せし、得意な分野から同じだけ削ると、自分専用の配分ができあがります。
よくある質問
AWS DEAにプログラミングの知識は必要ですか?
特定のプログラミング言語の文法知識は、試験ガイドで範囲外と明記されています。一方で、SQLでクエリを組み立てて実行する知識や、Lambdaの同時実行数の設定、Gitによるバージョン管理といったエンジニアリングの基本は推奨知識に含まれます。コードを書く力より、どの処理をどのサービスに任せるかの判断が問われると考えてください。
DEAは日本語で受験できますか?
受験できます。提供言語は英語・日本語・韓国語・簡体中国語の4つです。なお、試験内でAWSサービスの略称を使う変更は英語版から順次反映されるため、申込前に公式ページで最新の案内を確認しておくと安心です。
不合格だった場合、いつ再受験できますか?
不合格の場合、14日間あければ再受験できます。受験回数に上限はありませんが、受験料はその都度全額かかります。再受験までの2週間は、スコアレポートの分野別の評価をもとに弱い分野を集中的に補強する期間に充てるのが効率的です。
DEA-C01はいつまで受験できますか?
2026年10月5日時点で、DEA-C01の受験終了日や後継版は告知されていません。AWSは版を更新する際、公式ブログや「今後の試験変更」ページで日程を案内しています。数か月先の受験を予定しているなら、申込の前にこの2か所を確認してください。
まとめ
DEAの範囲表を前にして手が止まったのは、覚えることが多いからではなく、地図がなかったからです。Redshift・Glue・EMRを軸にサービス横断で学び、自分のタイプに合わせて配分表を調整すれば、多数のサービスも「どの分野で、どんな判断として問われるか」という形で整理できます。GlueとEMRのように「どちらでも動きそう」な選択肢で手が止まった問題は、SkillStackの解説からAIに「なぜこちらではないのか」を聞き返し、選ばなかった側の理由まで言葉にしてから次へ進むと、本番の消去法が速くなります。まずは今日、試験ガイドを開いて、初見のスキルに印を付けるところから始めてください。
参考サイト
- AWS「AWS Certified Data Engineer – Associate」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS「AWS Certified Data Engineer – Associate (DEA-C01) 試験ガイド」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS「DEA-C01 試験ガイド Revisions(改訂履歴)」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS「AWS認定 試験前のポリシー(受験料)」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS「AWS Certification policies – After testing(再受験ポリシー)」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS「Exam Updates, Beta Exams, and New Certifications」(取得日: 2026年10月5日)
- AWS Training and Certification Blog「Certification updates from AWS Training and Certification: September 2026」(取得日: 2026年10月5日)
